ジョブ型雇用での「プロジェクトチーム」のつくりかた。Sollective の事例も紹介 - 岩井エリカの視点
グローバル化が進み、働き方が多様化している現在、仕事の進め方は大きく変化しています。これまで日本は「メンバーシップ型雇用」が一般的でしたが、ビジネスシーンがより早く大きく変化していく中で、その流れに対応できる組織づくりのために、この頃は「ジョブ型雇用」も徐々に取り入れられるようになってきました。
ジョブ型雇用は、プロジェクトベースで必要に応じて人材に参加してもらう仕組みになっています。そして Sollective(ソレクティブ)はこのジョブ型雇用の働き方を推奨しています。このあたりのことは以前に記事で書いているので、興味のある方はぜひ読んでみてください。
しかし、実際にプロジェクトを始めるにあたって、どのような手順で立ち上げるのか、それぞれの人材はどうやって選ぶのかなど、いまいちピンとこないという方も多いのではないでしょうか。そこで、今回は Sollective の事例と併せて、ジョブ型雇用の組織におけるプロジェクトの進め方を具体的にご紹介します。
プロジェクトメンバーの決め方。リーダーとメンバーは補完の関係を意識する
プロジェクトを立ち上げる際には、まずプロジェクトリーダーを決めます。プロジェクトリーダーはプロジェクトのビジョンと目標を設定し、チーム全体を取りまとめてゴールを達成する責任者です。そのため、プロジェクトに対しての専門知識とスキル、コミュニケーション能力、決断力、経験など多くのものが求められます。
中でも特に重要なのがコミュニケーション能力です。プロジェクトリーダーは、プロジェクトに関わる全てのステークホルダーとやり取りをしながらプロジェクトを取りまとめていきます。専門的な知識やスキルと共に、コミュニケーション能力が重視される役割です。そういう意味で「T型人材」が向いています。
T型人材とは、専門性(Tの字の縦棒)と視野・知識の広さ(Tの字の横棒)をあわせもつ人材です。プロジェクトリーダーはこの両方のスキルが求められつつ、横棒のスキルがより重視されるイメージを持っていただけるとよいかと思います。
プロジェクトリーダーが決まったら、その人が必要な人材を洗い出してメンバーを決めていきます。メンバーに求められるのは、基本的にプロジェクトを実行するための知識とスキルです。
ですが、プロジェクトによってはメンバーにもコミュニケーション能力や提案スキル、経験が必要な場合もあります。実行するプロジェクトがリーダーの専門領域でない場合、リーダーはメンバーと話し合いながら、メンバーの提案や経験に頼って仕事を進めていく必要があるからです。
逆に、リーダーがプロジェクトについて深く理解していれば、メンバーに知識と経験、コミュニケーション能力などはそれほど求められません。なので、プロジェクトリーダーにない部分はメンバーで補うという風に考え、バランスよくチームを組むといいと思います。
また、プロジェクトリーダーとして特に社外からメンバーを選ぶときに、私がいつも心がけているのは、ひとりの候補者から選ばないということです。最初に会った人がどんなによくても、2〜3人以上に会うようにしています。
そして、自分が進めようとしているプロジェクトについて、それぞれの候補者に「あなただったらどう進めますか?」と積極的に聞いています。
すると意外な答えが返ってくることも多く、自分にはなかった新しい視点を追加していくことができます。自分が洗い出したスキルや人材は合っているか、足りないとしたらどういう部分かなど、戦略をアップデートしながら柔軟に進めていけるので、ぜひ多くの人に会って話を聞くのがおすすめです。
このとき、チームに入れるメンバーはまずは身近な社内を見渡して、適切な人がいなかったら社員・フリーランスの両方を検討するのが欧米では一般的です。その理由や判断基準などはこちらの記事をぜひ参照してみてください。
Sollective がコンテンツ発信のプロジェクトを始めた時の実例を紹介
では、プロジェクトをどのように組み立てればよいか、Sollective がコンテンツ発信を始めたときの実例を元に説明します。
当時、私はソーシャルメディアで月に4本くらいの記事を発信していきたいと考えていました。海外の多くのスタートアップは、有益な情報や自分たちの思想をしっかり発信しながら成功していたためです。また、 Sollective が推奨しているジョブ型雇用の概念について、積極的に伝えていきたいとも思っていました。
そこで、記事制作のプロジェクトを立ち上げましたが、私を含め社内の人間は全員コンテンツ制作の経験がなく、Sollective についての発信ということで私がプロジェクトリーダーをやることにしました。
私はプロジェクトリーダーとして、まずプロジェクトに必要なスキルと人材を洗い出しました。社内コミュニケーションが英語で、記事の引用元が英語になる可能性もあるため、いずれも英語でコミュニケーションがとれることが条件でした。最初に考えたのは以下の2名です。
次に、私は数人のライター・コンテンツ制作経験者に連絡して、メンバー選定と共に「あなたならプロジェクトをどう進めますか」と聞いてみました。そのうちに最初に考えたスキルだけでなく、コンテンツを誰にどのように伝えるかの戦略を考え、記事の内容を決めて編集をするスキルが必要なことに気づいたのです。そこで、コンテンツ戦略策定や編集スキルを持つ人を加えることにしました。
そして、最終的に決まったのが以下のチーム構成です。最初、ライターは1名と考えていましたが、記事のテーマや難易度、ボリュームが決まっていない中で、1人で月4本を安定的に書くのは難しそうだったので増やすことにしました。
このように、メンバーの選定とチーム構成のアップデートを同時並行で進めていきました。
今回は私の専門領域ではないので、コンテンツ戦略策定・編集担当者には、専門分野のスキルや知識に加えて、コミュニケーション能力とこの領域の経験がある人が必要でした。私がやりたいと考えているプロジェクトを理解し、私に足りない知識を補ってもらうためです。
こうして①のコンテンツ戦略策定・編集担当に適任者を起用し、ライター、デザイナーにもそれぞれ最適と思われるフリーランスを採用しました。その後、掲載媒体を note に決め、目的やリソースに合わせて毎月の制作コンテンツを決めていくスタイルで運用しています。
プロジェクト成功のためにスキルの高い人材を確保
今回は、Sollective の事例を含めて、どのようにプロジェクトを組み立てていくかを説明しました。プロジェクトに必要な人材を洗い出し、スペシャリストに参加を依頼する手順が、なんとなくわかっていただけたでしょうか?
このようなプロジェクトが成功するかどうかは、プロジェクトに必要なスキルをしっかり洗い出しきれているか、そしてそれにフィットする人を見つけることができるかが大きな鍵になってきます。
ジョブ型雇用に挑戦し、プロジェクト単位でビジネスを進めていく挑戦をされている方に、今回の記事や私たちの事例がすこしでも参考になればと思います。
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