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2023.04.10# Tips

フリーランスの始め方:たった3つのステップで誰でも開業

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税理士監修のもと、フリーランス初心者に税金や経理関連の情報をお届けする「フリーランスの経理入門」シリーズ。第2回は、フリーランスの始め方として開業のステップを税理士が詳しく解説します。

何ごともそうですが、最初が肝心。今回紹介する3つのステップを踏んでおけば、あとから損したり困ったりする可能性がぐんと減ります。

フリーランスの始め方を知りたい皆さんだけでなく、頼まれるうちにフリーランスとして働き始めてしまった人もぜひ参考にしてください。

ステップ① e-Tax に登録する

まず済ませておきたいのが e-Tax(国税電子申告・納税システム)への登録です。これは所得税や消費税など各種国税の申告や法定調書の提出、インボイス事業者(適格請求書発行事業者)申請等の手続きがオンラインでできるシステムで、最初に登録しておけばステップ②と③も楽に済ませることができます

そのメリットは、自宅にいながら各種手続きが行えるだけではありません。たとえば確定申告を e-Tax で行うと、紙で行う場合よりも控除額が10万円増える場合があるため、節税観点からもおすすめなのです。

e-Tax の登録・利用にはマイナンバーカードがあると便利

e-Tax を使うときにあると便利なのは、マイナンバーカードと、IC カードリーダライタあるいはマイナンバーカードの読み取りに対応したスマホです。カードの発行には数週間程度かかる場合もあるので、まだ持っていない人は早めに申請しておきましょう。

マイナンバーカードが手元に届いたら、こちらの手順で必要な手続きを進めてください。

利用時間は日によって異なるため注意

注意したいのは、日によって利用時間が限られていること。通常期の月・土・日・休祝日の24時~翌8時半の間は利用できないので注意しましょう。利用可能時間カレンダーはこちらで確認できます。

確定申告時期は曜日にかかわらず24時間使えますが、過去には利用が集中して障害が発生したこともありました。そんなリスクも想定して、確定申告時期の負担を最小限に抑えられるよう、早めに登録を済ませておくのがおすすめです。

なお、e-Tax は国税のシステムなので、地方自治体に納める住民税や個人事業税の手続きはできません。地方税については eLTAX(エルタックス、地方税ポータルシステム)という別のシステムがあるのでそちらを利用してください。

ステップ② 開業届を提出する

次は開業届の提出です。これは個人事業主として公式に認められるための手続きです。

実際には開業届を提出しなくてもフリーランスとして活動できますが、提出すれば個人事業主向け補助金の対象になるなどのメリットがあります。また、確定申告で節税効果の高い青色申告を行うには開業届の提出が必須です。

提出時には必ず控えを手元に残しておく

提出は税務署の窓口でできるほか、郵送や e-Tax でも可能です。その際に気をつけたいのは、控えを手元に残すこと。

特に補助金を申請する際などには開業届の控えの添付が求められます。窓口や e-Tax で手続きした場合は控えが残るため問題ないのですが、郵送申請の場合は押印して送り返してもらえるよう、プリントアウトした控えと返信用封筒も同封しておくのがおすすめです(封筒には切手を貼るのをお忘れなく!)。

控えが手元にない場合は、税務署で提出済みの開業届の閲覧を申請し、写真を撮っておくとよいでしょう。

開業届は税務署のウェブサイトでダウンロードできるほか、e-Tax や e-Tax と連携した会計ソフト上でも作成できます。

開業届を書く際は2つのポイントに注意

青色事業者となる場合は、下のサンプルの赤丸の部分を選択したうえ、オレンジ色の部分に記入しましょう。ここで特に知っておきたいポイントが2つあります。

A:職業と屋号はあとから変更可能

職業はメインの業務内容に近いものを書きましょう。書き方に決まりはなく、たとえば UI/UX デザイナーの場合「ウェブデザイナー」でも「ウェブサイト設計者」でも大丈夫です。

ここで記入する職業と屋号はあとから変えられます。その方法は、確定申告時に新しい職業と屋号を書くだけ。ただし確定申告時に書いた職業によって、2年目以降に課される個人事業税の対象有無や税率が変わるので注意しましょう。

B:消費税に関する課税事業者選択届出書は「無」でOK

消費税の課税事業者と聞いて気になるのが2023年10月から始まるインボイス制度です。

インボイス事業者(適格請求書発行事業者)になるには、原則として課税事業者選択届の提出が必要です。ただし特例措置として、2029年9月30日を含む課税期間中まではその提出が不要とされています。そのため、インボイス事業者登録有無にかかわらず、一旦ここでは「無」を選択しておいてよいでしょう。ちなみにインボイス制度については別の記事で詳しく説明する予定です!

ステップ③ 青色事業者登録を行う

確定申告の時期になるとよく耳にする「青色」と「白色」。まずはその違いを見ていきましょう。

白色は手間がかからない分、節税効果がない

白色は簡易簿記という形式で、売上と経費だけを管理するシンプルな方法です。イメージとしては家計簿で、いわば入出金を管理するだけ。手間がかからない点はメリットですが、青色事業者に認められた特別控除がないため節税にはなりません。

青色なら簡易簿記でも控除と経費計上で節税効果あり

しかし同じ簡易簿記でも、青色事業者登録を行えば10万円の控除が受けられます。つまり、売上から経費を引いた所得が300万円の場合、白色申告の場合は300万円が課税対象所得となるのに対して、青色申告の場合は290万円となるのです。

さらに、青色にすれば経費として計上できるものが増えるため、その点でも節税効果が見込めます。たとえば白色の場合10万円以上の固定資産は減価償却対象になりますが、青色の場合30万円未満であれば一括で経費にすることが可能です。

青色の複式簿記なら控除額がアップし節税効果大

青色で複式簿記にすれば、控除額がさらに増えます。その額は、確定申告書類を紙で提出の場合は55万円、e-Tax で提出の場合は65万円です。つまり所得が300万円の場合、紙提出の場合は245万円、e-Tax 提出の場合は235万円となるのです。

複式簿記とは、売上と経費だけでなく資産まで管理する方法です。また単年でお金の出入りを見る簡易簿記とは異なり、複式では過去からの蓄積も把握できるため、事業の成長が見えやすくなります。

管理方法は簡易簿記に比べると複雑になりますが、会計ソフトを使えば貸借対照表(バランスシート)などが自動で生成されるため、会計知識がなくても難しくはありません。ただし、会計ソフトの利用料がかかるほか、場合によっては税理士費用が発生する可能性もあります。

提出は開業後2か月以内に

青色事業者になりたい場合は、青色申告承認申請書を提出しなければなりません。新規開業者は開業後2か月以内と期限が決まっているため、開業届と同時に提出するのをおすすめします。

青色申告承認申請書は税務署のウェブサイトからダウンロードして窓口または郵送で提出できるほか、e-Tax または会計ソフト経由でも可能です。郵送申請の場合は、開業届の場合と同様に控えを送り返してもらえるよう控えと返信用封筒を同封しましょう。

青色申告承認申請書の書き方

複式簿記を選択する場合の申請書の書き方は次のとおりです。下のサンプルの赤丸部分を選択し、オレンジ色の部分に記入しましょう。

社会保険の手続きもお忘れなく!

さあ、ここまで出来たら晴れて個人事業主として開業です🎉

とはいえ、最後に忘れてはならないのが国民健康保険と国民年金の加入です。独立すると決めたら早めに市区町村の窓口で手続きを行いましょう。また職種によっては、国民健康保険組合に加入できる場合もあります。

特にデザイナーやエンジニア、ライター、イラストレーターなどに利用されているのが「文芸美術国民健康保険組合」です。国民健康保険の場合は前年所得に応じて保険料が変動しますが、組合の保険料は一定金額に決まっているため、場合によっては保険料を大きく節約できる可能性があります。ただし、加入には組合に加盟する団体に所属する必要があるため、気になる人は調べてみてください。

ほかのフリーランスがどうしているのか気になったら、ぜひ Sollective のコミュニティで相談してみましょう。疑問や不安がすぐに解消できるかもしれません。

次回のテーマは「契約書」です。どうぞお楽しみに!

Contributor/ Keiichiro Nishiura(公認会計士・税理士) Sollective : https://www.sollective.jp/freelancer/keiichiro-nishiura Twitter : https://twitter.com/Keiichiro_ni Editor / Yuna Park Sollective:https://www.sollective.jp/freelancer/Yuna/ LinkedIn:https://www.linkedin.com/in/yuna-park-9a802411b/ note:https://note.com/yunapark

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