マーケティングの第一人者 セス・ゴーディンが語った「フリーランスと起業家の違い」とは Article Image
2021.09.16# Tips

マーケティングの第一人者 セス・ゴーディンが語った「フリーランスと起業家の違い」とは

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組織や団体にとらわれず自由に働くフリーランス。新型コロナウイルスの影響により働き方がさらに多様化し、その人口はますます増えています。

そしてフリーランスのなかには、起業家へと転身する人が多く存在するのも事実です。フリーランスという働き方そのものが「自分で会社を持つ」ということでもあるので、もともと起業家精神を持っている人も多いのかもしれません。

フリーランス、起業家ともにエネルギーの要る素晴らしい働き方ですが、いまいちその違いが分かりづらいことも。では、フリーランスと起業家の違いとは一体何なのでしょうか。

この問いに対して、アメリカのスタンフォード大学で MBA を取得、マーケティングの第一人者でベストセラー作家としても有名なセス・ゴーディンが Start Up School Series で語った「フリーランスと起業家の違い」がとても参考になります。

今回はこの動画などでセスが語った内容を中心に、いくつかの海外の記事とあわせてその本質を探っていきます。

仕事に対して報酬を得るか、お金を使ってビジネスを作るか

セス・ゴーディンは「フリーランスは仕事(時間単位・プロジェクトごと)に対して報酬を得る人のことで、起業家は資金(できれば他の誰かのお金)を使って自分よりも大きなビジネスを構築する」と語ります。

さらにアメリカのビジネス情報誌 Inc. では、自社 WEB サイトに掲載している記事「自営業のアイデンティティーの危機:あなたはフリーランスですか、それとも起業家ですか?」のなかで、フリーランスか起業家か判断するための質問を5つ挙げています。

・あなたは何に時間を割いていますか? フリーランスは時間やプロジェクト単位で働き、その労働の対価として報酬を得るのに対し、起業家はチームメンバー(社員や仲間など)を管理するために時間を費やすため、必ずしも時間単位で区切られているわけではありません。 ・他の誰かのために働いていますか? フリーランスはクライアントと契約している場合、期限を守り、特定の要件に従う必要があることから「他の誰かのために働いている」と感じることが多いそう。一方、起業家は複数の取引先企業を持ち、期限の設定からタスク、スタッフのアサインまで管理することから、「自分自身が上司」という感覚が強いそうです。 ・スキルやアイデアを活かして生計を立てていますか? フリーランスはスキルと専門知識で生計を立て、その専門知識を武器にビジネスを展開することができます。一方、起業家は特定のスキルよりはアイデアとビジョンを通じてビジネスを展開する、という違いがあります。 ・製品やサービスを販売していますか? フリーランスは自分の持つスキルに対して報酬が支払われるのに対し、起業家は製品のアイデアから設計、プロトタイプ、製造、マーケティングまで幅広く担当します。自分の思い描くプロダクトを実現するために多くの時間と投資が必要です。 ・あなたの最終目標は何ですか? 自由で安定した仕事をし、やりがいのあるプロジェクトに取り組み、実績を積みながら自身の需要を増やしていくことでビジネスを構築したいと考えているフリーランス。一方、起業家の目標は自身のビジネスを通し、長期的な利益を生み出すこと。いわばビジネスの構築と維持に焦点を当てています。

また、女性起業家に向けたメディア「TORY BURCH FOUNDATION」は、「フリーランスと起業家」という記事のなかで、起業家について以下のように書いています。

もしあなたが起業家なら、自身の労働力のみを使ってあなたのビジネスを成功させることは不可能。なぜなら、ひとりの人間が割ける時間とパワーには限りがあり、スケールしません。さらに、もしあなたしかできない仕事をやっているのであれば、それは事業の仕組みを構築できておらず、ただ自分自身を雇っているだけと言えるでしょう。

Sollective CEO が考える「フリーランス」とは

やりがいと能力に見合った仕事を求める優秀なフリーランスと、多様化するビジネスの即戦力となるエキスパートを探している企業をつなぐ完全審査制のプラットフォーム Sollective (ソレクティブ)。その CEO であり、自身もフリーランスの人事として働いてきた Erika は、フリーランスについてこう語ります。

「アメリカで人事戦略・人材育成の専門家として働き、フリーランスが企業にどれだけの価値をもたらすかを組織側の観点から見てきました。その後、実際にフリーランスとして働くことで、成長し続けることやプロフェッショナルとして自分を試すことだけでなく、ワークライフバランスの観点からも、フリーランスという働き方の素晴らしさを感じました。

フリーランスとしての実体験を通して、今までにない充実感や生産性、さらにはキャリアを自分でコントロールすることへの喜びを実感したと言う Erika 。ではなぜ、フリーランスではなく起業家を選んだのか。実はそれも、フリーランスという存在がきっかけでした。

私が今、たまたま起業家になったのは、自分が経験したフリーランスという働き方を進化させて、より多くの人が働き方をもっと自由に選択できるようにしたいという想いからです。欧米ではフリーランスと企業が日本よりもずっと深い協力関係を築きながらビジネスを展開させています。フリーランスが自身の人生やキャリアを最大限に活かしつつ、企業側はプロジェクトの目的に沿った戦力をより効率よく確保しているのです。私は、日本企業もこういった文化を取り入れることで、ビジネスをより大きな成功に導くことができると信じています。」

大切なのは、自分に合った働き方を見極めること

さきほど「フリーランスか起業家か判断するための質問」を紹介しましたが、フリーランスと起業家の両方を経験している Erika の視点も紹介します。Erika は、自身が達成したいこと、目的と照らし合わせることが大切だと考えています。

・自分はビジネスと市場全体、どちらに影響を与えたいのか? ・自分のスキルを充分に活かすことを犠牲にしてでも、幅広いマネジメントスキルを養い、マーケットを作りたいか?

「多くの人は、自身の達成しようとしている目的に応じて、フリーランスと起業家という仕事のスタイルを行ったり来たりするのではないでしょうか。なぜなら、フリーランスとしてたくさんの企業と仕事をしていくことで、企業の実際のニーズを理解しているからこそ、起業家としても問題を解決することができるからです。フリーランスと起業家、そのどちらもが素晴らしい選択だと思います。私は『フリーランスという働き方を世に広めたい』というビジョンがあるので、現在起業家として活動していますが、私自身も将来この2つの間を行き来しながらキャリアを築いていくでしょう。」

最後に、前出の「TORY BURCH FOUNDATION」による記事「フリーランスと起業家」のなかで、セス・ゴーディンがフリーランスについて語った言葉を紹介します。

もしあなたが自分をフリーランスと認識しているならば、フリーランスとして働いていくべきでしょう。自分の分野において最高でやりがいのある仕事を取得する方法や、クライアントへどのように極上の価値を提供していくかを追求してください。仕事を断ることや、たまに休暇を取ることに対して心配しないでください。あなたの価値を上げていくには、「自分のブランドとレピュテーション」や「コンスタントな仕事の受注」に集中する必要があります。必要に応じてあなたをサポートしてくれるアシスタントを採用し、外部に任せられるものは他者に委託してください。しかし、あなたの担う仕事は常にあなたの責任であることを忘れずに。

フリーランスと起業家。働き方にそれぞれ優劣はなく、大切なのは自分のワークスタイルに合うこと、そして、自分自身がどのように生きていきたいか、ということ。あなたはどちらのワークスタイルを追求したいですか?

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