フリーランスが取引先に「NO」と言う方法 | 評価を上げるバウンダリーの引き方 Article Image
2024.11.29

フリーランスが取引先に「NO」と言う方法 | 評価を上げるバウンダリーの引き方

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クライアントの依頼に「NO」と言うことは、フリーランスにとって勇気が必要です。とはいえ、自分の価値を守り、長期的な信頼関係を築くためには境界線をしっかりと引くことが欠かせません。実は、適切な境界線の設定は周囲からの評価をあげることにもつながります。

そこで Sollective(ソレクティブ)は次世代ウェルネスコミュニティ「WellC」とともに、自分と他者を区別する境界線である「バウンダリー」の引き方を学ぶイベントを開催。信頼を損なわずに仕事を断る方法や自分の時間を守りながら結果を生み出す対応法などを、ワークショップを交えながらレクチャーしました。

今回は、大好評に終わった本イベントの内容をお届けします。

バウンダリーは「注意や敬意が必要な場所」を守る境界線

バウンダリーとは周囲の人に対する壁ではありません。言うなれば「この先注意」の看板のように、「誰でも通ることができるが、注意や敬意を払う必要がある場所」を守る境界線です。

バウンダリーを設定せずにクライアントからの依頼を引き受けているとさまざまな反応が起こります。なかでも、よくあるものは次の6つです。

  1. 駆け引き:やりたいかどうかではなく、「これをやったら好かれる」「評価してもらえる」といった駆け引きの思考で仕事を引き受けるように
  2. 失う怖さ:「この仕事を受けないともう依頼してもらえないかもしれない」というロスを過度に恐れる
  3. 責務感:立場や周りからの目線を気にして、「やらなくてはならない」という義務感や責任感でいやな仕事を引き受ける
  4. 無意識:断るという選択肢が最初からなく、依頼されたら反射的に引き受ける状態に
  5. 苛立ち・疲れ:仕事を引き受けたあとや、実行しているときにイライラがこみあげる。また「疲れすぎて軽い返信すらできない」といった強い疲労感が出ることも
  6. 困惑:自分が好きなものが何か、なぜ目の前の仕事をやっているのかがわからない状態に

こうした反応が当たり前になると、心身に不調を来すこともあります。まずは自分の反応を振り返ってみましょう。

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育った環境次第では「NO」と言いづらい

バウンダリーをうまく引けるかどうかは、育った環境に左右されるといいます。特に、保護者や家庭環境が以下の4タイプのどれかに当てはまるケースが多いようです。

  • 子どもを友達扱いする保護者だった
    保護者とは本来、子どもをケアしたり守ったりする存在です。もし、保護者のうちの誰かに友達のように対等に扱われて育った場合、大人になってからバウンダリーを引くのが苦手になることがあります。
  • 感情が悪だと教えられて育った
    悲しいときに泣いたり、いやな出来事があったときに怒ったりするのは「悪いこと」だと教えられて育ったケースです。感情を出したり、そもそも感情を持ったりするのを悪だと考えているため、「いやだ」「断りたい」という感情を出すことを怖がってしまうことがあります。
  • 家庭内でのケンカが多かった
    ケンカが多い家庭で育った、頻繁に仲裁役をしていたというケースが当てはまります。
  • 過度な期待をされていた
    保護者にあたる人が自分に過度に期待しており、常にプレッシャーを感じていたというケースです。自分の本音を言いづらくなるため、バウンダリーを引くのが苦手になる傾向にあります。

こうした自身の背景について悩んだり責めたりする必要はありませんが、バウンダリーを引く前に考えられる要因を知っておくことは重要です。

相手ではなく自分の行動を変えよう

バウンダリーを引くことは「自分にとって重要なこと」を周りに示すアクションであり、決して言い争ったり、嫌味を言ったりして他人を遠ざけることではありません。これを押さえたうえで、バウンダリーを適切に引くための3ステップを見ていきましょう。

バウンダリーを引くための3ステップ

①自分のなかで考える
バウンダリーを引くには、まず「自分にとって何が重要なのか」「自分は何がやりたいのか」を考えます。周囲の意見や希望ではなく、自分のなかで考えることが重要です。

②相手を変えようとしない
自分のなかで考えることができたら、次のステップは「相手は変わらない」と理解することです。たとえば、行きたくないイベントに誘われたとき、「誘わないでほしい」「企画しないでほしい」といっても、相手の行動を変えることはできません。自分のニーズに相手を合わせようとしないことが重要です。

③選択肢を考える
相手が変わらないなら、その場から去る、深呼吸をして落ち着くなど、自分にできることを探して実行してみましょう。先ほどの行きたくないイベントに誘われたケースであれば「私は行かないよ」と伝えることができます。最初の選択肢がダメだった場合でも、違う選択肢を試せば解決策が見えてくるかもしれません。

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相手に期待せず、手放す勇気が重要

イベント内では、実際の現場でどうバウンダリーを引くかを学ぶために、登壇者や参加者によるロールプレイングのワークショップが行われました。ここではその一部を紹介します。

ケース①クライアントに急な仕事の変更・追加を依頼された

📍状況
イベント運営を引き受けたところ、追加でレポートがほしいといわれた

🗣️自分にとってお金が重要な場合の返答例
「ありがとうございます。規模によりますが、1時間のイベントであれば稼働はおよそ半日です。そのため追加の費用は◯万円ほどとなります」

🗣️自分にとって業務内容が重要な場合の返答例
「ありがとうございます。現状レポート制作は引き受けておらず、代替案として〇〇があります。どうぞご検討ください」

ここで気をつけたいのは「それはできないと以前にお伝えしています」等とはねつけないこと。「前に断ったことを持ち出さないでほしい」「あきらめてほしい」といった自分の期待を相手に押しつけると、うまくバウンダリーを引くことができません。同様に、失礼なことをしているわけではないので、「申し訳ありません」などと謝る必要もありません

上記の返答例では、相手への期待や謝罪を交えることなく、自分の行動を変えています。こうした返答例に対して、参加者からは「クライアントから見ても要望がクリアで信頼できる」「不快感がない」といった声が寄せられました。

ケース②クライアントが自分の質問に答えてくれない

📍状況
質問を送っても返答してもらえず、別件のメールばかりがどんどん送られてくる

🗣️自分にとって納期やスケジュールが重要の場合の対応例
質問への催促はせず、別件への返信のみをする。最初に依頼された内容を完遂する

🗣️自分にとって最終的な仕事の成果やクオリティが重要な場合
「この質問をご確認ください」とはっきり連絡する

「自分の質問に答えてくれるまで別件のメールを無視する」あるいは「返信がないとできないと一方的に伝える」といった対応は NG です。いずれも相手の態度が変わることを期待しており、バウンダリーを引けていません。

ほかに、ワークショップ内では「本当に問題のあるクライアントに対しては関係性を断ち切る選択肢を持っておくことが重要」という指摘がありました。関係を断ち切ることは、誰にとってもショックな出来事ですが、段階を経れば最終的には「学びを得た」「強くなった」と前向きに捉えることができます。

「手放す勇気を持つ」ことはバウンダリーを引くうえでは重要なポイントです。はじめは怖いかもしれませんが、意識して取り組むようにしましょう。

バウンダリーは、どんな人でも引くことができるものであり、自分の仕事を自分で管理するフリーランスにとってはぜひ身につけたいスキルです。フリーランスとしての生き方をより豊かにするために、できるところから実践してみてください。

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