【フリーランスの仕事論】フリーランスに失敗は許されない? ホームランより確実なヒットを狙う
完全審査制のフリーランスプラットフォーム Sollective(ソレクティブ)には、やりがいのある仕事を求める優秀なフリーランス・副業ワーカーが多数登録しています。そんな Sollective で活躍中のフリーランスは、経歴もバックグラウンドも人それぞれ。
今回はマーケティングプランナー・リサーチャーとして台湾で活動中の岡村亮輔さんに、フリーランスになって苦労したことや、その経験から気づいたこと、仕事をするうえで心がけている点などについてお聞きしました。
子どもの病気がきっかけで、フリーランスに
—— はじめに、岡村さんのお仕事について教えてください。
私は主にリサーチとデータ分析に基づく業務改善提案や施策立案などの仕事を中心に行っています。定性調査だとモデレーションや分析・レポート、定量調査だとアンケートの設計から集計データが出た後のレポートまで担当します。
また商品ができて、それが当初描いていたコンセプトと合っているか、自分たちの思い描いていたユーザー層と実際のユーザー層が同じなのか、などの検証も多いです。クライアントの売上データから詳細に検証することもあります。
—— フリーランスになる前も同じようなお仕事をされていたのですか?
はい。マーケティングリサーチの会社と事業会社で合計7年くらい働いて、2017年にフリーランスになりました。
—— フリーランスになられたのはどうしてでしょう?
一番の理由は子どもの病気です。子どもが生まれたときに病気があったのですが、台湾人の妻が医師と日本語でコミュニケーションを図るのが難しくストレスを抱えていたため、彼女と子どもは実家がある台湾に行くことになりました。
私はしばらく日本にいたのですが、当時勤めていた事業会社での先行きはあまり明るいと思えず、その当時は家のローンもほぼ終わっており、直近のお金に関する不安は軽減されていました。それで、台湾からリモートで働いても、家族を食べさせるぐらいの生活はできるかな、と思ったのがフリーランスになったきっかけです。
—— その人のライフステージに合わせて柔軟に選択できるのがフリーランスのメリットのひとつですね。現地で就職するのではなく、フリーランスを選ばれたのはどうしてですか?
それは言葉の壁の問題が大きいです。台湾の標準語である北京語はある程度できましたが、ローカルの会社ですぐにコミュニケーションを円滑に図って貢献できるかといわれると、正直難しいと思いました。それよりは、それまでの仕事の延長線上でフリーランスとして働いて、価値を出したいと考えたんです。
最初は業務の線引きが難しく、うまくいかないことも
台湾での岡村さん。台湾・台東市の台東森林公園にて。
—— フリーランスになられた当初は、スムーズに走り出せましたか?
いえ、なかなかうまくいかないこともありました。営業は難しいし、はじめの頃はどこで業務の線引きをするかを見極められないことも多かったです。たとえば業務契約を結ぶときに別の仕事をプラスされたら、それは引き受けたほうがよいのか、あるいは別プロジェクトにするということで断るべきかなど、悩ましいことが多かったです。
結局、引き受けたものの、クライアントと私の間で共通認識が不明確で進捗が停滞し、双方にとってバッドエンドになってしまうというような経験もしました。
—— それを乗り越えるために、どういうことを心がけてこられたのですか?
場数を踏みながら、クライアントのミーティングなどに参加させていただくのが役立ちました。
私の仕事は他の人に教えてもらえるものではないので、クライアントと他のマーケティング関係者のやりとりを見聞きして、参考にできるやり方、逆に真似しないほうがよいやり方などを学習してきました。
—— うまくいかなかった頃、フリーランスを辞めようと思ったことはありましたか?
それはなかったです。子どものこともありましたし、日本で会社員をしていた頃と比べて自由度がある点は気に入っていました。
また、フリーランスから会社員に戻ったとしても、以前より立場が悪くなる可能性のほうが高いと思ったんです。40代半ばで会社のマーケティング部門の中間管理職になったとしたら、職場でアウェイになる可能性が高いなと。それなら、フリーランスで稼げるようにするのが、一番の近道だと考えて、踏ん張ることにしました。
—— うまくいかなかった経験から、気づいたことがあれば教えてください。
最初に業務領域や条件などをすり合わせるときに、反応が薄いお客さんのお仕事は引き受けないほうがよいということを学びました。その時点でクライアント側の話が煮詰まっていない、またはやりたいことが決まっていないということなので、そういう生焼けの状態の仕事は、金額を提示されても丁寧にお断りする決断力も必要だと思います。
—— でも、お客さんの中には「マーケティングが必要なんだけど、どうしたらいいかわからない」という人もいらっしゃるのでは?
そういうときに見るようにしているのは、こちらがお客さんの話を整理して「こういうことですか?」と尋ねたときに、ちゃんと考えてくれるかどうかです。返ってくる答えがあやふやだったり、「とりあえず見積もりだけ出してください」というようなお客さんであれば断ったほうがよいと思います。
そういった仕事を引き受けると後出しでの追加依頼もありがちですし、業務委託契約の内容自体も緩かったりするので、こちらとしても断りづらくなってしまいます。最初のうちはそれで痛い目にも遭いました。
ホームランよりも確実にヒットを打つことを心がける
—— 失敗から学んで交渉力や決断力を培ってこられて、5年経った今はどんな感じですか?
金銭面では少し落ち着いてきました。最初の1〜2年は、フリーランスの仕事だけで年間の損益分岐点を満たすほどの売上はなかったんです。東京で住んでいたマンションを貸していたので、その家賃収入に助けられていました。
—— フリーランスとして安定した仕事をするために、どのようなことを心がけてきたのでしょうか。
案件ベースなので仕事量のコントロールができないのは、個人事業主の難しいところだと思います。その中で、仕事をこなしながら営業の余力を残すバランス感覚を大切にしながら働くようにしています。
また、クライアントの求めていることには着実に応える、その上でプラスバリューを出すことも心がけています。要求されたことには100%応えて、それに5〜10%プラスするような感じです。
—— どういうことをプラスするのですか?
案件を通して気づいたことや、データから読み取れる点など、お客さんが気づかないことをさらっと拾って伝えるようにしています。それを今後の事業に役立てていただけたらありがたいです。
フリーランスの場合、他の人が思いつかないようなことをやって大ホームランを打つというよりも、確実にヒットを打てるところで打つことが大事だと思います。奇想天外なアイディアなんかを出しても、向こうも困るでしょうから。
率直に言って、フリーランスは失敗することが許されないと思うんです。うまくいかないと、個人事業主は簡単に契約を解除されてしまう立場ですし、クライアント側の担当者も難しい立場に置かれてしまいますから。
なので、失敗しないためにも、クライアントと条件をしっかりすり合わせておくようにしています。向こう側の言うことがブレるとこちらの作業が増えるし、評価もしてもらいづらくなります。また、向こうの希望でも、できないことはできないと最初に言うようにしています。
—— 岡村さんは、自分のどういうところがクライアントさんに評価されていると思われますか?
当たり前のことなんですが、期日は守る、向こうが求めている内容をきちんと満たす、という点だと思います。私のお客さんは中間管理職の人が多いのですが、彼らにとって事前に決めたことや段取りしたことをしっかり遂行することはとても大切だと思います。
—— フリーランスは一見自由に見えますが、こういった地道な努力は大切ですね。ほかにもフリーランスとして生きていく上で大切だと思うことはありますか?
お金の計算が嫌いでないのは、強みだと思います。経費の管理や、いただいた仕事における時給計算などを嫌がらない人はフリーランスに向いていると思います。
—— 時給の計算もされているんですか!?
報酬と実際にその仕事にかかった時間をもとに振り返りをして、PDCAを回しています。そうすることで、大体いくらで仕事を受けたらいいのか見えてきますし、金額の交渉にも役立ちます。会社員時代に報告者を作ったり改善策を作る上で費用対効果の計算などもしていたので、そういう習慣がついていたのはよかったです。
—— そういう積み重ねがあるからこそ、今の岡村さんがあるんだなと感じます。
フリーランスとして着実にキャリアアップしていくためには、業務を終えたら振り返って反省するとか、PDCAを回すとか、決めたことを確実に守るとか、そういう当たり前のことを積み重ねていく必要があるのだと思います。
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