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2025.09.26# Trends

【UPSIDER × ソレクティブ対談】独立人材の未来を支える金融インフラとは

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独自の AI 与信技術を使ったクレジットカードの提供により、数多くのスタートアップの成長を支えてきた UPSIDER。7月末にはみずほ FG へのグループインも決まるなど、金融業界で今勢いのある企業の1つです。

そんな UPSIDER は今年、新たな法人カード「PRESIDENT CARD」を発表しました。上場企業やスタートアップ向けに提供していた法人カード「UPSIDER」で培った技術をベースに、ビジネスオーナーの課題やニーズに細やかに対応する「経営者向け法人カード」です。

経営者といえど、手がける事業の規模は千差万別。そのなかでも「ひとり法人を営む独立人材の存在感が増している」と話すのは、PRESIDENT CARD の事業責任者を務める近藤万葉さんです。今回はそんな近藤さんと、ソレクティブ共同創業者兼 CEO の岩井エリカが対談。金融と人材、まったく異なる業界の2社がそれぞれの視点から独立人材を取り巻く現状や展望を語り合いました。

UPSIDERカード事業部 事業責任者の近藤万葉さんのプロフィール画像。青い背景に笑顔で写っており、テキストには経歴として高校時代から複数のスタートアップでインターンシップを経験、新卒でAnyMind Groupに入社、2022年1月にUPSIDERに入社したこと、UPSIDERカード事業を中心とする営業部門を統括していることが紹介されている。

独立人材の前に立ちはだかるインフラ構築の壁

エリカ:Sollective(ソレクティブ)はハイスキル独立人材が数多く登録するプラットフォームですが、実はその半分ぐらいがすでに事業を法人化した企業経営者です。今回発表された PRESIDENT CARD のターゲットにはこうしたひとり法人を営む独立人材も対象に含まれるのでしょうか?

近藤:もちろんです。もともと UPSIDER はスタートアップ向けに展開してきたのですが、ここ1年でサービスの利用者はSMB(中小企業)がボリュームゾーンになりつつあります。1人で事業を営む法人の方がサービスを利用するケースも増えており、ひとり法人の増加はユーザー層の変化を通して認識していたところでした。

そうした変化を背景に、1人または少人数で事業を営むオーナー企業の皆さんにもっと使いやすいカードを作りたいという思いから、今回 PRESIDENT CARD が誕生しました。

エリカ:ひとり法人が直面する財務面の壁にはどのようなものがあるのでしょうか?

近藤:法人を設立して間もない頃ですと、財務諸表が整っていなかったり実績がなかったりして、なかなか与信が通らないという問題があります。一方、UPSIDER が用いるのは、銀行口座の入出金データ(キャッシュフロー)などをもとに審査する独自の与信モデルです。そのため、たとえば過去3期分の決算書などを用意できない企業でも、オンラインでカードを最短で即日発行してビジネスのインフラを整えられるよう支援できるのが特徴です。

エリカ:たしかにビジネスのセットアップは独立人材の活躍を阻む壁の1つです。そもそも今の時代に事業を進めるには、さまざまなソフトウェアのサブスクリプションが欠かせません。それらは基本的にすべてクレジットカード払いなので、法人名義のカードが不可欠ですよね。しかしカード審査の壁は高く、通ったとしても上限が低く設定されているため必要なものを賄えない。

近藤:それは本当によく聞く話ですね。その点、PRESIDENT CARD は最大10億円の利用限度額が特徴の1つであり、そうした声にもお応えできます。

エリカ:金融面以外の壁を挙げると、やはり独立人材への社会的評価の低さですね。正社員でも仕事のできる人とできない人がいるのと同じように、独立人材もそれぞれです。それなのに独立人材だけ全員ひとくくりに「会社に馴染めなかった人」とか「信頼して大丈夫なのか」という見方をされる時代が長くありました。

ただそれもこの1年ぐらいで大きく変わってきた実感があります。最近ではよい人材ほど独立するというトレンドもあり、エンタープライズ規模の企業に Sollective 認定プロを紹介するケースも増えています。

左側に近藤さん、右側にエリカ。ふたりとも椅子に座り、向かい合って真剣に語り合っている様子。背景には木製の仕切りやラウンジチェア

金融業界で小規模法人への支援が加速

近藤:実際に、近年の仕事の仕方はより個の集合体としてのプロジェクトがベースになってきているように感じます。決まったメンバーだけで何かをするのではなく、プロジェクトに必要な人々を随時集める。そうしたプロジェクトベースで出費を管理できるのはビジネスにとっても重要なポイントになると見ています。

エリカ:おっしゃるとおりで、少子高齢化が進むなか、人材のシェアリングはますます必要になると思います。ビジネスを推進できる力のある人たちが、パートタイムでいろんなプロジェクトに参加してそれぞれ回していくことは、日本経済にとって間違いなくプラスになるはずです。

実際に、2024年時点でフリーランスは労働力の約2割を占めるともいわれています。政府も「雇用関係によらない働き方」を後押ししており、独立人材は今後ますます増えるはずです。この流れのなかで今回の PRESIDENT CARD のような独立人材向けのビジネスインフラがどんどん整えば、その勢いは加速するでしょう。

近藤:金融業界でも小規模法人やスタートアップをより支援するための仕組みづくりが進みつつあります。これまで主に大企業を対象としたサービスが中心でしたが、新しいプレイヤーや取り組みの登場によって、小規模法人向けの選択肢が少しずつ広がってきています。

海外では以前からスタートアップを支える金融の仕組みが整備されてきた経緯があり、私たちもそうした流れを参考にしながら、日本に適したかたちでサービスを立ち上げました。最近では独立して活躍する人材も増え、そうした環境の変化に合わせて新しい金融サービスが求められていると感じます。私たちのような取り組みが広がったことで、業界全体としても新しいニーズへの対応が進んでおり、日本における金融の選択肢がさらに多様化していくことを期待しています。

エリカ:そうした金融業界の動きもあり、大手企業の独立人材活用が進むという好循環が生まれています。従来、大手企業では新卒一括採用が当たり前でしたが、転職が当たり前になり人材の流動化が進んでいるなか、どの組織でも事業を進めるために必要な人材が足りないという危機感が芽生え始めている印象です。

最近 Sollective で支援したある大手企業では、必要なポジションが2年間も空いていた状態でした。ずっと正社員採用を模索していたものの、これ以上待っていたら事業の機会損失になってしまうという理由から独立人材採用へと舵を切られた。このように人材不足によって長期間ポジションが埋まらない事態はすでに起こっており、それも独立人材活用の大きな追い風になっています。

近藤: UPSIDER の社内にも業務委託で長く一緒に仕事をしている独立人材の方々がいて、事業部でクイックにお願いするデザイナーさんから、代表直下で特別最強ハイスキル部隊のように動く人々までさまざまです。実は今回の PRESIDENT CARD のプロダクトマネージャーも外部の独立人材の方です。でも普段は本当に垣根なく仕事をしているため、社内で誰が正社員で誰が業務委託かを意識することはありません。ほかの企業が正社員にそこまでこだわってしまうのがなぜでしょうか?

エリカ:これまでそうしてきたから、というのが大きな理由のように感じます。重要ポジションは正社員以外には任せられないという固定概念が強すぎる。でも、Sollective 認定プロのようなハイスキル独立人材と仕事をしてみると、企業の皆さんは「今までの業務委託のイメージと全然違った」とおっしゃるんですね。こうした企業は今後どんどん増えていくと考えられます。

近藤さんに向かってリラックスした様子で話すエリカ

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独立人材の活躍を加速させる金融サポートの可能性

エリカ:UPSIDER さんではほかにも独立人材をサポートするサービスを展開されているのでしょうか?

近藤:はい、全社の戦略としてひとり法人をはじめとする小規模企業に向けたプロダクトに力を入れています。たとえばひとり法人では法人口座の準備、仕訳処理、請求書の発行などをすべて経営者が行わなければならず、ビジネスインフラを整えるだけでひと苦労です。最近ではそうした方々が月額9,480円〜で経理作業を丸投げできる「UPSIDER AI 経理」というプロダクトも出しました。

ほかにも、「支払い.com」というサービスでは、BPSP(請求書のカード払い)にも対応しています。このサービスを使えば、支払いを最大60日遅らせることができます。

エリカ:それは心強いですよね。請負契約型のプロジェクトでは納品後に報酬がまとめて入金されるケースも多いですから。キャッシュフローに波がある状況は、独立人材ならよくあることだと思います。

近藤:これから先は、小規模な法人の経営者の方々をもっと幅広く支える取り組みも考える予定です。たとえば、本業に集中しやすいように、日々の資金管理や経費まわりをちょっと軽くできるような仕組みなどもイメージしています。

私たちは挑戦する人を応援する姿勢を大切にしているので、これからもリスクを取って新しい一歩を踏み出す方々を、いろんなかたちで後押ししたいですね。

エリカ:独立人材の与信プロセスでは、Sollective としても何か貢献できそうな気がします。たとえばローンを組むときなど、正社員の場合は会社への在籍確認などされますよね。それと同じように、Sollective での案件獲得状況や、企業からの評価も与信の可能性として考えられるのではないかと考えます。

近藤:それは社内でも伝えてみます!

椅子に座って笑顔で話す近藤さん

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