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2021.09.27# Trends

フリーランスの経営層「フリーランス・エグゼクティブ」が世界中で増えている

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フリーランスの仕事のやり方といえば、一般的にエンジニアやデザイナーなど、やるべきことが決まった案件を企業から請け負うイメージです。「何をやるか」を企業と一緒に決めていったり、フリーランスがマネジメントレベルの仕事に就いたりすることはイメージしづらいのではないでしょうか。

ところが世界に目を向けると、欧米を中心にフリーランスでもエグゼクティブ職や経営クラスに就くことがあります。それは「フリーランス・エグゼクティブ」と呼ばれ、企業にとって重要な存在です。

私たち Sollective(ソレクティブ) は、日本でのフリーランスのイメージを変え、日本のビジネスシーンで、フリーランスと企業双方に良い機会を作ること目的としています。その中でフリーランス・エグゼクティブという存在はとても重要であり、日本でも浸透していって欲しいと考えています。

今回はフリーランス・エグゼクティブの働き方や市場など、最新の英語記事を引用しながら紹介していきます。

フリーランス・エグゼクティブの需要が高まる理由

フリーランス・エグゼクティブとは、経営幹部クラスの仕事を行うフリーランス人材です。特徴的なのは、企業は正社員として雇うのではなく、課題や目的に応じて1年未満などの短期間で雇用することでしょう。

Forbes の「フリーランス・エグゼクティブ:フリーランス革命の一翼を担う」によると、「Interim Executives(暫定的な経営幹部)」とも呼ばれるフリーランス・エグゼクティブの活躍の場は多様化してきているのだそう。「これまでのようにCxOやリーダシップクラスの退職に伴う一時的な役割だけにとどまらず、大規模なプロジェクトや企業変革を指揮したり、重要な専門スキルや経験を組織にもたらしたりしている」とも説明されています。

たとえばヨーロッパの例をあげると、典型的なフリーランス・エグゼクティブは、7年以上の経験があり、さまざまな分野で活躍をしているそうです。

需要が拡大しつつあるフリーランス・エグゼクティブですが、前述の記事ではその理由を次のように分析しています。

企業が業界の変化に対応できる体制が準備ができていない場合、フリーランス・エグゼクティブは重要なリソースになります。また正社員の経営陣を確保するのに比べて、迅速に企業の成長拡大や問題への対処を可能にします。同じような激動を経験したことのある業界から、経験豊富なリーダーを一時的に招き入れ、会社の事業改革を成功させることもあります。

また、同じく Forbes の「暫定的なマネジメントクラス人材の重要性」では、コロナ禍による経済的な影響もあり、一時的に採用できる幹部クラス人材への関心が高まっていることも伝えています。以前は「従業員とは雇われ、必ず会社に所属していなければならない」と考えていた企業が、不況を経て今では「必要なときに必要な専門知識・スキルを取り入れればばよい」と考えるようになったのが原因だといいます。

フリーランス・エグゼクティブが求める働き方とは

では、企業の即戦力となって活躍するフリーランス・エグゼクティブは、どんな働き方をしているのでしょうか。

英字新聞としての発行数が世界最多のインドのビジネスに向けたメディア「The Times of India」は、「インド企業が『暫定的なCXO』採用」という記事の中で、Hunt Partners 社の Suresh Raina 氏はこのように話しています。

フリーランス・エグゼクティブは豊富な職務経験を持っているにも関わらず、肩書きや企業内のラットレースに興味がないようです。フリーランス・エグゼクティブが増えている理由は、ある一定の年齢を超えたら定年までフルタイムで働かないと決める人が増えており、自分の人生を自分でコントロールすることによって、会社員時代には脇に追いやっていた趣味や情熱を追求できることです。

エグゼクティブ層であっても、フリーランスが求めるフレキシブルな働き方を選ぶことで、自分の人生をコントロールしたいと考えていると言えそうです。

そのようなフリーランス・エグゼクティブが成功する方法についても、前出の「フリーランス・エグゼクティブ:フリーランス革命の一翼を担う」では触れられています。この記事で挙げられている必要なスキルの中で、気になるものをいくつかピックアップしてみました。

・優秀なフリーランス・エグゼクティブは、企業にジョインしてすぐに新しいメンバーとの間に信頼関係を築き上げ、初期に重要な方向性や意思決定を下すことができます。 ・フリーランス・エグゼクティブは、ほとんどの場合、企業変革を進めるために雇われるので、チェンジマネジメントを促進させるリーダーとしてのスキルが求められます。 速やかに説得力のある方法で課題を見つけ出し、適切な人材を選んでチームをまとめ、目標を実際の行動に落とし込み、業務を監督する能力が必要です。 ・新入社員は通常オンボーティングや研修期間を通して、組織について学ぶ機会があり、時間をかけて同僚やチームメンバーと良好な関係を築く余裕があります。しかし、フリーランス・エグゼクティブは直ちにバリューを発揮し、成果を上げることが求められ、すぐに行動を起こす必要があります。

エグゼクティブとして働く場合も、一般的なフリーランスとおなじく即戦力となり、周囲とスムーズにコミュニケーションを取れるスキルが求められていることが伺えます。

各国で異なるフリーランス・エグゼクティブ市場の傾向

同記事によると、フリーランス・エグゼクティブが最も活発で成長している市場は、西ヨーロッパ、アメリカ、中国で、特に需要の高い分野は「プロジェクトマネジメント」、続いて収益拡大やデジタル・トランスフォーメーション、チェンジ・マネジメントをサポートする領域だと報告しています。

また、前出の「暫定的なマネジメントクラス人材の重要性」では、フリーランス・エグゼクティブが定着しているヨーロッパと、まだ始まったばかりのアメリカでは、どちらも需要は拡大しているものの、その傾向には違いがあるといいます。まずヨーロッパの状況として、INIMA(International Network of Interim Manager Associations)が調査したデータをいくつかピックアップしてみます。

・ヨーロッパでのフリーランス・エグゼクティブのほとんどは50代半ばの男性で、専門分野は取締役会運営を含むマネジメント全般(32%)、オペレーション(9%)、人事(9%)、ファイナンス(8%)。 ・彼らを採用している企業の業種で最も多いのは機器製造業(11%)で、その次が自動車業(10%)。 ・ヨーロッパでの平均的なコミット期間は11ヶ月。その中でも、英国、フランス、ポーランドでは短期のアサインが人気で、イタリアでは長期のアサイン(多くがパートタイム)が主流となっている。

記事では「今後の市場の見通しについて、フリーランス・エグゼクティブの3分の2は、現在の成長トレンドが継続するか、より強くなることを予測しています。」と語っています。

一方アメリカでは、ヨーロッパと概ね同じ傾向ではあるものの、特徴は異なるようです。

ヨーロッパでは主に製造業でフリーランス・エグゼクティブの採用が多いのに対し、アメリカはヘルスケア業界(25%)を筆頭に、NPO(20%)、教育機関(10%)と続きます。 また、ヨーロッパでは女性のフリーランス・エグゼクティブは少数ですが、アメリカでは50%以上が女性となっています。

最後に、フリーランス・エグゼクティブの市場の流れについて、グローバル人材の最先端である Odgers Berndtson 社の米国での暫定的マネジメント人材の事業を担当する Paul Smith 氏の話から、気になる2つのトピックスを引用します。

英国と欧州で10年間、そしてこの2年間は米国でフリーランス・エグゼクティブの業務に従事してきましたが、必要に応じて採用できる暫定的なマネジメント人材は、世界的に見ても成長し続けている市場であることは明らかです。 次に暫定的なエグゼクティブがキャリアとしてが増えていることです。欧米のフリーランス・エグゼクティブの大半は柔軟性と選択肢を求めており、フルタイムよりも一時的な役割であることを望んでいます。彼らは、需要の高いトップレベルの人材であり、ある一定期間のリーダーかもしれませんが、決して「二軍」ではないのです。

フリーランス経営層の関心の高まりとともに、そのキャリアを求めるビジネスパーソンが増えているといるということを考えると、エンジニアやデザイナーだけではなく経営陣を含むフリーランス全体の市場はこれからも成長を続けるのではないでしょうか。

現在の日本では、残念ながらまだフリーランスの働き方自体が欧米ほど浸透しているとは言えません。ですが日本のフリーランス市場も、若者を中心に今後ますます成熟していくと考えられています。そういった動きを見ていると、フリーランスとして働き続けることで素晴らしいキャリアパスや機会に恵まれる可能性が今後ますます広がっていくと、私たちは思っています。

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