安定した収入を得ながら挑戦できる。会社員が副業から起業を成功させた方法 Article Image
2023.06.22# Event# Tips

安定した収入を得ながら挑戦できる。会社員が副業から起業を成功させた方法

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独立や起業の仕方はさまざま。退路を断って事業に集中する方法もありますが、失敗したときのリスクが高いのも事実です。そんななか会社員として働きつつ副業として自分のビジネスを始め、事業の見通しが立ってから独立する人もいます。

2023年5月に Sollective のイベントに登壇したバタフライボード株式会社代表の福島英彦さんもその1人。会社員として安定した収入を得ながら副業を軌道に乗せ、クラウドファウンディングで1億円を超える資金集めに成功しました。

今回は、そんな福島さんが語った副業で事業を始めるメリットや、起業に至るまでの経緯、そして長年モチベーションを維持できた方法などをお伝えします。起業したい人はもちろん、副業に興味がある人もぜひ参考にしてください。

🗣 登壇者:福島 英彦さん(以下福島さん) バタフライボード代表。鈴鹿工業高等専門学校機械科卒業。音響メーカーなどでマーケティングや事業開発に携わる傍ら、副業としてバタフライボードの開発を始め、その後独立。「誰もがイノベーションを起こせるように」との思いから、製品開発や生産体制を構築している。 🎙 モデレーター:中本 卓利(以下タクト) 事業開発に強いコミュニティマネージャー。起業家向けコワーキングやインキュベーション施設のディレクターを経て独立。株式会社ソレクティブではグローバルで多様なスキルを持つトップフリーランスが集う場のコミュニティマネージャーとして活躍。

軌道に乗るまでチャレンジし続けられる。副業から始める強み

タクト:さっそくですが、福島さんがどんなものを作っているか教えてください。

福島さん:個人でいくつかプロダクトの制作から販売まで行っています。最初に作ったのが「バタフライボード」というアイテムで、簡単に言うと持ち歩けるホワイトボードです。マグネットで留めてノートのような形にしたプロダクトで、ホワイトボードと同じように書いたものを消すこともできます。

タクト:独立まではどのような経緯でしたか?

福島さん:最初は4年間ほど副業としてものづくりをしていました。その間500日でプロトタイプを作り、500日でクラウドファウンディングを実施。そして500日で問題点を改善して商品をリリースしました。

プロトタイプの段階では、会社の仕事が終わったあとや休日に、100円ショップなどで安く材料を調達して制作をしていたんです。ものづくりが好きだったので楽しく取り組むことができ、特に苦労は感じませんでしたね。

大変になったのは次の段階です。いざ量産したくても副業だと趣味と捉えられてしまい、工場に相手にされなかったんですね。そこで資金と顧客の存在を工場に示して、説得しようと思ったんです。解決策として使ったのが、クラウドファウンディングでした。

1回目が成功し、無事に工場で量産してもらえることに。これを機にクラウドファウンディングを続け、3回目で資金が1,000万円を超えました。こうして顧客のニーズに応えたプロダクトが作れていると自信がついたため、独立する決意をしたんです。

タクト:やる気を起こすためには事業にフルコミットすべき、という意見もあります。副業で始めるよさとはなんでしょうか?

福島さん:失敗しても生きていけるという安心感ですね。長い時間をかけて納得いくまでプロダクトと向き合えたのは、本業があったからこそだと思います。

自分の悩みがアイデアに直結。自分ごとだからモチベーションが続いた

タクト:1,500日もの長い期間、副業としてプロダクトを作り続けるのは大変そうです。ましてや本業で食べていけているとなるとモチベーションが続かない場面もありそうですが、福島さんはどのように乗り越えたんですか?

福島さん:僕のプロダクトは自分の課題を解決したくて作り始めたものです。自分ごと化できていたからこそ、継続できたんだと思いますね。

僕は10年以上エンジニアを経験したあとに転職し、人事やマーケティングの仕事に就きました。後者の職種ではコミュニケーション力がとても大切ですが、僕は口下手だったんです。

そこでコミュニケーションを円滑にするツールとして発案したのが、バタフライボードでした。

さらに続けられた理由として、僕がものづくりを好きだったこともあります。

もし続けられなかったら、それはそもそもその事業を好きではなかったということかもしれませんね。とりあえずやってみて続くか続かないか試せるのも副業のよさです。継続を通して自分に合ったビジネスかどうか見極められると思います。

顧客の声に耳を傾け、その期待を超えるからこそ事業を発展できる

タクト:福島さんは過去9回クラウドファウンディングを成功させ、累計1億円の資金を調達しています。事業を伸ばし続ける秘訣はありますか?

福島さん:会社だとフィードバックをくれるのは上司ですが、起業したあとは顧客こそが上司だと思っているんです。一見すると的外れなクレームも、実際に顧客と会って話してみると伝えたいことが違う場合が多く、改善のための有益な情報として役に立つケースもあります。そのためなるべく時間を作って、顧客の意見はどんなものでも聞くようにしているんです。

さらに改善するだけではなく、期待を超えることも大切です。

たとえば以前、顧客から「ホワイトボードで使うマーカーが汚れやすくて嫌いだ」という声が届きました。新しいマーカーを作る、という手もありますが、それだと改善しただけです。期待を超えるためには、レイヤーを1つ上げて新商品のアイデアを考える必要があります

それで僕がどうしたのかというと、マーカーを使わなくて書けるという条件を盛り込みつつ、ホワイトボードの「何度も消せるから書くハードルを下げてくれる」というよさを、別の形で提供しようと思ったんです。こうして「書くハードルを下げてくれるもの」という考えが気負わず書ける「裏紙」と結びついて生まれたのが、裏紙などの好きな紙を挟めるホルダーであるペーパージャケットという製品でした。

こうして既存顧客の意見も反映しつつ新たな商品を生み出したことで、新規の顧客獲得にもつながりました。その結果、ファンがついてきてくれて事業を伸ばしていけているのだと思います。

タクト:最後に、ものづくりをしたい人や起業をしたい人たちにアドバイスはありますか?

福島さん:まずは行動をしないと何も始まりません

最初は小さなもので構いません。何かを作りたいのであればお金をかけずにプロトタイプを作り、人に見てもらったらよいと思います。そうすれば感想をもとに改善し、一歩ずつ前進することができます。

副業は、「とりあえず試す」がしやすいのでおすすめですね。

タクト:福島さん、本日はありがとうございました!

Sollective のコミュニティでは今後も引き続きさまざまなイベントを企画しています。興味のある人はぜひこちらからチェックしてみてください。

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