サイト制作期間を1/2に圧縮。douzo の期待を上回るフリーランスデザイナーの貢献
今回の「企業とフリーランスの幸せな協業」で紹介するのは、日本発のスタートアップ douzo と日本で働くアメリカ出身のデザイナー、ブレイディさんの事例です。
コーポレートサイトや製品をローンチするにあたり優秀な人材が必要だった一方で、採用の難しさを感じていた douzo の代表・上田達(とおる)さん。Sollective を通してブレイディさんを採用したことで、想定の半分の納期でサイトを公開できただけでなく、新たな企画もスピーディに進められるようになりました。協業開始から半年が経った現在、上田さんは「想像以上のコラボレーションができている」と笑顔を見せます。
2人が協業前に直面していた課題や、協業で得られた成果を聞きました。
世界に挑むスタートアップと、創造性を発揮したいアメリカ出身デザイナーの出合い
ー 今回の協業の背景を教えてください。
上田:コロナ禍での方向転換を経て2023年1月に今の事業を始めたのですが、まず会社全体のリブランディングを進めたかったんです。それで douzo が描くビジョンをコーポレートサイトで可視化してくれるデザイナーを探していました。
加えて、新しいデザイナーにはプロダクトデザインやコンセプトメイキングも任せたかったんです。この8月に高級包丁ブランド「襷 TASKI」を立ち上げたのですが、ほかのキッチン用品や別の分野でのプロダクト開発も見据えてのことです。
ブレイディ:私の場合、創造性を発揮できる仕事をしたいと考えていました。クリエイティブ職と言っても、仕事によっては同じタスクの繰り返しだったり、取引先によっては制限が厳しかったりもする。業界ではそうした作業が占める部分も大きいとは思うんですけれどね。
私が魅かれるのは、答えが決まっていない、革新的でそれゆえにリスクも伴うプロジェクトです。そして小さなチームで連携して働きたいなと。だから douzo に出合ったときは、まさに携わりたいビジネスだと思いました。
ー 特に魅かれたのはどんな部分でしょうか?
ブレイディ:まず「新しい日本のブランドを立ち上げて世界で販売する」という考えだけでも魅力的でした。クリエイティブな発想が求められる挑戦なのは間違いないと。
さらに、先ほど(上田)達さんが話したとおり、さまざまな商品に展開するという方向性にも共感しました。ブランドも複数展開して、それぞれに独自のコンセプトを持たせる。そのためには毎回まったく異なるアプローチが求められるはずなので心からワクワクします。
ー 上田さんがブレイディさんとの協業を決めた理由は何でしたか?
上田:まずプロダクトをゼロから作った経験があるということ。あとはブレイディのポートフォリオを見て単純に「かっこいい」と思いました。それに、アメリカ出身で日本の文化にも親しんでいるというバックグラウンドも魅力的でした。
ー フリーランスを採用したのには何か理由があったのでしょうか?
上田:実は以前、採用で苦い思いをしたことがありました。「間違いない人材」と思って正社員を採用したんですが、結局ミスマッチで。当時は、周りのメンバーが受けたストレスや金銭的な影響も大きかったです。
それを踏まえて、優秀な人材を求めることに変わりはないけれど、業務委託から始めた方が双方にとって健全で、会社としてもリスクがないと考えるようになりました。かつての苦い経験を経て至った結論です。
上田さんが「かっこいい」と思ったブレイディさんの Sollective 上のポートフォリオ
理解する姿勢 × 丁寧な確認で想像以上のコラボレーション
ー 実際に協業してみてどうですか?
上田:一緒に働いて半年になりますが、正直ここまで期待していなかったというくらい、想像を超えるよいコラボレーションができています。
最初はコミュニケーションや言語の壁があるだろうと思っていたんですが、今のところ何の問題もありません。ブレイディが仕事を始める前に、僕にきちんと確認して懸念点をしっかり潰してくれるからだと思います。
確認の段階で時間や労力はかかりますが、その後彼は自走してくれるため、気づいたらプロダクトができあがっている。そして彼はとにかく仕事が早いんです。楽させてもらいながら最高のプロダクトができて、とても満足しています。
ブレイディ:私は上田さんとオンラインでやりとりしながら働いているのですが、いつも親切にサポートしてもらってとても感謝しています。商品開発やブランディングまで、期待どおり本当にクリエイティブな仕事に取り組めるのもうれしいですし、すごいスピード感で企画が実現するやりがいある仕事だと感じています。
ー チームにはブレイディさんのほかにも海外出身のメンバーがいるのでしょうか?
上田:はい、今ではアメリカやイタリア出身の人もいます。社内の3割は第一言語が日本語ではないメンバーです。
社内の基本的な共通言語は日本語ですが、メンバーに合わせて英語と日本語を切り替えています。ブレイディと僕のやりとりは基本的に英語です。
ー 多様なメンバーがともに働くうえで大事なポイントを教えてください。
上田:そうした環境で大事なのは、言語の能力そのものというより、相手を理解しようとする姿勢や柔軟さだと思います。相手の言葉をきちんと聞いて、認めること。
もちろん、そのうえで第二・第三言語でやり取りできる能力があれば、グローバルなチームを作るうえで重要な役割を果たせると思います。他言語の文化にも親しんでいるということは、その人のなかに多様性があると言えますから。そうした存在はチーム作りで本当に重要です。
半分の納期でコーポレートサイトが完成し、資金調達に貢献
ー ここまでの協業で、当初の目的は達成できましたか?
上田:1つ目の目的だったコーポレートサイトはすでにできあがっています。実は、これもブレイディがすごい速さで仕上げてくれて、1か月を見込んでいたところを2週間もかけずに作ってくれたんです。
そして、もともと想定していなかったんですが、ローンチが資金調達のタイミングに間に合ってしまった。コーポレートサイトの見せ方で第一印象って変わるじゃないですか。投資家にうまく印象づけられたのは、彼が短時間で仕上げてくれたからです。
ー それはすばらしいですね!
上田:はい、おかげで話がうまく進みました。そして、今は一緒に新しいプロダクト作りを進めているところです。
ー ほかにもこの協業から思いがけず得られたメリットがあれば教えてください。
上田:実は、ブレイディは料理が得意なんですよ。それを知って、もともとの予定ではなかったんですが「襷 TASKI」の包丁を使うモデルになってもらい SNS の動画作成も頼んでいます。
ブレイディ:これは本当にうれしい偶然でした。以前、自分でもフード系の SNS コンテンツと作ろうしていたくらいなので、今こうして関われてとても楽しいです。
ー 最後に、この協業を踏まえた思いや今後の展望をお聞かせください。
ブレイディ:上田さんは考え方が先進的で、型にはまらないビジネスモデルを実践する人です。douzo は世界でよろこばれるサービスになると思いますし、日本で douzo のようなビジネスのあり方が広まるといいと思っています。
上田:僕は密かに、ブレイディに入社してほしいと思っています(笑)。あと海外出身のフリーランスとの協業はこれが初めてだったんですが、今回うまくいったことで国際的な業務委託が現実的な選択肢になりました。今後アメリカ国内の営業を探そうと思っているのですが、その際に今回の経験や学びを生かしたいです。
ーー本日はありがとうございました!