質の高い戦略を模索する上場企業 × 事業拡大を叶えた事業開発フリーランス【事例】
企業とハイスキルなフリーランスが協業すると、お互いにどんな効果が生まれるのでしょうか。
Sollective(ソレクティブ)を通して実現した「企業とフリーランスの幸せな協業」を紹介するこのシリーズ。第5回で取り上げるのは、事業開発フリーランスの玉利裕重さんと、クラウドストレージサービスを提供する Chatworkストレージテクノロジーズ株式会社(以下 CST)、そして CST の親会社でビジネスチャットサービスを提供する Chatwork株式会社 のケースです。
IT 企業を経て独立した玉利さんは、Sollective を通して CSTの新規顧客開拓の戦略立案に参画。その高い能力を見込まれ、現在は Chatwork の代理店営業の戦略立案にも携わるなど、活躍の場を広げています。
実は、CST ではそれまで戦略立案部分でフリーランスを採用した経験がありませんでした。そんな両社は玉利さんとの協業でどんなメリットを得られたのでしょうか?
CST マーケティング部マネージャーの中村昌広さん、Chatwork コミュニケーションプラットフォーム本部 セールス・カスタマーサクセスユニット ユニット長の真鍋馨さん、そして玉利裕重さんにお話を聞きました。
初のフリーランス採用でハイスキルな人材に出会えた企業と、思わぬ事業拡大に繋がったフリーランス
ーー最初に、協業前のそれぞれの状況について教えてください。
中村:CST は法人向けオンラインストレージサービスを提供する企業です。メインの顧客は中小企業なのですが、当時は新規顧客開拓を強化したいと考えていました。
真鍋:Chatwork では販売代理店経由の売上をより伸ばすため、代理店への営業を積極的に拡大する方針を固めていました。
玉利:僕はこのプロジェクトの前、個人向けのコーチングやキャリアコンサルティング事業を立ち上げる準備をしていたんです。でも、(コーチングのような)単発での BtoC 事業は「常に顧客を探さないといけない」という難点があり、懸念を感じていたところでした。
フリーランスの玉利さん(右)、CST 中村さん(中央)Chatwork 真鍋さん(画面)
ーーそこからどんな経緯で今回の協業に至ったのでしょうか?
中村:Chatwork 代表の山本から CST に、ハイスキルなフリーランス専門のサービスとして Sollective を紹介されたんです。それで一度使ってみようと思って出会ったのが玉利さんでした。
玉利:私の方は、Sollective から「玉利さんにぴったりのお仕事がありますよ!」と CST さんを紹介されまして。それまで BtoC 事業で考えていたのですが、自分のスキルなら BtoB もあり得るんだと気づき、「お役に立てるならぜひ」と答えたんです。
中村:その後面接を担当した上層部が玉利さんのスキルを知り、「Chatwork でも壁打ちをお願いしては」という話になったんす。それで Chatwork に持ちかけたところ、そちらでも関わってもらうことになりました。
ーー両社では「フリーランス採用」という選択肢は最初からあったのでしょうか?
中村:正社員にこだわってはいませんでしたが、積極的にフリーランスを採用しようという考えもありませんでした。なぜかというと、それまで CST では フリーランスに仕事を依頼したことがなかったんですよ。それに僕自身、前職でフリーランスと協業した経験があったのですが、「(正社員に比べて)費用対効果があまりよくないな」と感じることが度々ありました。
だから玉利さんとお会いして、「Sollective でフリーランス採用するとこんなに高いスキルをお持ちの方とご一緒できるのか」と正直びっくりしたんです。
企業の課題とフリーランスが提供したい価値がかみ合うことが重要
ーー玉利さんが担当している「戦略の壁打ち」について詳しく教えてください。
玉利:CST に週1、Chatwork に週1という頻度で、数字を見ながら事業戦略の提案を行っています。
中村:CST では、僕たちから相談したい内容を準備する場合が多いですね。全体的な仮説以外にも、「この機能を追加した方がいいか」といった細かいことまで相談できるので、戦略を整理できてすごく助かっています。
真鍋:Chatwork には大まかな代理店営業の方針はあったのですが、実行するためのより細かな戦略・戦術を必要としていました。そこで玉利さんには、まずその立案からお願いしたんです。部署ごとにバラバラだった方向性をまとめてもらい、「営業は今はここに集中して、開発はこれを優先しよう」といった旗振り役をお願いしています。
ーーフリーランスと企業が、事業の核となる部分で協業しているんですね。
玉利:フリーランスとしてありがたいのは、単なる下請けではなく事業のダイナミクスを感じられる部分に関われることです。勢いのある IT ベンチャーでこんな経験ができるのは、すごく貴重だと思います。それから、CST さんも Chatwork さんも人がすごく気持ちいいんですね。そういう企業で事業を育てられるのは純粋にすごく楽しいです。
真鍋:知見のある方が核にいるのは、企業にとっても大きなメリットがあると感じます。いま何をやるべきかメンバーそれぞれの解像度があがるんですよね。
中村:CST では、事業戦略に「広さ」が出たのも大きかったですね。これまで、顧客の声をもとに事業戦略を立てることが多かったんですが、市場全体を見渡したり将来を見通したりするうえで第三者視点が足りなかったように思います。玉利さんはまさにそこを補ってくれていると感じています。
玉利:自分としても、参考になる市場のベンチマークを提供するというのは常に意識していますね。あと壁打ちでは、施策のメリット・デメリットをもとに2社にあった解決策を出すべく取り組んでいます。
協業を成功させるコツは「お互い正直に明確に情報を共有すること」
ーー玉利さんは CST にとってフリーランス第一号と言える存在ですが、うまく協業できた理由は何だったのでしょうか?
中村:企業側が正直に事業の状況を伝えることが重要だと思いますね。そもそも課題解決のためにお願いしているので、特に課題としている部分は早めにしっかり伝えるようにしています。
真鍋:あと大事なのは、「どの作業をどちらがどこまでやるか」という基準をはっきりさせること。特に、壁打ちを通して出たタスクは責任者があいまいになりがちなので、企業側から確認する方がよいと思います。
玉利:フリーランスとしては、わからないことをわからないままにしないことでしょうか。数字を見るときも取得方法や定義を確認しないと、適切な戦略を立てられません。これは外部から戦略立案に携わる際には特に重要だと感じますね。
ーー最後に企業側のおふたりにお聞きしたいのですが、玉利さんとの協業を通してフリーランスへの印象は変わりましたか?
中村:そうですね。今まで採用といえば正社員だったんですけど、フリーランスという選択肢もあるのだという気づきがありました。事業って、フェーズごとに必要とする人材が変わっていくと思うんです。なので「今この事業フェーズに必要なエキスパート」をフリーランスとして採用するのはありですね。
それから、戦略の壁打ちはスキルの高い専門家にお願いする方がよいと感じます。知見がある人にすぐに相談できる状態が、プロジェクトにとってすごくプラスになるとよくわかりました。
真鍋:私が感じたのは、国内の SaaS 系企業は事業戦略フリーランスの採用をもっと視野に入れてもいいかもしれないということですね。SaaS 市場はだんだん成熟してきて、顧客への直営業が難しくなっています。なので今はどこも代理店への営業に積極的ですが、自信を持って戦略や仮説を立てられる人がまだまだ少ない会社さんも多い状況ではないでしょうか。
市場全体として戦略立案の人が不足しているなかで、専門スキルを持つフリーランスの人が戦略立案に入るのは、すごく効果的だと思います。SaaS 企業はどこも似た課題を抱えていると思うので、ぜひ参考にしてほしいですね。
ーー本日はありがとうございました!