スキルや実績、どうアピールする?フリーランスの本音対談   Article Image

スキルや実績、どうアピールする?フリーランスの本音対談 

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会社員とは違い、企業のネームバリューや肩書きで勝負できないフリーランス。自身が提供するサービスを効果的にアピールしないと、仕事につながる出合いはなかなか実現しないかもしれません。また、相手に自分を印象づけて興味を持ってもらうには「見せ方」、ブランディングも大切です。

しかし、通常の仕事のかたわら、プロモーションに費やす時間もコストもそんなにかけられないのが正直なところ。「とりあえず」身近な SNS を始めてみたものの...という人もいるでしょう。

そこで今回は、仕事をほぼ SNS 経由で獲得しているという人事コンサルタントの豊川さんと、広告や販促のプロでもあるグラフィックデザイナーの佐伯さんに、これまで実施したプロモーション事例を交えつつ、フリーランスのアピール方法について語ってもらいました。

🎙豊川美玲さん(以下、豊川):人事コンサルタント 2008年に韓国の梨花女子大学校経営学部卒業後、シスコシステムズ合同会社に新卒入社。営業職として勤務後転職し、IT および不動産業界でさらに営業経験を積む。2017年 MBA 取得を機に人事へと転向。外資系ホテルで人事マネージャーとして人事管理・採用・育成を統括。2020年より兼業で人事業務支援をスタート、企業の採用や育成支援に携わるとともにキャリア講師を務める。2023年に独立。 https://www.sollective.jp/freelancer/mirei 🎙佐伯琢也さん(以下、佐伯):アートディレクター、ウェブデザイナー 神奈川県茅ヶ崎市出身。2002年よりデザイナーとして複数社に勤務後、2005年に株式会社 KDDI ウェブコミュニケーションズにてインハウスデザイナー・ディレクターとして自社サービスのセールスプロモーションツール全般の制作を担当する。2012年フリーランスとして独立。ディレクションを含めたトータルなデザイン提案が得意。 https://www.sollective.jp/freelancer/TakuyaSaeki

仕事はほぼ SNS から。半年でフォロワー1万人を得て自身のブランディングに成功

豊川:私はフリーランスの人事コンサルタントになってもうすぐ1年が経ちますが、ご依頼はほぼ LinkedIn と X からなんです。

佐伯:それはすばらしいですね!

豊川:人事の仕事は目に見えるかたちで実績やスキルをお見せできません。「人となり」も含め、一緒に働いて初めて理解してもらえる部分も多い。なので、人事としてありたい姿や仕事への信念を文章にして発信しています。その投稿を見て、「この人だったら仕事を任せたい」と思っていただいた企業から、声をかけてもらっています。

佐伯:SNS を始めたのは、昨年フリーランスになってからですか?

豊川:会社員時代、コロナ禍に個人で仕事を受けるようになってからですね。リゾート業界に転職して半年で休業になり、危機感を覚えて副業を探したのですが…50社以上応募して全滅でした。

そのときに感じたのが、いかに今まで会社員の立場に甘えてきたのかということ。企業のネームバリューに安心していたんです。

それに、歳を重ねて今と同じように仕事がない状況に陥ったとしたら、個人で勝負するのはもっと大変になっただろうと。であれば、一刻も早く自分自身のブランディングを確立しようと考え、始めたのが SNS です。まずは、当時リクルーターとして仕事で使っていた LinkedIn で個人アカウントを開設。投稿を続けたところ、半年でフォロワーが1万人を超えました。

佐伯:すごい!

豊川:アカウントは時間をかけるほど成長するので、休業中 SNS に投資できたのが大きいですね。それに LinkedIn のユーザーは閲覧専門の人がメインで、発信者優位。しかも企業の経営層や人事・採用の責任者が多く登録しています。私の仕事への姿勢に共感してくれる人が集まり、そのつながりからお仕事をいただけるようになりました。

豊川さんの LinkedIn トップページ

豊川さんの LinkedIn トップページ

佐伯:僕は普段の業務に追われて、どうしても SNS に時間をかけられない。フォロワー数も伸びなくて...どう意識して使っていますか?

豊川:誰に、どこで伝えるかは大事ですね。人事コンサルの仕事は基本的に対企業なので LinkedIn、X、Facebook あたりをメインに使っています。最近始めた学生さん向けのキャリア相談は Instagram を活用するなど、それぞれ優先順位をつけて更新しています。

それに、フォロワー数の多さが仕事につながるわけではないんです。実際、X はフォロワー数が今よりも少ない2000~3000のときにいちばん連絡がきましたね。

佐伯:どの SNS を使うかは文章の内容の濃さ、充実度にも関係がありそうです。

豊川:振り返ってみると、熱量を持って綴った文章はどの SNS でも反応がいいですね。ただ、実際に仕事をしたときにギャップが生じるのは避けたいので、等身大の発信は意識しています。

ターゲットの行動を考えつくし、たどり着いたバス広告

佐伯:僕は、SNS をもっぱら事業用 Web サイトへの流入獲得で使っていますね。サイトにはフリーのグラフィックデザイナーになって12年分の実績を掲載しているので、そこに訪問してほしいのが狙いです。

豊川:じゃあ、問い合わせは Web サイトからが多いんですね。

佐伯:頻度は少ないですが、LinkedIn や X からもあります。あ、フリーになって最初の依頼は Facebook 経由でしたね。手がけたデザインの投稿を見た、知人の紹介です。あとは Behance など、クリエイター向けポートフォリオサイトにも実績を公開しているので、そこから案件につながったケースもありますね。

豊川:SNS 以外ではどんな経路からの流入を仕掛けていますか?

佐伯:最近行ったのは、バス広告です。僕のデザイン業の広告を、バスの車体後方に出しました。

豊川:私にはないユニークな発想です!なぜバスに?

佐伯:新規の問い合わせをもっと増やしたくて、最初はネットのバナー広告を検討したんです。ただ作る側の僕が言うのもなんですが...オンライン広告って、出し方によってはコンテンツの雑音になりかねませんよね。

それである日、バスの乗車中に渋滞に巻き込まれ、前方を走るバス後部の広告を眺めていたんです。そうしているうちに自然と視界に入りやすい、バスの車体広告もいいのではないかと。調べたら費用もそんなにかからないことがわかり、今まさに広告を掲載しているバスが藤沢エリアを走っているところです。

バスの車体に掲示された佐伯さんの広告

バスの車体に掲示された佐伯さんの広告

豊川:藤沢エリアはどんな理由で?

佐伯:実家のある藤沢方面への帰省中に思いついたから、というのもありますが、藤沢や湘南エリアはコロナ禍に移住者が増えた地域なんです。都内に住みながら週末に来てはサーフィンを楽しむ取引先の方も何人かいます。ある意味オフになるエリアで、アナログのオフライン広告を出すのもおもしろいかなと。効果はこれからですが、デザインに困っている経営者の方や、企業のマーケティング担当者などに届くとうれしいですね。

豊川:そのバス広告を見て気になった人は、佐伯さんのWeb サイトを訪れるわけですね。

佐伯:ほかにも営業・プロモーション施策では、年賀状と暑中見舞いを取引先に毎年送っています。紙媒体のデザインや印刷のスキルも伝えたいので、あえての実物送付です。ポストに届くものだと、メールのような未開封削除があまり起こらず、手に取って見てもらいやすいですしね。

佐伯さんの暑中見舞い

佐伯さんの暑中見舞い

思いついたプロモーション方法は全部やってみる

豊川:私はやっと事業用のサイトをオープンしたところなんです。今は SNS から依頼をいただく受け身の状態ですが、ゆくゆくは能動的に営業をかけたいので、サイトへの導線設計は今後の課題です。

佐伯:僕は、可能性があるプロモーション方法はどんどん試していこうと思っています。フリーランスになった頃、税理士さんに効果的な仕事の獲得方法を相談した際、「思いついた施策は全部やって」とアドバイスされたのが印象に残ってるんです。

豊川:まず試して、効果を測っていく姿勢も大事ですよね。ちなみに、タクシーの動画広告とかはどうですか?

佐伯:僕、乗車したら真っ先に画面オフにしてます(笑)。広告は、顧客になる見込みがある人たちが集まるところに打つのが効果的です。そう考えると僕の場合、マーケターや広報のフリーランスが多く登録している Sollective のコミュニティ内でアピールするのも手かなと思っています。

豊川:なるほど! 佐伯さんのようなクリエイティブな職種の人とも、いい出合いがあるかもしれませんよね。

私は海外で担当者の顔出し看板をよく見るのですが、それを日本で試してみるのもおもしろいかもしれないなと思いました。フリーランス人事の場合、信用を得るためにある程度の自己開示も必要ですから。

佐伯:広告制作は僕のスキル領域なので、その際はぜひご相談ください!

豊川:大きな広告を出せるくらい、がんばります!

ソレクティブは「フリーランスの価値を証明する」をミッションに、フリーランス向け完全審査制プラットフォームやSaaS型サービスを提供するスタートアップです。フリーランスの皆さんがそれぞれ理想とするキャリアの実現をサポートするだけでなく、企業に対してフリーランスや副業ワーカーを採り入れたアジャイルな組織作りを提案しています。詳しくは下記のリンクから🔗

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