フリーランスで早期リタイアは少数派!ハイスキル層が「ずっと働きたい」理由とは Article Image
2025.11.13

フリーランスで早期リタイアは少数派!ハイスキル層が「ずっと働きたい」理由とは

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誰もが一度は考える、「今の仕事、いつまでやる?」という問い。あくせく働く毎日に疲れると、資産形成に励んで早期にリタイアする「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」を夢見る人も少なくないでしょう。そんな早期リタイアを達成するため、あるいは早期リタイア後の選択肢として今注目されているのがフリーランスです。

たしかに、フリーランスは、自分のがんばり次第で収入を増やせます。逆に、すでに十分な資産や不労所得源を得ている場合は、やりたいことだけに絞って「ほどほど」で働くことも可能です。

しかし、スキルと実績を強みにビジネスシーンで活躍するフリーランスが早期退職を目指しているかというと、実際はそうではないようです。ではなぜ、ハイスキルフリーランスは「ずっと働きたい」と考えているのでしょうか。今回は Sollective 認定プロ12人から寄せられた実際の声をもとに、背景にある仕事観を考察します。

ハイスキルフリーランスの大半は早期リタイアを考えていない

今回質問に答えてくれた Sollective 認定プロは44歳~57歳の12名。フリーランス歴は2年目~23年目とかなり幅がありますが、いずれも20年以上の社会人経験を持つ人々です。

職種はコンサルタント、UI/UX デザイナー、IT エンジニア、データアナリスト、マーケター、エディター、ライター、人事など多岐にわたり、活躍する業界もさまざまです。そんなフリーランスの皆さんに今の仕事をいつまで続けるか尋ねたところ、「60歳まで(50代で卒業)」と答えたのは2名のみ。一方、「働ける限り続ける」「決めていない、わからない」と答えた人は合計で9人と、明確な時期を設定していない人が大半でした。

フリーランスが今の仕事を何歳まで続ける予定かを示すアンケート結果の円グラフ。『働ける限り働きたい』が最多の7人、次いで『60歳まで』2人、『70歳まで』1人、『決めていない・わからない』2人。フリーランスのキャリア観や働き続けたい理由を示すデータ。

また、「60歳まで(50代で卒業)」と答えた2名のうち、その後働くことを考えていない、つまりリタイアすると考えている人は1名。もう1名は「別の仕事で働きたい」という回答で、早期でのリタイアを考えていないことがわかりました。

長く続けたい理由で目立つのは「仕事がもたらす意味やメリット」

「働ける限り働く」と答えた人に今の仕事をずっと続けたい理由を尋ねたところ、「収入源の確保」のほかに目立つのは興味やライフスタイル、そして貢献感といった要素です。

「面白いから。仕事だけど、仕事と考えないでできるから」(データアナリスト、44歳)

「自分にとってトータルで見て最もよい職種だからじゃないかと思います。やりがい、社会的価値(≒ 収入)、自己実現、フリーランスという働き方との相性など」(UI/UX デザイナー、51歳)

「実は一度離れた経験があるのですが、思いのほか、自分のライフスタイルや思考に合っている職種だと感じたため」(マーケティング支援、51歳)

「社会との関わりを続け、ささやかでも社会貢献を続けたいから」(企業系専門コピーライター、55歳)

今回答えてくれた Sollective 認定プロの多くは、今の仕事を通してお金を得るだけでなく、自分にとっての意味やメリットを感じているようです。仕事を人生の一部と見なしているからこそ、期限を設けず続けるという考えになるのかもしれません。

持続可能性のため、年齢に合わせて仕事内容や働き方を調整

フリーランスが「働ける限り働く」という展望を持てるのは、自分の裁量で仕事内容や案件の量、働き方を調整できる点も大きいでしょう。

調査でも、長く働き続けたい Sollective 認定プロたちは、事業の持続可能性についても戦略的に考えていることがわかりました。なかでも目立ったのは、短時間で効率的に働けるようシフトする考え方です。

「時間をお金に換えるのではなく、知識・ノウハウ・経験をもとに月の半分くらいの日数で働くイメージ」(IT エンジニア/コンサルタント、57歳)

「今でも働く時間は会社員時代より短くなっています。今後は仕事の内容も精査するかもしれません」(マーケティング支援、51歳)

「本業が9割、副業が1割くらいの割合で現在働いています。本業では締め切りに追われて体力を消耗するため、徐々に副業の割合を増やしたいですが、本業も仕事がある限りは続けたいです」(エディター、44歳)

会社員の場合、仕事を調整したくても個人の意向だけではどうにもならない面が大きく、退職するか否かという二択になりがちです。一方でフリーランスの場合は自分次第でその間の選択肢を調整できるため、同じフィールドで「細く長く」働くことが可能であり、それに向けた準備もしやすいというメリットがあります。

実際に、回答者の大半が変化に備えて今から少しずつ準備を進めているようです。情報収集や新たな案件探しや強みの整理などのほか、仕事を受ける方針を「できるか勝てるか」から「やりたいか楽しいか」にシフトさせている人もいました。

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需要減を見越して「卒業」する人も

一方で、今の仕事を一定の年齢で卒業すると答えた人は3名。うち2名は、需要減を見越して別の仕事を始めるという回答でした。

その2名が構想する次の仕事は、「相談業」(ブランディングコンサルタント、52歳)や「グラフィックデザインの基幹になる考え方部分の伝達」(UI デザイナー/アートディレクター、48歳)など、いずれも経験を生かした分野です。しかし同時に、うち1名は現場仕事へのこだわりも見せていました。

依頼がくれば、今の仕事を続けます。受けたとしても、誰かに仕事を振るのではなく自分で作りたいです。作るのがやっぱり楽しいです。(今の職種以外にやりたいのは)お皿洗いやホテルの清掃など、接客業の裏方かな。今はデザインを通して顧客の満足度の向上に寄与していますが、それを現場で行いたいかもと思っています。デザイン制作事業にもメリットがありそうですし、現場での業務は画面越しと違って体感できることが多いと思うので。(UI デザイナー/アートディレクター、48歳)

フリーランスとして独立する動機は人それぞれですが、「マネジメントではなく自分で手や足を動かす現場の仕事をしたいから」というケースは少なくありません。年齢を経ても管理職やバックオフィス系業務に移ることなく、現場の仕事を選び続けられるのもフリーランスならでは。自分のやりたいことを貫くのもまた、フリーランスの生き方の1つです。

フリーランスにとって、仕事は「早くやめたいもの」ではない

フリーランスは、その柔軟性から早めにリタイアする傾向があるのかと思いきや、結果はその逆。蓋を開けてみれば、「できるだけ長く働きたい」と考えている人が大半でした。

そもそも、FIRE など早期リタイアを目指す前提には、「今の仕事は自分を縛るもの」「十分な資産があればもっと自由に選択できる」という発想があります。働き方や業務内容に制限がある会社員ほど、仕事に対してどこかネガティブに捉える傾向にあるのかもしれません。

一方でフリーランスはすでに自由な選択をした結果であり、誰にも縛られない働き方です。もちろん、案件を受ける際に報酬額を優先することはありますし、収入を第一目的として働いている人も少なくありません。しかし、その案件を受ける・受けないの判断を下すのは自分です。今は収入を優先して案件を受けていても、将来はやりがいを優先できる自由もあります。フリーランスにとって、すべては自分の意思を反映した選択であるため、仕事が「早くやめたいもの」という発想にはならないのでしょう。

なお以前の記事「フリーランスのミッドライフクライシス―モヤモヤに対処する6つのポイント」で、Sollective 認定プロの多くは儲けを度外視した楽しいプロジェクトを持っていることがわかりました。ハイスキルフリーランスは、一般的に FIRE 後に描かれるような生活を一部実践している点も、早期リタイアを考える人が少ない事実に関係がありそうです。

フリーランスのキャリアについては情報が少なく、若手フリーランスやこれから独立を考えている会社員のなかには、将来の展望に不安を感じる人もいるかもしれません。今回の調査結果で見えた細く長く働く気満々のフリーランスが大半という結果から、フリーランスという選択肢の明るい可能性を感じていただければ幸いです。

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