アメリカ企業でフリーランス採用が進む2つの理由
フリーランス先進国のアメリカでは、ここ数年でフリーランスの数がさらに増加しています。
クラウドソーシングサイトの Upwork の調査によると、2019年に5,500万人だったアメリカのフリーランス人口が2022年に6,000万人に達したことがわかりました。これは全労働人口の39%を占める数です。
また、同調査ではフリーランスがアメリカ経済へ大きく貢献していることも明らかになっています。2022年にフリーランスが労働者として生み出した収益は1兆3500億ドルと、前年から500億ドル増えました。
フリーランスの数がこれだけ増えて経済にも貢献しているのは、企業が積極的にフリーランスを採用し、仕事を提供しているからこそです。
ではなぜ、アメリカの企業はフリーランスとの協業に積極的なのでしょうか。その理由を掘り下げる前に、まずはアメリカのフリーランスについて理解しておきましょう。
前提にあるのは「フリーランス=ハイスキル」という考え方
アメリカでは一般的に「フリーランス=専門性の高い人材」だと見なされています。フリーランスは専門スキルを武器に企業が抱える課題を解決したり、難しいプロジェクトを遂行したりする頼れる存在なのです。
実際に Upwork の調査によると、アメリカではフリーランスの半数以上(51%)が、プログラミング、マーケティング、ビジネスコンサルティングなど、高い専門性を必要とする知識サービスに従事していることがわかりました。
さらに、アメリカでは教育水準の高いフリーランスが増えているようです。さきほどの調査によると、2021年には大学院の学位取得者が全体の20%であったのに対し、2022年には26%に増加しています。
つまり、高い専門性を持ち、教育レベルの高いハイスキル人材を企業が確保したいとき、その有力な選択肢にフリーランスがあるのです。こうした背景を前提として、アメリカ企業がフリーランスを積極的に採用する理由は2つあります。
理由①アジャイル経営を推進できる
「アジャイル経営」とは、市場の変化や顧客ニーズに対して迅速かつ柔軟に対応することを目的にした経営手法です。「俊敏な」という意味を持つ agile(アジャイル)の文字通り、意思決定のスピードを上げることで、顧客満足度の向上や業務改善を実現します。
「アジャイル経営」の推進には、変化し続ける市場にすばやく対応できる人材の確保が欠かせません。しかし、プロジェクトが立ち上がるごとに専門スキルを持つ適任者を社内で探すのは難しく、新規採用やトレーニングに時間を割いている間に変化に乗り遅れるリスクもあります。
そこで企業が頼るのがフリーランスです。
まず、前述のとおりフリーランスの多くはすでに高いスキルを備えています。そのため育成の必要がなく、即戦力としての活躍が期待できるでしょう。
また、プロジェクトを進めるなかで突発的に特定のスキルを持つ人や人手が必要になるケースもあります。しかし柔軟性の高いフリーランスなら、スポット的にタスクをお願いしやすく、人材不足が原因でプロジェクトの進行が遅れることがありません。
さらに、フリーランスの人材プールは世界中に広がっています。世界各地に現地法人がない場合、本社以外の国や地域で正社員を採用するにはさまざまなハードルがありますが、フリーランスとの契約はそれほど難しくないケースがほとんどです。これにより場所にとらわれず採用対象を広げられるため、ハイスキルな専門家をチームに迎えやすくなります。
その結果、場合によっては時差をかしこく利用して24時間体制でプロジェクトを進めることも可能です。たとえばアメリカ西海岸と日本の時差は16~17時間。西海岸の夕方が日本の午前になるため、西海岸のチームが就業後に休んでいる間に日本にいるメンバーが仕事を進められるというわけです。
つまり、フリーランスを迎え入れたチーム作りは最大限の成果を最短で出すための鍵だと言えるでしょう。
理由②限られた予算でもエキスパートの力を借りられる
フリーランスとの協業で特にメリットを得られるのはスタートアップや中小企業など、人件費が限られている企業でしょう。
たとえば、創業したばかりの企業が自社製品を売りたいものの、マーケティング担当者をフルタイムで雇う余裕がないとします。そんなときにフリーランスを採用すれば、知見とスキルを備えたエキスパートから必要な期間のみサポートを得ることができ、予算内で効果的にマーケティングを実行できるでしょう。
また、フリーランスは育成期間が不要なだけでなく、そのコストもかかりません。その点でもスタートアップや中小企業にとって頼れる存在だと言えるでしょう。
つまり予算が限られた状況下でも事業を推進したいとき、フリーランスが理想のビジネスパートナーになるというわけです。
フリーランスが採用課題を解決する糸口に
こうしたフリーランスとの協業はアメリカだから実現するわけではありません。日本でも、組織のスピードを上げてイノベーションを推進したい大企業や、資金に余裕のない初期フェーズのスタートアップがフリーランスと協業すれば、今抱えている課題を解決できる可能性があります。
またアメリカだけでなく、日本でもフリーランス人口は増えています。内閣官房日本経済再生総合事務局の調査によると、2020年にその数は460万人に達しました。2019年には306万人〜341万人だったため、1年で100万人以上増えたことになります。なお調査によってはフリーランス人口が2021年に1,500万人を超えたとの結果もあるようです。
これだけフリーランスが増えているということは、企業が協業できる人材プールが広がっているということです。
「経験豊富な専門家を雇いたいけれど予算がない」「プロジェクトを成功させたいが、社内に知見のある人材がいない」などの課題を抱える企業の皆さんは、この機会にフリーランスの採用をぜひ検討してみてください。理想的な人材がすぐに見つかるかもしれません。
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