プロフリーランスが仕事をしたいのはどんな企業?その逆は?本音対談
年々増加しているフリーランス人口。それに伴い「フリーランスと協業したい」という企業も増え続けています。
とはいえ、すべてが「いい出合い」になるとは限らない現実も。そしてそれは、フリーランスに限らず企業も同じです。
双方にとって満足度の高い協業はどうしたら実現するのでしょうか?今回は、フリーランス歴5年の長浜さんと、もうすぐ1年という久保さんの経験談からそのヒントを探ります。こっそり「残念なケース」も聞いたので、いい出合いをつかみたいフリーランスはもちろん、協働を考えている企業の皆さんもぜひ参考にしてください。
仕事を引き受ける基準は「仲間」として働けるかどうか
久保:今日の対談には東京から参加していますが、普段はオランダのアムステルダムで生活しているんです。
長浜:え!じゃあ、仕事はすべてリモートで進めているんですね。
久保:基本はフルリモートです。フリーランスで事業開発の仕事を請け負う傍ら、オランダで事業の立ち上げ準備もしています。だから、仕事を選ぶ条件としてフルリモートは外せないんです。
長浜:僕も久保さんと同じく、フルリモートが大前提ですね。子どもが2人いるので、妻と家事や育児のシェアをフレキシブルにしたいんです。
ほかに重視しているのは、稼働時間をこちらで自由に決められるかどうか。デジタルマーケティングの仕事の性質上、広告配信の数値を定点観測しないといけないので、曜日や時間固定の契約は避けるようにしています。あとはフィーリングが合うか、コミュニケーションがスムーズにとれる取引先かどうかも大事ですね。
久保:それはすごく大事ですよね!僕は企業には2パターンあると思っていて、その空気感は面談でお互いになんとなく感じられるような気がしています。
1つはフリーランスに対するリスペクトを感じられないパターン。「この事業を伸ばすために、いい協働相手を探したい」という企業側の必死さは理解できるものの、面接相手を値踏みするような姿勢はどうかと…。もう1つは、単なる外注先ではなく「仲間」を求めているパターンです。それは1、2回面談をすると話し方や表情でなんとなくわかると感じます。
僕は事業開発の仕事柄、長期間プロジェクトに入ることが多いため、「仲間」だと思ってくれる企業と仕事がしたいと考えています。仲間としてお互いノリノリのリレーションで進められた方が、結果的にプロジェクトの成果にもつながると過去の経験からも思います。
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ポジティブなコミュニケーションがある企業とは、また仕事がしたい
長浜:プロジェクトを進める過程でも、ポジティブなコミュニケーションがある企業との仕事は心地いいですよね。頻繁に感謝の言葉をかけてくれるとか。久保さんが「この企業とはまた一緒に働きたい」と思うのはどんな相手ですか?
久保:フィードバックをちゃんとくれる取引先はありがたいですね。たとえば IT の開発案件だと、RFP(提案依頼書)を提出して回答をもらうプロセスを踏むのですが、そんな当たり前の業務に対しても、「ありがとう」でも何でもいいのでフィードバックがほしいですね。
長浜:そういう一言で、モチベーションも上がりますよね。僕は「こういうことってできますか?」と、本来の役割でない仕事をプラスでお願いされるのがうれしいんです。あらゆる投げかけに応えたときに「スーパーマンみたいですね!」と言われたことがあって。役に立っている実感もありましたね。
久保:それはうれしい。社外の人間だけど「同じゴールを目指すチームの一員」という姿勢でいてくれる企業とは、またお仕事したいと思いますね。そう考えると、僕は今すごく取引先に恵まれているなと。
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「どう仕事を振ればいいかわかないから放置」だと貢献できない
久保:逆に困るのは、「フリーランスにどう仕事を振っていいかわからないから放置」というケースです。フリーランスとの協業に慣れていない企業に多いのですが、この状況ではこちらもどうやって貢献すればよいか悩んでしまいます。
長浜:採用を決めたマネージャーがメンバーに振って、振られた本人は僕らに何をお願いしていいかわからず、結果指示が曖昧になって…みたいなケースはまれにありますね。
久保:取引先内での意思疎通や指揮系統がうまくいってないと感じたら、ストレートに聞くようにしています。「どなたに確認したらいいですか?」って。そうじゃないとプロジェクトに僕が存在する価値が上がらないし、取引先にとっても時間とお金がもったいない。たまに「担当者が忙し過ぎて仕事を振る時間がない」パターンもありますけどね。
長浜:その逆で、監視しようとする会社もありました。「稼働時間中は常時ビデオ会議をつなげてほしい」と面談で言われた案件はお断りしましたね。
久保:フリーランスってそもそも管理されない環境の方が、パフォーマンスを発揮できる人が多いのではないかと。フリーランスとの協働を決めたのなら信頼して、ある程度は任せてほしいのが本音です。
一方で、管理しないと期待するアウトプットが出てこない、と取引先に思われないためにも、高いパフォーマンスを発揮し続けることも大事ですよね。
いい出合いをつかむには打席に立ち続けること
長浜:ほかに困った経験で言うと、面談時とは案件内容が違ったケースがありました。広告運用だけのはずが、オフラインの施策を相談されたんです。途中で業務範囲が広がっていくのはまったく問題ないけれど、スタート直後から契約外の業務内容が追加されたのでかなり戸惑いました。とはいえ、これも経験になると前向きに捉えて引き受けましたが。
久保:僕の場合は、取引先と情報格差があまりにもあると、やりづらさを感じます。社外メンバーに対して共有 NG の情報があるのも理解できますが、プロジェクトの進行に影響するケースも多いので。ただ結局はそこも、コミュニケーションである程度解決できる問題かもしれませんね。
長浜:担当者と話す機会を積極的に作るしかないですよね。それは仕事を決めるときも同じ気がします。引き受ける前にフィーリングが合うか、コミュニケーションがスムーズに取れそうかを見極める。
久保:そもそも経験を積まないと、合うかどうかの判断もつきませんよね。そういう意味でも、僕はまず質より量だと思っています。とくにフリーランスの初期は「多少キツかったとしてもやるしかない」の気持ちも持つべきかなと。
長浜:とにかく打席に立つ機会を作れば、判断軸が定まってくるし、結果的に活躍の場も広がりますよね。
久保:そうそう。最初からいろいろ考えて「やらない」というマインドでいるのは、フリーランスとしてはもったいないなと思います。
長浜:異業種のフリーランスの方の働き方や仕事の選び方ってなかなか聞けないので、今日はお話しできてよかったです!
久保:これを機にぜひ、これからも交流できるとうれしいです!