「ジョブ型雇用」とフリーランスの相性が最高な理由と、採用のために知っておきたいこと - 岩井エリカの視点
最近「ジョブ型雇用」という言葉を耳にすることが増えました。リモートワークの普及などとともに働き方が多様化していく中で、この雇用タイプについて話題にあがることが増えてきたのではないでしょうか。
Sollective(ソレクティブ)は、このジョブ型雇用という方式が今の日本にはとても必要だと思っています。このあたりの話は、こちらの記事に書いているので興味のある方はぜひ読んでみてください。
また、この雇用形態とフリーランスの相性は実はとてもいいのです。ジョブ型雇用の人材戦略を取るのであれば、優秀なフリーランスの力を借りずにはその効果を最大限に発揮することは難しいと言ってもいいかもしれません。
なぜジョブ型雇用とフリーランスは好相性なのか、フリーランスに依頼するべき仕事とはどういうものなのかを、日本とアメリカで人事として働いてきた私、岩井エリカの視点から紹介します。
なぜジョブ型雇用とフリーランスは相性がいいのか
そもそもジョブ型雇用とは、プロジェクトベースでチームに最適な人材を加える仕組みです。新たな企画やプロジェクトが発足するたびに必要な人材を検討し、メンバーを選びます。
前提として知っておきたいのが、アメリカでのビジネスにおける基本的な考え方として「できるだけ多様な考え方を入れたほうがプロジェクトを早く成功に導くことができる」とされていることです。変化の大きい昨今のビジネスシーンにおいて、プロジェクト設計の一番最初から様々な視点を入れておくことで、あとからの手戻りや失敗が少なくなります。
たとえば新商品を作る時は、企画段階の時点で、マーケティング、営業、デザインなど、必要なメンバーを各部署から集めて参加してもらうことによって、全員で目線をあわせながらワンチームで開発からローンチまで行うなどの例があります。
このように各部署からその都度、最適なスキルを持ったメンバーがプロジェクトに参加する組織を「マトリックス組織」とも呼び、組織とプロジェクトの2軸で会社と関わっていきます。この組織形態では1人の社員が複数のプロジェクトに取り組む、なんてことも普通です。
具体的なプロジェクトの組み方は、こちらの記事で実例を交えて紹介しているのでぜひ見てみてください。
プロジェクトごとに必要なメンバーをその都度アサインすることで、効率的でスピーディーな仕事の進め方ができるように見えるジョブ型雇用ですが、ひとつ大きな落とし穴があります。それは、プロジェクトに必要なノウハウやスキルを持つメンバーが社内にいない、またはリソースが空いてない場合です。
さらに、新しい専門スキルが必要になるたびに正社員として雇用していたら、採用ができるまでプロジェクトは止まってしまいますし、企業の人件費はかさむ一方です。
そのため、決まった期間だけフリーランスに参加してもらうことは効率のいい企業活動には不可欠な判断になってきます。
新しくジョブ型雇用に切り替え始めた企業は、最初はプロジェクトに必要なメンバーを社内だけで補いたいと考えるかもしれません。しかし、必要以上に人材を抱え込みすぎないためにも、社外のリソース、つまりフリーランスの力も状況に応じて借りていくことがおすすめです。
具体的に、どんな場合にフリーランスを採用するべき?
では、具体的にどんなタイミングでフリーランスをプロジェクトにアサインすることを考えたほうがいいのでしょうか?大きく分けると以下のようになります。
【1】社内に適切な人材おらず、早くスキルとリソースを確保したい場合
社内にぴったりのメンバーがいない中、それでもプロジェクトをできるだけ早く進めたいならフリーランスを選ぶのが得策です。社内だけでなく数多くのフリーランスから探すほうが、必要なスキルを持っている人が見つかる確率はぐっと高くなります。
またこういった場合、正社員を探すという選択肢もあります。ですが、一般的に正社員雇用の場合は慎重に進める必要があるため、相応の時間とコストがかかります。フリーランスであれば、その人の稼働状況にもよりますが早く取り組んでもらえる場合が多いので、プロジェクトの緊急度が高い場合は、フリーランスのほうが相性がよくなります。
【2】一時期しかそのスキルが必要ない・将来の見通しがつかない場合
期間が決まっているプロジェクトで、社内にそのスキルを持っている人がいない時は、フリーランスにぜひ積極的に打診してみてください。その企画でしか必要のないスキルを正社員として雇用すると、採用や雇用コストに対してのリターンが少なくなってしまいます。
また、ある職種やリソースが社内で必要になりそうでも、将来的な見通しがつかないこともあります。こういったパターンでは、柔軟性を確保する意味でも一時的にフリーランスの力を借りることで、将来を見極める時間ができます。長期的に必要だという結論になったら正社員の雇用も視野に入れることがおすすめです。
【3】チームに新鮮な発想を取り入れたい場合
フリーランスに仕事をお願いする機会として、私が最もおすすめしたいのはこの3番です。社内で出される企画や提案が新鮮味に欠けていたり、社内メンバーのみで構成するプロジェクトにマンネリ感を感じたりするなら、ぜひフリーランスにプロジェクトを依頼することを検討してみてください。
英語では、チームに活力を与える新しい人材を「New Blood」といいます。外部からのスペシャリストは、斬新な発想や違ったメソッドによりチームに刺激をもたらすことが期待できます。既成の枠にとらわれないアイデアがほしい場合や、プロジェクトの活性化を目指すときは、フリーランスに仕事を依頼してみると驚くような効果が得られることもあります。
フリーランスより、正社員が向いている場合もある
一方で、社内にない人材やスキルを新しく求めている場合でも、正社員を採用したほうがいいこともあります。それは、社内で長期的に必要な職務がある場合です。
業種によっても状況は変わってきます。たとえば個人情報を扱う金融や、安全性や品質担保のために遵守すべきルールが多い製造業などは、正社員雇用をしたほうがいい場合が多いはずです。
さらにチェックしておきたいのは、企業の中で、その人のスキルと経験を元にキャリアパスが描けるかどうかです。長期的にその人を育成していきたいと思えるかどうかを判断の基準にすることで、幸せに働いてもらえるか、向こうに正社員になってもらうメリットがあるかどうかが分かります。
そして見落としがちですが……何よりも大切なのは「その人が会社のミッションに共感して、長期間正社員として働きたい意思があるか」です。日本では正社員として働きたいと考える人が多い印象ですが、現在の欧米では企業が正社員オファーを出しても逆に断られることも多くなってきています。
これは、多くの人が自分のライフワークバランスを大切にし、柔軟性を持って働きたいと考える傾向が強くなっているために起きている現象です。その傾向はミレニアル&Z世代で特に強く、コロナ禍によってさらに加速しています。
日本でもこのムーブメントはどんどん大きくなってきている印象があるので、欧米のような状況はそう遠くないうちに来るのではないでしょうか。
ジョブ型雇用を賢く活用して、世界に通用する人材戦略を
今回はジョブ型雇用の仕事とフリーランスはなぜ相性が良いのか、そしてどのような場合にフリーランスを採用するべきかについて、私の考えをお伝えしてきました。
社内に必要なスキルと人材リソースがない場合はもちろん、社内にメンバーがいてもあえて外部から New Blood をフリーランスとういう形式で取り込むことで、企業のリスクを最低限に抑えながらチームを活性化させたり、会社のイノベーション創出力を高めたりする効果も見逃せません。
これからは特定のスキルに特化した人材がますます必要になってくるので、専門性の高いフリーランスに依頼する機会は一層増えてくるはずです。今後、世界の企業と対等に渡り合うために、日本企業は組織づくりとその鍵となる人材リソースについても発想を大きく変えていく必要があると思います。
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