フリーランスが開業後にやることはこの5つ!【税理士監修】 Article Image
2025.04.08# Tips

フリーランスが開業後にやることはこの5つ!【税理士監修】

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会社員を辞めてフリーランスとして独立した人が最初に直面する壁の1つが、バックオフィス関連の業務です。特に大企業の経験が長く、経理や契約に関するタスクを専門部署に任せていた人は、何から始めればよいのか戸惑ってしまうかもしれません。

そこで今回は、個人事業主となった皆さんが開業直後のタイミングでやることを解説。監修は「フリーランスの経理入門」シリーズでおなじみの西浦啓一郎税理士です。なお、これから開業する人は「フリーランスの始め方 たった3つのステップで誰でも開業」を先にお読みいただくとより理解が深まるでしょう。

🚩フリーランスが開業直後にやることはこの5つ!

  1. クラウド会計ソフトの導入
  2. 事業用口座とクレジットカードの準備
  3. フリーランス向け保険や年金の検討
  4. 契約書雛形の準備
  5. 報酬や単価、支払条件の設定

クラウド会計ソフトの導入で簿記が劇的に効率化

個人事業主は、売上や経費を必ず記帳しなければなりません。青色事業者で65万円の所得控除を受けたい場合は、資産や負債まで管理する複式簿記が必要です。会計知識のない人にとってはハードルの高い作業ですが、会計ソフトを使うことで簿記作業および確定申告がぐっと楽になります。

会計ソフトにはパソコンにインストールして利用するパッケージ型もありますが、利用端末が限られるうえ、アップデートに手間や時間がかかったり、データ紛失リスクがあったりといったデメリットがあります。一方、クラウド型であれば端末を問わずに利用できるだけでなく、税制の改正などに応じて自動でアップデートされるため安心です。会計データはクラウド上に自動で保存されるため、パソコンの不具合や紛失時にもデータを失うリスクがありません。

クラウド会計ソフトを提供しているサービスは数多く、なかには家計簿感覚で使えるものもあります。会計知識があまりない人は、そうしたサービスを使いながら徐々に学んでいくとよいでしょう。

ほとんどのクラウド会計サービスは有料ですが、多くの場合は無料トライアル期間が用意されています。一旦導入すると途中で変えるのは大きな手間がかかるため、最初の段階でじっくり試して選ぶようにしましょう。

🚩要点

  • 個人事業主には簿記が必須
  • 会計ソフトはクラウド型が便利
  • 会計ソフトの変更には手間がかかるため、無料トライアルでしっかり検討を

事業専用の口座とクレジットカードでお金の管理が楽に

個人事業主の効率的な経理に欠かせないのが、プライベートと事業用のお金をきちんと分けること。1つの口座やクレジットカードで両方のお金の出入りを管理していると、どれが記帳対象になるのかわからなくなり、会計作業が煩雑になります。

混乱を避けるためには、早い段階で事業用の口座とクレジットカードを用意しておきましょう。クラウド会計ソフトでは、口座やクレジットカードを連携させると入出金や支出のデータが自動で取り込まれます。専用の口座やカードだけを会計ソフトに紐づければ、日々の記帳は勘定科目を判断するだけで済むので便利です。

すでに複数の口座やカードを持っている場合は、いずれかを事業用と決めるとよいでしょう。新たに口座を開設またはカードを作成する場合も、基本的には個人名義で問題ありません。ただし、銀行やカード会社では個人事業主向けのビジネス口座やカードを提供しているところもあります。名義に屋号を含めたい場合はそちらを選ぶとよいでしょう。

なお、ビジネスカードであれ個人用カードであれ、事業用クレジットカードの年会費は経費として計上できます。

🚩要点

  • 事業用の口座やクレジットカードのみ会計ソフトに紐づける
  • 新たな口座開設やカードの申し込みは個人名義でも OK
  • 事業用カードの年会費は経費として計上できる

保険や年金で就業不能時や将来の保障を

2024年11月より、企業から業務委託を受けるフリーランスも労災保険の対象となり、業務中や通勤中のケガや病気、障害、死亡に対して補償を受けられるようになりました。しかしそれ以外の要因で休業を余儀なくされるリスクには自分で備えなければなりません。

また、業務におけるセキュリティの不備や納品ミス、業務中の事故などで取引先に損失を与えた場合、損害賠償を求められる可能性もあります。それだけでなく、取引先の倒産というリスクもゼロではありません。さらに、リタイア後の生活のために退職金や年金も用意できると安心です。

フリーランス向けの備えとして、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリアフリーランス協会ではフリーランス向けの賠償責任保険や弁護士費用保険、就業不能保険をまとめて提供しています。公的機関が運営する制度としては、退職に備える小規模企業共済、そして取引先の倒産リスクに備える経営セーフティ共済があります。いずれの場合も掛金は経費としての計上が可能です。

老齢年金を補う制度としては、国民年金基金や iDeCo を検討するとよいでしょう。個人事業主は両者の合計掛金が68,000円を超えない範囲で併用できるうえ、掛金が全額所得控除の対象になります。

🚩要点

  • 就業不能時や賠償責任発生時には保険で備える
  • 退職や取引先の倒産には共済で備える
  • リタイア後の備えには国民年金基金や iDeCo の検討を
  • 掛金は経費計上あるいは所得控除が可能

契約書を自分で用意して不利な条件を回避

2024年11月にフリーランス新法が施行され、企業はフリーランスに仕事を依頼する際に取引条件(業務内容や報酬額、支払期日など9項目)を書面等で明示することが義務づけられました。しかし、自らの身を守るためには、取引条件以外にも、損害賠償や知的財産権などに関する取り決めもしっかり行う必要があります。

不利な契約になるのを避けるには、契約書を自分で用意するのが理想的です。契約には納品ベースの請負契約と、時給ベースの準委任契約の2種類があります。どちらの形態でも仕事をする可能性のある人は両方を用意しておきましょう。オンラインで検索すればさまざまな雛形が見つかりますが、選ぶ際は弁護士監修のものならより安心です。

🚩要点

  • 契約には請負契約と準委任契約の2種類がある
  • 取引条件のほか、損害賠償や知的財産権などが重要
  • 弁護士監修の雛形だと安心

💡弁護士に聞く!フリーランスの契約の悩み Q&A

報酬や単価、支払条件を決めてスムーズな取引を

契約書の準備にあわせて、報酬や単価、請求や支払いのタイミングも設定しておくとよいでしょう。

報酬や単価については、相場から設定するほか、希望する年収から逆算する方法もあります。長期取引を見据えて、最初の案件はお試し価格を用意するのも1つの戦略です。また設定する報酬や単価に消費税を含めるかどうかも決めておきましょう。

支払いタイミングは、納品後60日以内であれば任意の日に設定できます。多くの企業では「月末締め、翌月末払い」という慣例がありますが、その場合月初1日に納品した仕事の報酬は実質的に2か月後となり、資金繰りに影響しかねません。そうした事態を避けるためにも、支払いタイミングをあらかじめ自分で設定し、取引先に提示できるようにするとよいでしょう。なお長期プロジェクトの場合は、着手時または中間のタイミングで報酬の一部を請求するなども決めておけば安心です。

また請求書の雛形もあわせて用意しておくとスムーズです。インボイス事業者の場合は、消費税額、税率、税率ごとの対象額などを明記する必要があるほか、職種によっては源泉徴収を含めなければなりません。クラウドで作成・管理できる請求書ツールを利用すれば、ナビゲーションに従うだけで正しい請求書を作成できます。最初の案件からミスのない請求書を提出できるよう、今のうちに準備しておきましょう。

🚩要点

  • 報酬や単価は自分なりのロジックで決定する
  • 支払いタイミングは柔軟に設定できる
  • 請求書の雛形も用意しておく

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