フリーランスの孤独や不安、どう解消する?若手とベテランの本音対談 Article Image

フリーランスの孤独や不安、どう解消する?若手とベテランの本音対談

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やりがいのある仕事ができるようになってきて、生活も充実している。でも、もっと経験を積んで成長するにはどうすればいいのだろう?そもそも今の働き方をいつまで続けられるのだろうか?

働く人なら誰しも抱く悩みです。でもとりわけ若手フリーランスが不安を強く感じるのは、あまりにもロールモデルが少ないから。今回は30代フリーランスの山口さんがいま気になっていることをきっかけに、50代でフリーランス歴25年を超える鎌田さんから先達として自身の経験を話してもらいました。

世代を超えたトークから、フリーランスならではの不安への対処法や、次のステップの仕事へ踏み出すためのヒントがきっと見つかるはずです。

🎙30代フリーランス:山口結花さん(以下、山口) (事業開発コンサルタント、プロジェクトマネージャー) 新卒で大手コンサルティングファームに入社し、経営コンサルタントとして勤務。教育関連会社に転職後は新規事業開発責任者を経験し、2022年に独立。柔らかい段階のアイデアを事業戦略として練り上げるほか、取引先のメンバーと連携を取って実現への道筋をつけるのを得意としている。 https://www.sollective.jp/freelancer/YamaYu 🎙50代フリーランス:鎌田保さん(以下、鎌田)  (事業開発コンサルタント、ビジネススクール講師) 総合商社での勤務時代に8年間で国内外へ8回の転勤を経験し、「好きな場所で自分の人生を生きたい」との思いからバルセロナへ移住、独立。長年の事業開発やマーケティングコンサルタントの経験を活かし、ビジネススクールの教壇にも立つ。 https://www.sollective.jp/freelancer/Tamotsu

「案件がなくなるかも」という不安には、別分野の仕事が助けに

山口:鎌田さんはフリーランスになってから25年なんですよね。この生き方を選んだきっかけは何でしたか?

鎌田:実はフリーランスでやってやるぞ!といった前向きな意識はまったくなかったんです。25年前の事業開発職には今のようなフリーランスという概念がなく、「会社員でなくても、仕事はできるぞ」という考えでフリーランス人生が始まりました。

山口:そのとき、いつかまた会社員になろうなどの考えはありましたか?

鎌田:そういう計画もしていませんでしたね。30代の当時、雇用形態にこだわりが全然なかったんです。おもしろい仕事があって、稼げるならどちらでもいいと思っていました。山口さんはフリーランスになって2年ほどですね。この先が気になってきましたか?

山口:私は今でこそ順調に仕事がつながっているのですが、会社の根幹に深く関わる事業開発という仕事の性質上、一度に1案件、多くても2案件しか担当できません。幸い、今はお客さまから非常に評価いただき楽しく働けているのですが、その「1」が「0」になる日がいつか来るんじゃないかと不安に感じているんです。鎌田さんは仕事の波に対して不安を覚えたことはありますか?

鎌田:もちろん、不安はありますよ。実際に仕事の浮き沈みもある、というかいつもギリギリです。ただこれも30代のときはそんなに気にしていなかったんです。条件を選ばず営業に力を入れれば仕事は得られていたので。40代を過ぎてからは時間も体力も有限だと感じるようになり、何でも引き受けてしのぐというやり方はしなくなりましたけどね。

山口:じゃあ今は不安な気持ちにどう対処をしているんですか?

鎌田:今救われているなと思うのは、事業開発とは別でやっている仕事の存在ですね。おぼろげながらも、30代、40代、50代で事業開発以外にもこういう仕事をしてみたいというイメージを持っていたんです。異なる分野でしたがどれも僕の専門性や強みを生かせる仕事で、チャンスがあれば挑戦してきました。その1つはビジネススクールの講師です。

不安に対処するために始めたわけではないけれど、どれか1つの仕事がガクッと落ち込んだとき、ほかの仕事の喜びや収入が助けになったことは何度もありました。

ビジネススクールで教鞭を執る鎌田さん

ビジネススクールで教鞭を執る鎌田さん

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フリーランスの孤独や不安には、意識的な「つながり」の開拓が有効

鎌田:あと、常にアンテナを伸ばしてネットワーキング…つまり人脈づくりをし続けるのも、「案件ゼロ」の不安に有効かもしれません。僕の場合はネットワーキングの機会や一般に公開されている会議に参加したり、またビジネス SNS を活用したりしてつながりを広げています。

これは営業活動という意味もありますが、プロフェッショナル同士の雑談って、情報収集のためにも、刺激を受けてモチベーションを上げるためにも大切だと思うんです。会社員なら自然にできることですが、フリーランスは自分から時間とエネルギーを投資して得ないといけないものだと感じています。

山口:私はまったく知らない人とのつながりは持てていなかったのでその視点は新鮮です。知らない人ばかりの世界に飛び込むのは怖くて躊躇していました。

鎌田:そうか、怖いっていう気持ちは僕にはなかったなあ。僕はフリーランスで仕事をしていていちばん辛いことの1つが孤独感なんです。孤独感と上手に付き合う意味でも、積極的に新しく人と知り合い続けるようにしています。

山口:考えてみると、私はちょうど今のプロジェクトメンバーといい関係性で働けているので、つながりを広げなければと迫られるほどの孤独を感じていなかったのかもしれません。

でも、鎌田さんのお話を聞いて新しいつながりを積極的に求めるのも必要だと感じたので、少しずつやってみます。Sollectiveにもコミュニティがありますもんね。

Sollective のイベント『The Collective vol.2』のライトニングトークに登場した山口さん(中央)

Sollective のイベント『The Collective vol.2』のライトニングトークに登場した山口さん(中央)

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成長を求めて自分からプロジェクトを卒業するのも選択の1つ

山口:事業開発の仕事の性質から、悩んでいることがほかにもあるんです。1社に長く密接に関われている幸せの一方、その会社での経験しか積めない側面もありますよね。ほかのフリーランスの方と話すと「フリーランスのメリットの1つは短期間で複数の企業での経験を積めること」だとも聞くので、1つに長く関わりすぎないでほかの案件に移って研鑽したほうがいいのか、だとしたらどのタイミングで卒業したらいいのかと考えてしまうんです。

鎌田:僕の経験では、自分からプロジェクトを卒業する理由は3つあります。1つは人間関係、2つめは報酬の問題、3つめは学び尽くしたとき。山口さんがおっしゃるのはこの3つめに近いでしょうか。「もうそろそろ」という感覚が生まれたら、卒業を考えてもいい理由に十分なると思います。

ただ、自分がおもしろいと思える案件に中長期的に関われるというのはうらやましいです。スペインで働いているせいもありますが、僕の周りでは、事業の核心で社外の事業開発が長く伴走するケースはほとんど見たことがありません。多くの場合は数か月の短期契約で、組織のなかに入っても「短期の助っ人」として認識されるため、寂しさとか物足りなさを感じることもありますね。

山口:確かに、今のプロジェクトには本当に恵まれています。

鎌田:結局、僕から伝えたいのは「山口さんがいいと思うことを選ぶのが一番」ですね。これはフリーランスに限った話ではないけれども、フリーランスでいるからこそ、周りの人はいろんなことを言うはずなんですよ。うまくいってないときは心配されたり、順調なときは嫉妬されたり。でもそういうことは全然聞く必要ない。特に30代なら、自分が納得できる仕事をやり切るのがよいのではないでしょうか。何しろ人生は1回きりですから。

山口:ありがとうございます。すごくズシッと胸に響きましたし、励まされました。これまで「フリーランスの私」っていう主語で誰かと話したことはなかったんですが、今日お話しできてよかったです。これからもよかったらときどき交流できるとうれしいです。

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