苦しい会社員時代を抜け、手にした自由。フリーランス広報の前進 Article Image

苦しい会社員時代を抜け、手にした自由。フリーランス広報の前進

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仕事をする時間や場所を自分で決められるところに、フリーランスの魅力を感じる人は多いでしょう。では、それらを自分で決めたいのは、どんな暮らしを叶えたいからでしょうか?

今回話を聞いた冨松愛子さんは、フリーランスならではの自由度を生かして、親として子育てに、広報コンサルタントとして多くの企業の支援にと挑戦し続けています。

自身の体調や日々の子育てといったコントロールしづらい状況のなか、余裕がなくパンクしそうな心を抱えていた時期も。「今いちばん心地よく仕事ができている」と話す冨松さんは、どんな思いで自分のキャリア、暮らしの形を築いてきたのでしょうか。

産後、元気に会社員をする自分が想像できない。それでも広報の仕事がしたくてフリーランスに

ーー会社員として着実かつ華やかに広報キャリアを積まれてきたように見えるのですが、フリーランスになったきっかけを教えてください。

実は、フリーランスになったのは前向きな理由からではないんです。

会社員として最後に勤めたスタートアップを退職するときは、もうどん底の気持ちでした。創業期の「1人バックオフィス」で仕事は無限にあり、睡眠を削って対応するからパフォーマンスも上がらない。家では長男はイヤイヤ期、言うことを聞いてくれなくて叫ぶように怒ってしまう日もあったくらい。

とにかく時間がなくて心に余裕を失い、すべてが空回りして「自分は何をやってもダメなんだ」とダウン寸前での退職でした。

少し休んで転職しようと思っていたとき、以前から望んでいた第2子の妊娠が判明。うれしかったと同時に、もうフルタイムで会社勤めをするのは無理だという思いも湧いていましたね。

第1子の育児をサポートしてもらうために私の実家近くに住まいを構えていたので、都心への通勤は往復4時間。当時はコロナ禍前で会社員=出社が前提でしたし、妊娠中は入院するほど体調が悪く、産後に転職活動を始めて正社員として元気に再出発している自分が想像できませんでした。

それでもやっぱり、仕事はしていたかった。それも仕事なら何でもいいわけじゃない、広報の仕事がしたいと思ったんです。

それにはフリーランスになる選択肢しかありませんでした。

ーーずっと会社員だった冨松さんがフリーランスになる決断、それも産後すぐの出発を決めた覚悟は相当なものだったと思います。不安はありませんでしたか?

もちろん不安でした。でもどこかに「会社員としてこれだけの経験を積んできたのだから、私ならきっとできる」という自信があったのかもしれません。

妊娠中に最初の取引先を確保したときは、産後も仕事ができる安心感の方がはるかに大きかったのを覚えています。

会社員時代の冨松さん

会社員時代の冨松さん

フリーランスになって得た時間の余裕。やがて心の余裕、仕事の成果へと巡りだす

ーーフリーランスとして立ち上がった時期はどのように仕事をしていましたか。

産後2か月で開業届を出し、最初は広報支援を1社、週8時間在宅勤務でのスタートでした。このときの取引先にとても恵まれて、社外からの広報支援のやり方、コミュニケーションの取り方を学べました。

時間にすればたった週8時間。乳児の次男が寝ている間の勝負です。でも短いからこそ大切に取引先と向き合い、広報として求められるものをお返しできている実感に満たされました。フリーランスでなければ、こんなふうに産後すぐ、短い時間から少しずつ仕事を積み上げるなんてできなかったんじゃないでしょうか。

それに仕事の時間を短く限ったことで、暮らしに余裕ができました。時間があるから心に余裕ができ、心に余裕があるからいい仕事ができる。会社員時代とはまったく逆で、すべてがうまくかみ合って仕事の成果も上がっていきました。

その後ありがたいことに、前職のつながりや、友人・知人、またソーシャルメディアを通して次々とお仕事を紹介いただけるように。都度少しずつ業務時間を増やし、かかわる業界や支援内容も広がっています。

フリーランスなら異なる業界で何社も担当できるので、私の1つの気づきから変換できる広報の価値が何倍にも広がるというのも、うれしい発見でしたね。

ーーフリーランスになり、冨松さんの経験が生かせる場面も増えているのでしょうか?

そう思います。考えてみるとスタートアップに勤務していたときの試行錯誤も力になっているかもしれません。

現在支援している企業のほとんどがスタートアップなのですが、創業期のスピード感や立ち向かっている課題のプレッシャー、必要とされるリソースなどスタートアップ内部のリアルを知らなければ、今ここまで取引先に寄り添えていないだろうなと思います。

フリーランスとして独立したばかりの頃

フリーランスとして独立したばかりの頃

コントロールしづらい状況下でも、今の自分が力を発揮できる方法が必ずある

ーー今後はどのように仕事をしていこうと考えていますか?

子どもと暮らしていると、登園渋りにしろ通院にしろ、突発的な対応は平日の日中に必要となることが多いんですよね。そんなとき柔軟に時間の使い方を組み直せる今の働き方は私に合っています。

内容も大好きな広報の領域を深められてとても心地よく働けているし、まだまだやりたい仕事もあふれています。

これからは、この心地よい働き方を保ちつつ、信頼できる仲間たちとチームを作って働きたいと思っています。私1人でできることには限界があるけれど、仲間と一緒なら価値を大きく届け続けていける。その器として、法人を設立したところです。

ーー今、自分の体調や家族のケアなどコントロールが難しい状況下で働き方に悩んでいる人へ、メッセージをお願いします。

もしも今うまくいかない状況にあったとしても、どうか「自分はダメだ」と思わないでほしいです。生きていく環境は今いる場所1つだけじゃない。力を発揮できる働き方や暮らし方が、必ずほかにあるはずだから。

会社を辞める間際、「私はここでがんばるしかないのに、仕事も子育てもまままならないなんて本当にダメだ」と思っていました。でもあのときもし別の道があるって知っていたら、あんな限界まで追い詰められずに済んだと思うんですよ。

そのためには、色々な働き方をしている人とつながって積極的に情報を得るといいと思います。この Sollective にも、フリーランス同士が情報交換できるコミュニティがあるんですが、ほかの人がどうしているのか知るだけで救われたり、目の前の仕事にすぐ活かせる場合もあります。孤独のなかでがんばりすぎないでほしいなと思います。

ーー本日はありがとうございました!

ソレクティブのオフィスにて

ソレクティブのオフィスにて

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