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フリーランスの健康保険を徹底解説!加入できる保険や保険料をお得にする方法

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フリーランスや個人事業主になると、さまざまな手続きが必要になります。

中でも、特に重要になってくるのが健康保険に関すること。会社員の場合はそこまで気にしなくてもよかった健康保険ですが、フリーランスや個人事業主の場合には手続きも保険料の納付もすべて個人でおこなう必要があります。

今回はそんなフリーランスや個人事業主の方向けに健康保険について、会社員との違いや加入時に確認しておきたいこと、保険料や民間の保険サービスについて幅広く解説していきます。

健康保険は会社員とフリーランスで違う

健康保険は会社員とフリーランスでは加入する保険が異なります。

ここではなぜ健康保険に加入しなければいけないのか、そして会社員とフリーランスの加入する保険内容の違いなどについて解説していきます。

日本では必ず健康保険への加入が必要

日本では国民皆保険制度によって、必ず健康保険に加入することが義務付けられています。そのため、フリーランスでも会社員であっても、必ずいずれかの健康保険に加入する必要があります。

具体的には、それぞれ以下の保険に加入することになります。 ・フリーランスや個人事業主:国民健康保険 ・会社員:社会保険

会社員の方が退職をした場合、社会保険から国民健康保険へ加入しなおします。万が一国民健康保険へ加入する手続きをしなかった場合でも、社会保険から脱退した翌日から国民健康保険への加入が強制されます。

仮に社会保険から脱退した翌日から国民健康保険へ加入手続きをおこなわず、一定の期間を開けて手続きをおこなった場合には社会保険から脱退した翌日まで遡って保険料を納めることになりますので、国民健康保険の加入手続きは忘れないようにしてください。

会社員の健康保険は「被用者保険」

会社員の場合には「健康保険組合」か「全国健康保険協会(協会けんぽ)」のどちらかの健康保険へ加入することになります。

会社員の場合には健康保険料を加入者と企業が半分ずつ負担することになっており、国民健康保険と比較すると加入者の保険料の負担金額は低くなります。

健康保険の加入手続や保険料の納付に関しても、加入者個人がおこなうのではなく、企業が給与から天引きする形で支払ってくれます。

フリーランスの健康保険は基本的に「国民健康保険」

フリーランスや個人事業主の場合は基本的に「国民健康保険」へ加入することになります。国民健康保険の支払いは「国民健康保険料」や「国民健康保険税」と呼ばれており、保険料を全額加入者が負担することになるのが会社員との大きな違いです。

国民健康保険の自己負担は会社員と同じく3割となっていますが、未就学児や70歳以上の方の場合は1〜2割と低く設定される場合があります。

会社員時代の健康保険を任意継続できる場合も

個人事業主やフリーランスの方は原則として国民健康保険へ加入することになるとお伝えしましたが、国民健康保険へ加入することなく、会社員時代の健康保険を任意継続することもできる場合があります。

会社で加入していた健康保険は、以下の条件で継続することが可能です。 ・資格喪失の日の前日まで継続して2ヶ月以上の被保険者期間がある人 ・資格喪失日から20日以内に手続きを行った場合

任意継続の時間は最長で2年と定められているため、退職後から2年間は会社員時代の健康保険を継続することができるのです。任意継続した期間に1日でも保険料を滞納してしまったり、就職をして別の企業の健康保険へ加入することになると脱退になります。

メリットとしては会社員時代の健康保険を任意継続することによって、国民健康保険ではない扶養を利用することができ、扶養者の保険料の負担が不要になる点があります。また、傷病手当金や出産手当金を除いた在職時に受けられる保険給付と同様の給付を受けることができるのも良いポイントです。

気をつけたいのは、会社員時代の健康保険を任意継続するとなると、今まで企業と加入者で半分ずつ負担していた保険料を全額加入者が負担することになるということ。負担する保険料の金額は退職時の標準月額に基づいて決められます。

国民健康保険へ加入する方が保険料が安くなることもありますので、継続する場合には事前に計算をして決めるのが良いでしょう。

家族の健康保険組合に扶養として入ることも

自身で国民健康保険へ加入しなくとも、条件を満たすことによって配偶者などの家族が加入している企業の健康保険に、扶養として入ることも可能です。

家族の扶養に入る場合、年収が130万円未満かつ、原則として扶養に入る人の年収の2分の1未満の場合のみ利用することができます。また年収に関しては60歳以上の方の場合や一定の障がい者の方の場合には180万円未満となります。

家族の健康保険組合に扶養として入る場合には事前に家族に相談しておくことをおすすめします。

「国民健康保険」に加入する際チェックしておきたいこと

では実際に国民健康保険に加入する際に確認しておくべきことは何なのでしょうか?ここでは国民健康保険に加入する際に多くの方が疑問に感じる内容を4つピックアップして解説していきます。

フリーランスになったら切り替え手続きが必要

まず、国民健康保険への加入手続きが必要になります。

会社を退職してフリーランスになる場合、国民健康保険以外にも開業届の提出、国民年金の手続きなどが多く手続きが必要です。国民年金についてはこちらの記事で詳しく解説しているのでぜひチェックしてみてください。

国民健康保険の加入手続きは、本人が市役所でおこなう必要があります。退職日から2週間以内に、以下の書類を持って、お住まいの市区町村の国民健康保険窓口で手続きをおこないます。 ・離職届・退職証明書など会社を退職したことがわかる書類 ・身分証明書

この手続きは、会社員を辞めた際に必ず必要になるので忘れずに行ってください。

世帯主が個人事業主になったら家族や子どもはどうなる?

世帯主が個人事業主やフリーランスになった場合、家族や子どもの保険はどうしたらよいのか。

世帯主が国民健康保険へ加入した場合、家族や子どもは下記の3パターンのいずれかになります。

1.世帯主と同じく国民健康保険へ加入する 基本的に家族や子どもも国民健康保険へ加入することになります。国民健康保険の場合には扶養の概念がないため、家族は社会保険上の扶養から外れます。そのため世帯主だけではなく、家族全員の国民健康保険への加入手続きが必要になるのです。

2.会社員時代の健康保険を任意継続する 会社員時代の健康保険を任意継続することも選択肢として挙げられます。家族が扶養から外れないのが任意継続の大きなメリットです。ですが、今まで会社が半分支払ってくれていた健康保険料を加入者が全額負担することになります。

どちらの方法がお得になるのかはケースバイケースなので、それぞれ試算して検討すると良いでしょう。

「国民健康保険」の保険料はいくら?

国民健康保険の負担する保険料は、国民健康保険に加入している人数と年齢、前年の所得金額をもとに世帯単位で決まります。

気をつけたいのは、国民健康保険では社会保険と異なり扶養という概念がなく、住民票上の世帯収入をもとに健康保険料が決められるという点です。

国民健康保険料は自治体ごとに異なるので、計算方法や金額について知りたい方はお住まいの市区町村の国民健康保険窓口や市区町村の HP などで確認してみてください。

「国民健康保険」の支払い方法

会社員時代は給与から天引きされる形で支払っていた保険料ですが、国民健康保険の場合には支払い方法が異なります。

国民健康保険は毎年6月に世帯ごとの一年度分の国民健康保険料の納付通知が世帯主宛てに届きます。そして普通徴収の場合は6月から3月までの年10回にわけて納付することになります。

もしも年度の途中で会社員を退職してフリーランスになり国民健康保険に加入された方の場合には加入手続きをした翌月に保険料が通知され、3月までの残りの期別で按分した保険料を納付します。

支払い方法に関しては、口座振替やコンビニ支払いが多くの自治体で利用することができます。一部の自治体によってはスマホ決済やクレジットカード支払いも可能なので、ぜひお住まいの地方自治体の HP 等を確認してみてください。

「国民健康保険」を安くする方法

国民健康保険は世帯ごとの前年の所得金額によって決まるとご説明しました。ではその国民健康保険の負担額を安くすることはできるのでしょうか?ここでは一般的に国民健康保険を安くすることができる方法について詳しく解説していきます。

「国民健康保険」は確定申告で控除対象に

国民健康保険は確定申告によって「社会保険料控除」の対象になります。確定申告の時に健康保険の支払額もあわせて申請すれば、負担する国民健康保険料を安くすることができます。

国民健康保険料の控除を申請する場合には確定申告の他に「控除証明書」という書類が必要になります。

■「世帯分離」で保険料安くなる可能性が

「世帯分離」とは同居している家族の世帯を分離させ、国民健康保険料を考える方法になります。国民健康保険は世帯ごとに保険料の負担額を計算するため、世帯の所得金額が下がれば国民健康保険料が安くなるのです。

ですが、この方法にはデメリットもあります。世帯分離をしたことによって、世帯ごとに国民健康保険料を支払うことになります。そうすると世帯ごとに保険料を課す「平等割」という国民健康保険加入者一律にかかる負担が増えてしまいます。

世帯分離を検討する際には、分離前とあとで保険料の負担がどう変わるのかを確認したのちに申請するようにしてください。

保険料は自治体によって違う

保険料は自治体によって負担金額が異なります。そのため、今お住まいの自治体から保険料の負担が安い自治体に引っ越すことによって、負担する保険料を安く抑えることができる場合があります。

これは国民健康保険が国の管轄ではなく、都道府県や地方自治体によって運営されているからであり、国民健康保険料の金額は自治体が決めることになっているためです。医療費がかかることが多い高齢者が多く住んでいる地域や人口が少ない地域は、国民健康保険の負担する保険料が高くなることが多いです。

免除・減免制度を活用する

国民健康保険には免除や減免制度があります。国民健康保険料は前年度の所得金額に応じて決まりますが、以下のような場合には減免を受けることが可能になります。 ・前年度の収入が一定の金額以下になってしまった場合 ・災害によって家屋が著しい被害を受けた場合 ・コロナウイルスによって収入が著しく減少した場合 ・病気によって高額な医療費が必要になった場合

国民健康保険の減免や免除に関しては自治体ごとに対応が異なるので、お住まいの地方自治体に確認することをおすすめします。

職種によっては「国民健康保険組合」でお得になることも

「国民健康保険組合」とは国民健康保険法に基づいた、同種・同業種によって組織されている組合です。フリーランスの場合、自身の事業内容によっては国民健康保険組合に加入することができます。

数多くある国民健康保険組合ですが、ここでは代表的な国民健康保険組合を3つご紹介します。

文芸美術国民健康保険組合

「文芸美術国民健康保険組合」は美術や音楽、文芸や映画等の業種に従事する人によって組織されている国民健康保険組合です。文芸美術国民健康保険組合にはエンジニアやデザイナーなど事業をしている方が参加することができます。

文芸美術国民健康保険組合に参加するためにはこの国民健康保険を組織しているいずれかの自分の業種に近い団体に加入する必要があります。団体によって異なりますが、年会費や入会費が必要となるケースもあります。

文芸美術国民健康保険組合に参加する最大のメリットは保険料が以下の金額で一定ということです。 ・加入者本人:月額19,600円 ・家族:月額10,300円 ・40〜64歳までの介護保険被保険者:月額4,000円

国民健康保険は前年の所得金額に応じて負担する保険料が決まるため、年収が上がれば上がるほど負担額は増加していきます。ですが、文芸美術国民健康保険組合に加入することによって、保険料の負担に変動がなく一定であるということはかなりのメリットであるといえます。

しかし、前年度の所得金額によっては文芸美術国民健康保険組合に加入する方が負担する保険料が高くなってしまうケースもあります。加えて文芸美術国民健康保険組合に加入するためには、この国民健康保険を組織しているいずれかの団体に所属する必要があります。

団体によっては入会金や年会費などが発生するため、国民健康保険と比較すると年間の負担額が高くなるケースも考えられます。自分の所得金額や所属が必要となる団体について調べてから加入を検討すると、損をする可能性は少なくなるでしょう。

参考:文芸美術国民健康保険組合

東京美容国民健康保険組合

美容関連の業務をおこなっている方には、「東京美容国民健康保険」をおすすめします。

加入条件は以下になります。 ・東京都内に事業所を構えている ・美容関連の業務に従事している ・東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県、及び山梨県の区域に居住していること

会社員時代の健康保険とほぼ同様の保険内容を受けることができますので、東京都内で美容関連の業務をおこなわれている場合には参加すると多くのメリットを受けることができるでしょう。

東京美容国民健康保険組合は、個人事業主やフリーランスの方が事業者として加入できるだけでなく、従業員がいる場合は従業員も組員として加入することができます。

そして東京美容国民健康保険組合に加入する何よりのメリットは、負担する保険料が一定である点です。所得金額が上がると比例して上がってしまう国民健康保険と比較すると保険料が一定であるというのは安心して働ける材料になるのではないでしょうか。

気をつけたいのは、所得金額が一定以下の場合には東京美容国民健康保険組合に加入することで負担する保険料が高くなってしまうという点です。また東京に事業所を構えていない方や首都圏に住んでいない方の加入することができません。

参考:東京美容国民健康保険組合

東京技芸国民健康保険組合

アパレル、洋服、刺繍、染物関連のお仕事をされている方におすすめしたいのが「東京技芸国民健康保険組合」です。

加入条件は以下のようになっています。

1.次の事業に従事している人 洋裁、縫製、編物、染洗、写真、印章、人形、造花、刺繍、服飾(アクセサリー)、手工芸等の技術手芸または写真材料の業務 2.東京都内に事業所がある人 3.個人事業主(その従業員と家族を含む) 4.次の地域に居住している人 東京都(島しょ部を除く)、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県、静岡県にお住まいの方(ただし、写真材料は東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県に限る)

東京技芸国民健康保険組合は保険料が以下の金額で固定となっています。 ・40〜65歳未満:月額28,400円 ・それ以外:月額23,900円

また、家族の方の負担金額は下記のようになります。 ・65~75歳未満:月額12,900円 ・40~65歳未満:月額15,600円 ・16~40歳未満:月額11,100円 ・15歳以下:月額9,300円

一定の保険料であるというのはメリットではありますが、所得金額が一定以下の場合には国民健康保険に加入する方が負担する保険料が安くなるケースもあります。東京技芸国民健康保険組合に加入を検討する際には、負担する保険料がお得になるのかを確認したうえで加入されることをおすすめします。

参考:東京技芸国民健康保険組合

フリーランスには民間の保険サービスも必要?

国民健康保険だけでは不安という方向けに、フリーランス向けの民間の保険サービスも多く提供されています。そのため、フリーランスとして独立した際、「健康保険だけではなく、民間の保険サービスにも加入した方がいいのか?」と迷う人も少なくありません。

結論、民間の保険サービスは加入しておくと安心できることが多いです。必ず加入する必要はありませんが、自分の状況と照らし合わせてぜひ検討してみてください。ここでは2種類のフリーランス向け保険をご紹介します。

フリーランス賠償責任補償

「フリーランス賠償責任補償」は「プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会」によって提供されているフリーランスのための保険です。2022年3月時点で1万人が加入している保険で、独立や開業はもちろん副業までのさまざまな働き方に対応しています。

年会費は1万円で、業務遂行中の対物・対人事故だけではなく、情報漏洩や著作権に関してのフリーランス特有の賠償を保証してくれます。また死活問題でもある報酬未払い等のトラブルに対しても相談やアドバイスを受けられ、損保ジャパンの承諾のもと弁護士対応をおこなう際には保険金が支払われます。

フリーランスだからこそ悩んでしまう問題やリスクを回避することができるため、活動が不安な方は申し込まれることをおすすめします。

参考:プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会

フリーナンス(FREENANCE by GMO)

「フリーナンス」とは、GMOによって提供されているフリーランス向けの保険サービスです。

業務中の事故や納品物の欠陥によって発生してしまう保証を最大5,000万円まで補償してくれるのはもちろん、情報漏洩や著作権侵害、納期遅延などに関しても補償を受けることができます。

またフリーナンスでは「即日払い」と言って、資金繰りをサポートするために請求書を買取りしてくれるサービスも。手数料は額面の3〜10%で即日メインバンクに振り込みを行ってくれるため、急な出費やピンチの時にも安心できます。

大手企業でもあるGMOが運営しており、フリーランスの万が一に備えたいという方におすすめしたい保険サービスです。

参考:フリーナンス

フリーランスには健康保険の知識は不可欠

今回はフリーランスの方向けの健康保険について、会社員との違い、国民健康保険に加入するときに気をつけること、国民健康保険を安くする方法、国民健康保険組合、民間の保険サービスについてご紹介してきました。

日本では必ず健康保険に加入することが国民皆保険制度によって決められているため、会社を退職してフリーランスになった際には何かしらの健康保険に加入しなければなりません。

多くの場合、国民健康保険に加入することになりますが、加入手続きや保険料の納付などは会社員時代とは異なり全て自分でおこなう必要があります。

そして保険料は前年の所得金額によって決められるため、確定申告で控除申請をするなどして負担する保険料を安くすることができるのも国民健康保険の特徴です。

ぜひこれからフリーランスとして活動していきたい方や、独立して間もない方は今回の記事を参考にして自分にあった健康保険に加入するようにしてください。

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