事業の持続可能性に直結!在宅フリーランスの身体&メンタルの健康対策
在宅勤務中心のフリーランスになり約10年。振り返ると「首肩、背中も腰も痛い」「眼精疲労」「疲れているのに寝つけない」「寝ても疲れが取れない」など、大ごとではなさそうな、しかし当事者としては深刻な健康問題にたびたび直面してきました。
こうした問題は、一見地味なようで生産性を左右します。会社員と異なり仕事量が収入に直結するフリーランスにとって、健康の悪化は死活問題。何より身体が辛いのは嫌なので日頃から健康には気をつけてきましたが、先に挙げた不調はなかなかよくならず、むしろ悪化を感じるときも。
しかし今思えば、以前の私の毎日のなかに、自分の視点にとらわれて気づけなかった不健康な習慣や不調の原因がありました。今回は個人的な経験をふまえ「フリーランスで在宅勤務」という働き方にある見落としがちな不調の原因と対処法を、身体とメンタルの両面から紹介します。
身体の健康は日々の習慣から!姿勢改善で不調が改善
在宅勤務を長期的に続けるなかで、身体が辛くなる最大の原因の1つが姿勢です。コクヨ株式会社の調査によると、オフィスワーカーの約8割が姿勢の悪さを自覚し、約9割が勤務中の不調と姿勢の相関性を確認していることがわかっています。
長時間のデスクワークという点は在宅勤務でも同じで、私自身も姿勢が体調に大きく影響することをこの10年で実感してきました。そんな私が試行錯誤の末に効果を感じたのが次の2つです。
1. ワークチェアは合っている?働く環境を見直す
会社勤めの場合と異なり、フリーランスで在宅勤務なら自分で職場環境を整えることが必要です。特に姿勢に自信のない人や、痛みがある人は、今の環境が与える身体への負担を見直し、自分に合うように改善する価値があります。よいワークチェアを使う、パソコン画面を目線の高さに調整するといった工夫をしてみましょう。またスタンディングデスクも選択肢の1つで、導入しやすい後づけタイプもあります。
私の場合は、過去に安価というだけで硬いワークチェアを使っていた時期や、ダイニングテーブルで長時間作業していた時期がありました。結果として首肩背中の痛みが悪化し、整形外科に行くまでに。今なら当然だと思いますが、当時は環境を軽視して、姿勢は意思の力でどうにかなると甘く考えていたのです。
しかし引っ越しを機に少し奮発してよいワークチェアを用意し、ノートパソコンスタンドとともに使い始めると痛みは軽減。運動不足や体質まで疑っていたのに、こんなに単純な原因に気づけなかった自分に愕然としました。結果として整形外科に行く必要はなくなり、痛みで仕事に集中しづらい状態も抜け出しました。
2. インナーマッスルを意識した運動を取り入れる
通勤や社内での移動がないフリーランスは運動不足になりがちなため、意識的に体を動かしている人は多いでしょう。実際に、フリーランスで運動習慣がある人は4割を超えるという調査結果もあり、健康意識の高い人が多いようです。
しかしいくら運動習慣があっても、仕事中の姿勢が崩れていては身体の痛みやこりにつながります。1人で仕事に没頭してしまうと周りの目も気にならず、自分が思う以上に悪い姿勢で長時間過ごしている可能性もあります。
私も日頃から健康を意識してさまざまなエクササイズを取り入れてきましたが、ストレッチや筋トレをしても首肩背中のこりや腰痛が楽にならないのが大きな悩みでした。そうして半ば諦めていたときに出会ったのがピラティスです。
ピラティスはドイツでリハビリのために生まれたエクササイズで、インナーマッスルを鍛えながらよい姿勢を作ることを目指します。ピラティスを始めて気づいたのは、運動歴は長くても、よい姿勢に必要な筋肉が育っていなかったという点。最初はよい姿勢を維持するのに疲れるほどでしたが、続けるにつれて正しい姿勢をとりやすくなりました。始めて1年未満ですが、すでに首肩背中のこりや腰の痛みが以前と比べ明らかに軽くなっています。
インナーマッスルを鍛える方法は、ピラティス以外にも自宅でできるトレーニングや、特定のヨガのポーズなどさまざまです。鍛えて損はありませんし、痛みに悩む人なら試す価値がある、おすすめの健康対策です。
悩みを溜めない!しっかり休んでメンタルも健やかに
次に、メンタルの健康について考えてみましょう。在宅勤務で人と会う機会が限定されがちだと、知らぬ間に悩みを溜め込んだり、メンタルが不調でもすぐに気づけなかったりする状況は誰にでも起こります。
会社勤めなら仕事量をほかの人に把握してもらえたり、福利厚生でカウンセリングが受けられたりするケースもありますが、フリーランスは自主的に仕事量を管理し、必要なケアを取り入れなければなりません。私の経験から、効果的だと感じたのは次の3つです。
1. 意外とモヤモヤしてるかも?悩みを溜めずに話す
フリーランスという生き方を選ぶ人は、そもそも自立心に溢れ、自分で問題を解決したい人が多いのではないでしょうか。1人の時間が苦ではなく、自分の面倒をみるのも得意な自覚があるからこそ、諸刃の剣で人に頼ったり悩みを打ち明けたりすることが苦手な側面もあるかもしれません。まさに私がそんな感じです。
私は1人の時間が好きなせいか、無意識に悩みを溜め込むことがあり、結果として気分の落ち込みや寝つきの悪さなどにストレスが表れます。「大ごとではない」「自分で消化できる」と思っても、実際は意外と悩んでいて、溜め込むと自分も弱るのだ、と当然のことに気づいたのが大事なターニングポイントになりました。
そこからは、自分は大丈夫だと思わずに積極的にモヤモヤや悩みを打ち明ける機会を設けています。心を開いて話したり、助言をもらったりする場に積極的に参加することで健やかなメンタルを維持しやすくなったと感じます。
では肝心の誰に話すかですが、まず周囲に信頼して話せる人がいるなら頼ってみましょう。「こんなこと話して大丈夫かな」と思うかもしれませんが、話してみると心配はいらなかったと感じ、そんなに特別な悩みではなかったと気づいたり、会話のなかで悩みの深刻さがぐっと軽くなったりします。そして状況が変わっていなくても、話しただけで気持ちが楽になることがほとんどです。
同業種やフリーランスの交流会に行ってみるのもおすすめです。私は、特に悩み相談に行ったわけではなかったのですが、話すなかで結果的に職種特有のよくある悩みの話になり、お互い笑いながら愚痴を言い合って予想外にスッキリしたことがあります。それ以外にもいろいろな人の話を聞きながら自分の状況を再確認でき、モチベーションアップにもつながりました。さまざまな人との情報交換は、視野を広げてモヤモヤを客観視する役にも立ちます。
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2.カウンセリングで考え方の癖と向き合う
仕事のことに限らずモヤモヤしているときには、カウンセリングもよい選択肢です。私は人間関係に悩んだのをきっかけにカウンセリングを受け、特定の出来事や悩みを話すなかで自分の考え方の癖にたどり着きました。その癖が生まれた背景や理由を探り、自分の思考パターンを理解することは、目の前の悩みの解消だけでなく日常の自分を見守っていくうえで大きく役立っています。
「アドバイスや意見を押しつけられたらいやだ」と心配する人もいるかもしれませんが、カウンセリングでは答えを与えられるわけではなく、焦点が当たるのは自分自身の考え方や、その背景だけです。カウンセラーの専門知識を聞くことはありますが、その目的も自分の考えを整理し、現状を新たな視点から見ることでしかありません。カウンセリングは話を引き出してもらいながら、よりよい自己理解を促す場だと言えます。
自分の話題や思考の癖に限定して周囲の人に話を聞いてもらう機会は普段なかなか設けづらいうえ、特に近しい人だと話しづらい内容もあるかもしれません。だからこそ、カウンセリングの場には大事な意味があり、根本的なメンタルの改善に効果的でした。
3. うっかり過労に注意!無理せずしっかり休む
フリーランスとして仕事を増やしたい、プロジェクトを成功させたいと思うがゆえに、うっかり働きすぎてしまうことは珍しくないでしょう。私の場合、特に独立したばかりの頃は多忙で頭が興奮状態になるとそれが充実感のように感じたり、根拠なく「自分は休まなくても大丈夫」と思ったりすることもありました。今でも無意識に限界を超えてしまい、あとから「よくなかった」と気づくこともあります。そして、働きすぎると結局ケアレスミスをしたり、疲労の蓄積がたたって休日に起きられなかったりと、よくないサイクルを生むことになります。
働き方が自分に委ねられているからこそ、しっかり休むことは、これまで紹介してきた項目のなかでも特に重要です。疲れているときに休むのはもちろんですが、日頃から睡眠を十分にとり、リラックスする日を設けることは集中力や生産性を上げるためにも欠かせません。
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健康対策は持続可能なフリーランス事業の鍵
独立当時の自分からは10年歳を重ねたわけで、切ないですが若さのエネルギーは明らかに当時の方がありましたし、無理もききました。しかし、全体的に振り返ると、こうした対策が日常の一部になった現在のほうが健康に毎日を過ごせていますし、自分の心身についてよりよくわかるようにもなりました。
自分に合う健康対策を築くことは、フリーランスとして持続可能な形で働いていくため、ひいては働き方を含め人生をよりよいものにするためにも重要です。まだまだ私の健康には伸び代があると思っていますし、これからも対策を変えたり、加えたりしていくことになるでしょうが、どんな健康の悩みが生まれても新たな学びを楽しみつつ対策をとっていきたいと思っています。
また、失敗を繰り返しながら身につけてきたこうした対策ですが、長い時間をかけて周囲にアドバイスをもらったり、オンラインで解決法を探したり、さまざまな人や情報に助けてもらってできた健康法でもあります。この記事が、少しでも誰かの役に立つことができればうれしいです。
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Writer / Mugiko Muraoka
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Editor / Yuna Park
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