ドイツ発の Start2 が、日本での事業拡大にプロフリーランスを採用した理由  Article Image
2024.04.25# Case Study

ドイツ発の Start2 が、日本での事業拡大にプロフリーランスを採用した理由

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Start2 Group は、世界各国でスタートアップの国際展開支援を行う企業です。シンガポールのアジア本部を中心に日本における事業を推進してきた同社は、2023年に日本法人を正式に設立後、本格的な日本展開を始めました。

そんな Start2 Group の日本での事業拡大をけん引するのが同グループの日本代表を務める小田嶋 Alex 太輔さんです。2年ほど日本事業を1人で担ってきた小田嶋さんが、初のメンバーとしてプロフリーランスのプログラムマネージャーを採用したのは6か月前こと。それが Sollective を通して出会った大西千春さんでした。

以来、小田嶋さんと大西さんは二人三脚でプログラムの運営に取り組んでいます。今回はそんな Start2 Group が日本での事業を拡大した背景や、2人の協業、そして日本に進出する企業へのアドバイスなどを聞きました。

👤大西千春(プログラムマネージャー/人事コンサルタント) 複数の外資系企業で各種人事研修の企画・実施・管理に10年以上従事。その対象者はのべ8,000人以上にのぼる。現在はリーダーシップ研修開発、社内メンター制度、1on1導入を通じて顧客企業における従業員定着率の改善に向上プロジェクトを推進する傍ら、Start2 のプロジェクトを機に活躍の場をプログラムマネージャーへと拡大中。 https://www.sollective.jp/freelancer/Chiharu 🏢 Start2 Group 2008年にミュンヘンで創業。以来16年間、世界各地のスタートアップをインキュベーション段階から支援し、国際的なスタートアップエコシステムを構築。2023年に日本法人を設立し、現在は4大陸8か国に拠点を構える。 https://start2.group/

日本進出の理由は、ほかのアジア市場にはない独特さ

ー Start2 Group の日本におけるこれまでと、現在の取り組みを簡単に教えてください。

小田嶋:日本に進出したのは2019年です。当時は「German Entrepreneurship Asia」という名前で、シンガポールの拠点から事業を運営していました。

その後、日本の行政機関との取り組みが徐々に増え、結果的に正式な日本法人が必要になったんです。現在は5年前から進めているドイツのスタートアップの日本進出に加えて、新しく東京都の支援事業の一環として、日本のスタートアップのドイツ進出のプログラムも運営しています。

ー なぜ日本市場に注目したのでしょうか?

小田嶋:アジアはどの市場も興味深いのですが、そのなかでも日本は独特です。市場規模があり、インフラが整っていて、不正が少ない。一方で、マイナス面は時としてビジネスのスピードが遅くなる点ですね。

ー 実際に進出してみて、気づいた点はありますか?

小田嶋:実は欧米企業の間には、日本は謎めいた国で事業進出は無理だという通説があります。まあ実際にはそんなことはなくて、どの国もそれぞれ違うだけです。

たとえば、日本企業は変わることを躊躇しますよね。それに、最初の1社にはなりたがらない。綿密な計画を練ったのち、100%成功する確信を持って初めて市場展開に打って出る傾向にあります。

あとアジア諸国と欧米諸国をおおまかに比べるなら、日本や韓国などの国では取引を始める前の信頼構築が大事です。そのために実際に顔を合わせたコミュニケーションが重視されますね。

日本に進出したばかりの段階では、正社員を採用しなくていい

ー 日本でプログラムマネージャーを採用するにあたり、日英の両言語が話せるという要件はやはり重要だったのでしょうか?

小田嶋:私の主な役割は日本における Start2 Group ネットワークの拡大、認知の創出、そして事業の拡大なのですが、東京都とのプロジェクトが決まり、もはや1人では手に負えなくなりました。そこで必要になったのが、日本とドイツおよびシンガポールのチームとのコミュニケーションを担えるプログラムマネージャーです。

Start2 Group は現在、「German Accelerator Program」と「Scaler8 プログラム」の2つを進めています。毎年20社以上のスタートアップをドイツから日本に迎え入れ、逆に日本からドイツにも16社を送り込む予定です。プログラムの運営では往々にして細部への配慮が求められるため、日英のバイリンガルスキルは非常に重要です。

たとえば、ヨーロッパと日本の時差をまたいでイベントを調整したり、行政機関に提出する書類を両言語で作成したりといった業務をスムーズにこなせなければなりません。そして少なくとも、スタートアップやアクセラレーションプログラムに関する基本的な理解を持ち、日本の企業と現場でやり取りできる人が必要でした。

ー あえてフリーランスに絞って探していたのですか?

小田嶋:いえ、特にこだわりはありませんでした。私自身、16年間フリーランスとして活動する一方で経営者でもありますが、正社員とフリーランスの違いはあまり感じません。

ただ、そうですね、少し極端に聞こえるかもしれませんが、本音を言うと、個人的には誰もがフリーランスとして働くべきだと思っています

日本では、正社員は安定していると思われていますよね。でも実際には違います。企業は正社員を採用したからといって、ずっと働いてもらえるとは限りません。会社に魅力がなくなったら正社員でも辞めますから。そして正社員にとっても、会社の業績が悪いと職を失う可能性もあります。

ー なかなか斬新な視点です。

小田嶋:こう言えるのも、ゼロから会社を立ち上げた経験があるからでしょうね。ベンチャーキャピタル界隈では、近い将来にAI により企業の規模が縮小するという話が出ています。今後、フリーランスは正社員10人分の仕事ができるようになるでしょう。メンバーが2人だけというユニコーン企業もいずれ出てくるかもしれません。

肩書きにこだわらなかったからこそ生まれた、完璧な出合い

ー Sollective が紹介した大西さんの肩書きは、プログラムマネージャーではなく HR コンサルタントでした。

小田嶋:そうなんです、求めていたのはプログラムマネージャーだったので、HR コンサルタントという肩書を見たときはちょっと驚きました。でも Sollective チームと話したときに、(大西)千春さんが企画・実施してきた人事系プログラムは Start2 Group が求めるものと非常に近いと説明されたんです。あとグローバル企業やスタートアップと働いた経験もあるとのことだったので、ならば会ってみようと。

ー ではここで大西さんについて少し教えてください。

大西:私は普段、フリーランスの HR コンサルタントとして、管理職やチームを対象に研修やコーチングを実施しています。以前勤めていた多国籍企業では、日本だけでなくインド、スペイン、中国などさまざまな国のチームの研修を担当していました。

フリーランスとして独立を決めた理由の1つは、世界中の経営幹部や企業に私のナレッジを共有してよい影響を与えたかったからです。人のつながりを支援しキャリアの向上に貢献できるのが私の情熱であり幸せです。

ー 大西さんにとってもプログラムマネージャーは新鮮な肩書きだと思うのですが、実際にやってみていかがですか?

大西:実は今回の仕事で、私はプログラムマネジメントが本当に得意だと気づいたんです!

Start2 Group のプロジェクトを紹介されたときはとてもおもしろそうだと思った一方で、自分にできるのか不安でした。というのも、私には人事系の経験しかなかったので。でも Sollective の担当者がこれまでの経験を見て適任だと言ってくれたんです。

仕事を始めてみると本当にその言葉どおりで、これまでのキャリアで培った人事・組織系スキルをすべて発揮できています。そして行政とたくさん仕事をするうちに、書類仕事も大好きになり始めました。

小田嶋:行政との書類仕事が好きなんですか?!

大西:はい(笑)。それも実際の紙ベースでのやり取りを行ううちに、私も紙を使うのがまた好きになってきたんです。行政との仕事ではコミュニケーションが非常に重要なので、そのプロセスややり取りもまた学びになります。

理想的なチームワークとワークライフバランスの両方が実現

ー おふたりの話からは、協業がうまくいっている印象です。

小田嶋:千春さんのようなプロ人材が相手だと、本当に楽です。細かいことをいちいち説明しなくて済みますから。正直、過去の協業では苦い経験もあります。そういう場合、相手はたいてい2つのタイプのどちらかですね。

①やるべきことを自分で判断できない人。この場合、すべてにおいて指示を出さなくてはなりません ②自信満々だけれど実力が伴っていない人。こういう人と働くと、結局一からやり直す羽目になります

その点、千春さんは完璧です。

大西:そう言っていただけて、とても光栄です(笑)。私は(小田嶋)Alex さんとの仕事でワークライフバランスを取れるのが本当に助かります。というのも、私には娘が2人いるのですが、下の子がよく体調を崩すんです。このプロジェクトはほぼリモートなので、仕事と家族の両方を大事にできます。

小田嶋:私にも10歳の息子がいるので、子どもが病気になったり家のなかを走り回ったりするのはわかります。それに千春さんが働く時間はまったく気にしません。結果の方が大事ですから。

ー 協業が始まって6か月ですが、どんな成果を感じていますか?

小田嶋:長期プロジェクトなので大きな成果はこれからですが、小さなものならいくつもあります。その1つがドイツと日本をまたぐウェビナーシリーズの「キックスタート・プログラム」を始められたこと。あとは、日本のスタートアップのドイツ進出も次のステージに入りつつあります。

大西:そうですね、毎日何かしらを達成している気がします。私にとってはそれが非常に大きなやりがいですね。

カントリーマネージャー探しに時間をかけるのはリスク

ー 最後に、日本進出を検討している企業へのアドバイスをお願いします。

小田嶋:日本に進出する海外企業にとっての最大の壁は採用ですよね。予算が潤沢にあったとしても、要件にぴったり合う人材を見つけるのは簡単ではありません。時間がかかります。

そもそも日本には、日本語と英語の両方に堪能な人材が少ない。そして英語が話せても、それ以外のスキルがないケースもあります。スタートアップにとって、専門スキルや知識は非常に重要ですが、そんな人材はいつまで経っても見つからないということがよく起こります。

だからこそ、海外のスタートアップには Sollective のようなサービスを使うことを勧めます。そうすれば、日本での事業をすばやく始められますから。カントリーマネージャーの採用に半年以上もかけている間に、市場は大きく変わりますよ、と言いたいです

Interviewer / Masa Tanahashi Sollective:https://www.sollective.jp/freelancer/masatanahashi Writer / Allen Wong Sollective:https://www.sollective.jp/freelancer/allen-sollective Website:https://sollective.co.jp/team Translator / Yuna Park

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