フリーランスのキャリア構築に使える「マーケティング力」 【Sollective Live Talk #3 イベント書き起こし】 Article Image

フリーランスのキャリア構築に使える「マーケティング力」 【Sollective Live Talk #3 イベント書き起こし】

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働き方の多様化が進み、フリーランスや副業で活動する人が増える中、自分自身のキャリアについて悩みを抱える人も多いのではないでしょうか。

Sollective が開催しているライブトークでは、実際にフリーランス・マーケターとして幅広く活躍されている趙 権益(ken)さんをお招きし、マーケティング視点を活かしたキャリア構築についてお伺いします。モデレーターは Sollective CEO 岩井エリカです。

登壇者 フリーランス・マーケター 趙 権益(Ken) 株式会社ソレクティブ CEO 岩井エリカ

他人のために頑張れる人が報われる社会を作りたい

岩井:こんにちは。お昼のお忙しい時間にフリーランストークにジョインしていただきありがとうございます。今日は「フリーランスのキャリア構築に使えるマーケティング力」というテーマで、マーケティングのプロの Ken さんに来ていただいます。

岩井:今日のフリーランスライブトークは、プロのフリーランスや副業でご活躍されている方をお招きして、彼らの仕事術やクライアント獲得方法などを伺い、どのように思い描いたキャリアパスを手に入れたかを、リアルな体験をもとに学ばせていただくセッションです。 私が聞くだけではなく、みなさんからもどしどし質問をお寄せください。

簡単に自己紹介をさせていただきます。モデレーターを努めさせていただく、Sollective 代表の岩井エリカです。よろしくお願いいたします。

私自身もフリーランスで人事コンサルタントをしてきましたが、やはり駆け出しのころは自分がうまくできているのか心配がありました。そんなときに、先輩方の話からいろいろ学べましたので、今日はさまざまなノウハウを Ken さんにご提供いただければと思っています。簡単に自己紹介していただけますでしょうか。

Ken:こんにちは、マーケターの Ken と申します。

Ken:現在の取り組みとしては、主に3つの軸で活動しています。1つはフリーランスのマーケティングで、マーケティングをさまざまな企業に提供する仕事です。2つめは、会社員としての立場で事業を行っています。3つめは、ちょうど昨日リリースしたんですが、新しく副業チームでブランドを立ち上げようとしています。

岩井:すごく兼業ですね。フリーランスでマーケティングをやられていて、会社員としても支援されて、副業も…。1日に何時間働いているんですか?

Ken:会社員時代とあまり変わらず、長くて10時間くらい、通常は5~8時間くらいです。そんなに働いてないですね。

岩井:効率よくいろいろされているんだと思います。

Ken:ありがとうございます。 では、なぜそうできるのか、これを機に自分を棚卸しして、得意領域とそれをサポートするサブ領域で分けてみました。

僕の場合は、「マーケットでビジネスのタネを見つけ、抽象と具体で数字を見える化」し、何がお金になるか、どこに需要があるかを見極めて企画にします。それが世の中になぜ必要かを考えて計画を立て、フローを構築。そのフローをもとにチームを作り、お金を作って、なるべく早く展開していくことが得意です。

それだけだと普通のマーケターなので、差別化する要因として、「社会に対する質の高い主体性と誠実さ」を個人の強みとしています。あとは図の右下の部分で、メンタルが安定している、外国語ができる、ITが少しわかる、デザインも少しわかるということをサブ要因としています。

岩井:ありがとうございます。「すごく好き」の部分はわかりやすいですが、自分の強みはどのように洗い出しましたか?

Ken:人間はできることとできないことがあるのと、できることは好きじゃないと続けられないので、続けられるかつ好きなことがコアスキルになると思います。それ以外のサブスキルは他者と比較したときの一般的な機能性としての優位を意識しています。

Ken:今やろうとしていることは、「利他的な人が努力したら、ちゃんと報われる」ということです。 残念ながら頑張っても評価されず、すごく他人思いの人が社会から排除されることがあるので、他人のために頑張れる人がちゃんと報われるという状態を作りたいと思っています。仕事を通して、なるべく「善意が巡る社会に近づきたい」です。

それをするためには、「よい事業を作って、実態を生み出し、利益と物流を作って、小さなコミュニティに分配」したいと思っています。分配金をもとに何をしてもいいですが、「 Giver が経済的に自由」になるよう、いろいろ活動しています。

岩井:ありがとうございます。少し補足させていただきますと、楽天などの大手企業で働いた経験もおありで、Looop での立ち上げや AI 事業のサービスやプロダクトのローンチなどにも貢献されています。今回の自己紹介で、そういったキャリアパスを歩んできた中で、どのような Ken さんの思いがあるかというのが伝わってきました。

Ken:ありがとうございます。

岩井:では、今回のお話についてご紹介いただけますか?

Ken:フリーランスの人、これからフリーランスになる人、またはフリーランスに限らず会社員もですが、今後、キャリア戦略がすごく大事になると思います。そこで、マーケティングの中でも、これだけ知っていればキャリアは作れるということをなるべく噛み砕いて説明したいと思います。

今回は「キャリアパスにマーケティングを取り入れて、キャリアをどう攻略するか」をお話しします。

岩井:ありがとうございます。自分のキャリアをどう構築するか、マーケティングをどのように取り入れてもっと活躍できるようになるかは、本当に重要だと思います。今の時代、キャリアは40年以上続くので。今回のトークよろしくお願いいたします。

フリーランスのマーケで意識してやるべきポイントは3つ

Ken:みなさんマーケティングと聞くと、よくわからない複雑な学問のようなイメージがあるかもしれません。確かにそういう側面もありますが、キャリアを考えるときには、とくに難しいことは意識しなくてもいいと思います。

フレームワークなどは気にせず、意識してやるべきことは3点だけです。詳しく説明していきますが、まずは、自分のサービスレベルを決めることです。サービスレベルとは自分のどういう価値を提供するかですが、ここで「定数ではなく、変数で価値を出す」ことを意識します。

次は、どうやって価値を生み出すかです。ここでは「便益と価格の相関を理解する」ことが必要です。最後はどうやるかですが、「ファネルを把握し、手段を増やす」ことを意識します。この3つをすれば、ほかのことを意識しなくてもキャリアは作れるんじゃないかと思います。

【はじめに】「目標」と「目的」を決めて逆算する

Ken:まずキャリアを作るときには、目標と目的を決めてください。僕は逆算と呼んでいますが、けっこう使える考え方です。僕が考えるキャリアの目標、最終的なゴールは、「理想の生き方を選ぶ」ことだと思います。

生きるためにみんな仕事をしていますからね。自分の生き方を選ぶと必要な金額やそれを実現するためにはどうすればいいかが出てきます。「必要な金額を割り出し」、その金額はどういう状況だと達成できるかを考え、あとは「短期的な目的地を立てる」というやり方をします。

岩井:すごくわかりやすいです。 ゴールの設定の仕方がキャリアとライフが密に組めるようになっていると思います。Ken さんの理想の生き方はどのような感じなんですか?

Ken:僕の場合けっこうシンプルで、最終的なゴールは「ストレスがなるべく少ない状態を続ける」ことです。なぜ今のやり方をしているかというと、機嫌良く生きることが目的と言い換えられるので、自分の機嫌がいい状態が長く続くようにと考えています。

それはどういう状況かというと、僕の場合は「定期収入」があることです。キャッシュフロー的にキャッシュポイントがいくつかある中で、たとえば、定期的に100万円くらいが入ってきて、自分が望んだときにスポットで100万くらい稼げるということを目的にしています。

それをどうやったら達成できるかというと、100万円とか200万円って日本だとサラリーマンでは結構難しいと思うので、サラリーマン1本という選択肢は消えます。ただし、定期収入はサラリーマンじゃないと得づらいので、定期的に会社員をやりながらスポットでフリーランスを提供していくという答えになると思います。

なので、僕の場合、短期目標は「高単価な業務でパラレルワーク」となります。高単価な業務は何かというとマーケティングなので、マーケティング業務でパラレルワークをしながら、会社を作っていくことを選んでいる状態です。

岩井:ありがとうございます。やはり日本では給料の水準が30年ほど変わらず、もしかしたら一部下がっている領域もある中、正社員としての定期収入にプラスアルファのスポット収入で100万円などを稼ぐというのは現実的かと思います。そこまでの高単価にいくまでも、いろいろあるとは思うんですけれど。

【ポイント1】「自分の力でどうにかできる」部分を見極める

Ken:そうですね、おっしゃる通り日本の状況に左右されてどうしようもないということは多々あると思います。その中でどうすればいいか、何を頑張ったら日本でも単価を上げられるのかということを、これからお話していきます。

Ken:今のような話は日本にずっといる方はとくにわかると思うんですが、日本って30年失われてきています。これは残念ながら事実です。その中で僕らは頑張って自分の単価を上げなければなりません。

世の中には「定数」と「変数」があるとよく言われていますが、たとえば日本が失った30年は「自分の力ではどうにもならない」事実なので、「定数」です。僕らが上げていくのは「自分の力でどうにかできる」部分なので、「変数」です。

「自分の力でどうにかならないことに労力を割くと努力は無駄になることが多い」ので、まず「頑張るべきは変数」と書きました。僕らは自分たちができることやりましょうというのが、次の図です。

Ken:クライアントの立場に立って、採用って何かを考えると「採用というのは、新しい能力を入れて変数の幅を押し広げる行為」と捉えられます。新しい人や新しい能力を自分のチームに入れて、自分ができなかったことをできるようにすることとなると、本当に重要な提供価値は定数と変数の幅になります。相手ができないと思っていたことが、自分が入ることによってできると思ってもらうことが付加価値です。つまり、「採用者が望む変数にどれだけフィットできるサービスレベルを提供できるか」をアピールするのがいいと思います。

岩井:すごくよくわかります。私も採用側のポジションにいたことがありますが、ハイアリングマネージャーがいいと思う人は「その人が入ることによって今の社内ではできないことが実現できる」と、明確に現実味を持って最初の面談でアピールできているというケースが大いにあると思います。

Ken:そうだと思います。逆に言うと、たとえば「デザイナー10年やっています」だけだと、あまり意味がないと思われるかもしれないので、ちょっともったいないという気がします。

岩井:そうですね。「デザイナー10年やってきて、何ができるんですか?」という形に繋がってしまうので、採用側が課題としているビジネス背景をわかって、具体性を持って説明できると案件を獲得しやすいと思います。

Ken:おっしゃる通りです。

【ポイント2】自分の提供価値にどのように値段がつくか考える

岩井:次は、キャリアに必要な部分ですね。

Ken:キャリアについて、定数はどうでもよく、変数を頑張ろうというのがわかりましたよね。じゃあどうやって変数を頑張るか?と考える時に、そもそも自分が提供できる価値はどうやって値段がつくかを考えてほしいと思います。

これは、ブランドのベネフィットを考えるときのやり方でもあるんですけど……人間とかキャリアとか商品には、ベネフィットがあると言われています。それが「機能的便益」と「情緒的便益」、情緒的な便益の中に「自己表現的便益」というものがあります。

機能的や機能性というのは「何がどのレベルでできるか」。デザインがどの程度でできるか、マーケティングがどのレベルでできるかということです。

情緒性というのは「安心感や信頼感を抱けるか」。人間としてどうなのか、一緒に働いて気持ちがよいかと捉えられます。

そして自己表現的というのは「この人がチームに入ることで、自分、または自分たちが理想にどの程度近づけるか」をイメージできるか。その相手が入ったときに、自分たちでここまで行けるというゴールを相手に描いてもらえるかということです。

岩井:この中で、自分が相手にどこまで「安心感や信頼感を抱けるか」は、コミュニケーションや約束を守れるかなどで相手に示すことが可能だと思いますが、「何がどのレベルでできるか」という機能的な部分は、格付けが難しいと思うんです。Ken さんはどのように行っていますか?

Ken:機能性はですね、僕はこんなふうに自分の価値をアピールしています。

Ken:この図では緑が機能で赤が表現となっています。僕の機能性は、社会的な価値として他人と比較したときに、僕のどこが優れているかにあります。そうなると、マーケティングな思考で新規事業の企画ができる、ということが僕の機能性だと思います。

あと注目してほしいのは、SNS アカウントです。最近、フリーランスに限らず、芸能人や海外だとキーオピニオンリーダーというような言い方をしますが、その業界にどれだけパワーがあるか、熱量をもってその業界に発信力を持っているかが重視されています。自分のスキルがありつつ、その業界自体を動かせるとか、業界自体にアプローチできる能力みたいなものを掛け算して機能性にしています。

岩井:そうなんですね。自分がどれぐらい業界を変えられるか、業界のネットワークに繋がるについてですが、そういうネットワークってどうやって作るんですか?

Ken:そうですね、一貫性を持って専門性のある発信を続けるというのが大前提ですが、横の繋がりは非常に重要です。たとえば、アライアンスとか営業力とも関係しますが、自分ならあそこの会社の社長と直接会話ができるとか。すごく地道な話になりますが、知り合いを増やして、知り合いの先、友達の友達の先にアプローチできる力や、数を増やして質を深めるというやり方が必要だと思います。

岩井:フリーランスとしてもキーオピニオンリーダーとしても、どれだけ周りを巻き込む力があるかはすごく重要だと、プロのフリーランスを見ていて思います。この事業のこういう部分が足りないと言ったら、最初にジョインした人ができるだけバリューを発揮した上で、もっとサポートが必要なら、他の方も巻き込んで一緒に考えてくれるフリーランスの在り方というのはあると思います。

Ken:そう思います。僕もフリーランスで入ったときに、相手先にスキルセットがなければ、そのスキルセットを知り合いの中から引っ張ってくることはわりと行うので、やはり横の繋がりは重要になってくると思います。

Ken:では、資料を戻します。先ほど、機能性と便益の話をしましたが、それが自分の値段にどう関わってくるのかを表現してみました。心理学の考え方である「マズローの5大欲求」が叶えられれば叶えられるほど単価は上がるという図です。

「人は、機能的便益で単価の幅を決め、自己表現的便益で単価を決め、情緒的便益で時間軸を決める」ということがキャリアでは基本的に行われています。

そして、日本の市場や仕事でのキャリア構成は、画像のような三角形になっています。「オペレーション」している人たちが下にたくさんいらっしゃるということをこの図で表現しています。「オペレーション」の上は、主に「コミュニケーション層」だと思っています。「デベロップメント」は何かを生み出すとことを表現していて、日本では、基本的には「コミュニケーション」の延長で何かが生まれます。

何かを生み出せる人の方が単価が高いというのが、今の社会です。「機能的便益」が左の緑の枠で、何がどの程度できるかでフィーの幅が決まります。その中で、この人を入れたら自分のチームはどれだけ強くなるかをでフィーを決めます。できることが増やせそうなら単価は上がるというのが、現状のキャリアじゃないかと思っています。

岩井:それについてですが、あの企業ではその機能が会社になかったから、スキルセットが高いという価値になったものの、次の企業に行ったときにもう社内でまかなえているから違うスキルの方が私たちにとっては価値がある、ということになるんですか?それとも、一定のレベルでニーズがあるスキルセットが、とくにマーケターの領域ではあるんですか?

Ken:マーケターの領域ではあります。たとえば、最近よくある web マーケティングスクールですが、マーケターとして本質的な部分は教えてくれないように思いますし、そういう人は競争も激しく単価も上がりにくく、スキルも陳腐化してしまいます。マーケティングとしての本質的なスキルは、人を知ることです。人は何を考えて喜ぶか、人に何を提供するとこういう反応が返ってくるかなどを考え、手数をたくさん知っていること。国にかかわらず、どんなコミュニケーションで相手が喜ぶかを肌で知っているということがコアな部分です。そのコアスキルを持っている人は、やっぱりどれだけ競争が激しくても、全然崩れないというのが現実だと思います。

岩井:そうですね。チャネル・手段を知ることは価値があると思いますが、その前提のコアとなる何を誰に発信していくか、これを聞いたら人がどういうふうにハッピーになるかをいろいろな分野で考えられて、手段より HOW を考えられる人がバリューがあるということですね。

Ken:決して手段は価値が低いというわけではないですが、手段は日々変わります。プラットホームの都合で変わってしまうので、自分の本質的な価値はそこには帰属しないですね。

では、資料に戻ります。またお金の話になりますが、「マーケティングの相場がMin15万~Max50万」が市場価格と仮定すると、どれだけマーケティングの経歴が長くても、市場価格のMaxが50万なので100万は請求できないという現実があります。じゃあどうすればいいかを考えるとき、僕は「隣接するスキルを習得し、幅を広げ、戦う市場を変える」ということを提案しています。

Ken:それがこの図です。僕はマーケティングをやっていますが、マーケティングだけだと50万が限界なので、じゃあ自分で事業をゼロから作り出そうとか、 ITのエンジニアの仕事も頑張ってやってみようとか、デザインもやってみようとか、あとは外国語ですね。日本で戦うと、50万がMaxなので、海外に出てみよう、というようなことを、「隣接するスキル」と捉えていて、そこをやるといいんじゃないかと思います。

岩井:では、市場のレンジはどのように把握されていますか?

Ken:それは割とシンプルで、市場からくるオファーの金額を参考にしています。

岩井:いい方法ですよね。オファーが来て、これくらいが市場レンジだと把握しつつ自分の理想の生き方を考えたとき、じゃあどういうステップを歩めばいいかを常に考えて、行動されているということですね。

Ken:そうですね。

【ポイント3】機能性で自分を発見してもらい、話して働くイメージをつけてもらう

Ken:では、3つめですね。便益や定数と変数がわかったところで、何をすればいいか

なるべくシンプルに具体性をもって解説したいんですけど…。

Ken:マーケティングではファネルという考え方をします。これは、人がたくさんいる中で自分の商品に興味を持ってくれる人は一部です。その中でそれがいいと思ってくれる人も減り、実際アクションを起こして買ってくれる人は、最終的に1人か2人という考え方です。

これは多分何事も同じような形状になっているんじゃないかと思います。キャリアの場合は、人は機能性で検索します。機能性は僕の場合、マーケティングや新規事業です。

人は機能性で検索し、ポートフォリオで話してみたいと思います。検索して話してみたいと思ったときに、たくさんいる中でどうやって絞るかというと、この人が入ると、うちってどういうことができるかという情調的な部分です。そこをイメージできると絞れます。その絞られた中で、自分がこの人と一緒になるとこういうことができると確信できると選んでもらえるというのが、相手の心理だと思っています。

採用は基本的にこの心理動作の中で選ばれると思うので、ここに対して適切にアプローチできると選んでもらえて、最終的には自分で選べるようになると思います。

岩井:まさに、おっしゃる通りです。採用にも長年携わってきましたが、やっぱりプロフィールを探すときは、本当に機能的な検索方法になってしまうんです。たとえば、デジタルマーケティングのスキルがあるか、ブランディングをやってきたかなど、そのレベルの情報はプロフィールに書かれています。さらに、ポートフォリオで実績がまとめられているので、機能的なイメージはわきやすいです。けれど、情緒的な価値はプロフィールやポートフォリオからは伝わらない部分があるので、話したときに思っていた以上にいいと採用側にどれくらい思わせるかが勝負どころだと思います。

Ken:そうですね、おっしゃる通りです。僕はそこにどうアピールしているかというと……。

Ken:左側にチラッと書いてありますが、「チーム化」も自分でするし、「フロー構築」もすると、ちょっと相手の期待値を超えていきつつ、多分一番選ばれる要因として「社会に対して質の高い主体性と誠実さ」があると伝えるようにしています。人としていいということを軸に選んでもらわないと単価は取れないところがあります。

岩井:そうですね。やっぱり機械と一緒に働くわけではないので、人として良さや強みがあるのかは重要です。

Ken:ですよね、そうだと思います。自分のいいところと悪いところを棚卸しして、人としてちゃんとアピールしていこうということですね。じゃあ、どうやったらそれを実現できるか、簡単なやり方はあるのかを、僕が実際やっている方法でお伝えしたいと思います。

Ken:これは、めちゃめちゃシンプルです。その前に、重要な事実として考えてほしいのは、「多くの人は他人を相対的に正当評価できない」というのがあります。人は自分の知識の範囲内でしか評価できません。自分がどれだけすごくても、相手がすごくないと自分のすごさは伝わらないのが現実です。つまり、少ないコミュニティの中で頑張るのはなかなか難しいので、「新しく知ってもらうことは重要」になってきます。

Ken:もう一つ重要な事実として、マクロ的な話になるんですけど「多くの先進国では人材不足に陥っています」。「不足しているスキルは常に探している人がいる」ので、自分のスキルを「市場に合わせられれば営業不要」というのが、現状だと思います。

じゃあこのマクロ的な話と、ミクロというか目の前の人の話を合わせて何ができるか考えるときに、一番簡単な案件の獲得手法として、このへんが出てきます。

Ken:まずは間口をどれだけ広げられるかです。この方法はいくつかあって、1つめは日本だとビズリーチのような人材サイトに一旦「登録して、まめに自分のスキルセットを更新」してください。人材サイトはvisitが多いので、検索したときに自分が出てくる状況を作ります。

2つめは、僕はこれが結構好きなんですけど、「エージェントと SNS で繋がっておく」ことが重要かなと思います。自分が依頼する側でも、自分のキャリアを見てもらう側でもいいですが、エージェントと繋がっておくと、新しい情報が常に入る状況ができると思います。そこで繋がっておいたエージェントと、「SNS で近況を報告していく」といいと思います。新しい仕事始めましたという投稿でも、昨日海に行きましたというような話でも、自分が相手のニュースフィードにいる状況を作ります。

そこから間口を広げて、それをどう転換していくかというと、入ってきた「問い合わせは全部対応」していきましょう。いい話でも悪い話でも、一旦話を聞く姿勢を持ってください。その繋がりを持ちつつ、会話を重ねます。自分の選択肢を増やして、選択肢の中から自分の興味や仕事を選ぶのもいいと思います。簡単ですが、逆にいうとこれ以上のことはやらなくても、ここを頑張ればいいのかなと思いました。

岩井:ありがとうございます。びっくりしたのが、問い合わせは全部対応するというところです。初期の段階では、問い合わせに全部対応可能で、市場調査としてもメリットがあると思います。ただ、 Ken さんくらいのレベルになると、問い合わせは非常に多いと思います。なのに、継続してすべての問い合わせに対応されているんですね。

Ken:そうですね。僕はマーケターなのでとくにこの考えが強いんですが、今予算がないチームでも、相手の製品やチームが良ければ、自分で売上や利益を作り出せるので、たとえば10万円でお願いしますと言われても、製品自体の利益率がすごく上がれば、上がったのでそのうちの何パーセントをくださいという表現ができるんです。単価自体、僕は自分の力で上げられると考えているので、問い合わせは基本全部対応します。あと最近は人材の流動性が上がったので、予算のないベンチャーで働いていた人が、いきなり予算がたくさんあるところに転職して、また一緒に仕事してくださいということも多いので、基本的にお話をいただいたら、ありがとうございますというところからご挨拶をして、やった方がいいんじゃないかと思っています。

岩井:どんなキャリアを積んでも、聞くスタンスを常に持っておくというのが重要になるのかなと、お伺いして思いました。

Ken:そうですね、あんまりおごっちゃうと、良くないかな。

岩井:人気のフリーランスになると、案件の話をぱっと聞いたときに良さそうじゃないと、お話に発展しなかったりしますが、そうではなく常に聞くスタンスを持つのがやっぱり重要だと思いました。

Ken:良かったです。

【質問タイム】Ken さん流の理想の生き方と日本にいる理由

岩井:残り5分なので、質問にいかせていただきたいんですけれど……。まずは、理想の生き方を言語化するコツってありますか?

Ken:自分の欲望に素直になればいいんじゃないですかね。自分がやっていて楽しいことと、やりたくないことって人間誰しもあると思うので、やりたくないことはやりたくないと言うとか。それを日本の方って隠しがちなので、言えばいいと思います。あまり過激的に言うと喧嘩が起きるので、わざわざそうは言わずに、大人の対応が必要かなと思います。

岩井:Ken さん的にやりたくないことって何ですか?

Ken:お金がそんなに好きじゃないので、資金調達とかしたくないですね。たとえば、右が落とし穴で、左が明らかに成功の道というときに、右に行けって言う人ってやっぱりいるんですよね。そういう人の言うことは聞きたくないと思うので、右に行けと言う人からはお金をもらわないとか(笑)。

岩井:ありがとうございます。最後の質問は、多分、Ken さんは日本語だけでなく、他の言語、中国語などもできると思いますが、あえて日本で働かれている理由はありますか?

Ken:ちょっとアピールもさせて欲しいんですけど……。ちょうど昨日リリースしたんですが、今、地方創生をやろうとしています。日本の地方っていいものがたくさんあるので、それを何とかお金に変えて、地方をどんどん良くしていきたいなと。地方から日本自体を元気にできるんじゃないかと思って、取り組んでいます。

Ken:僕が日本にいる理由は割と単純です。日本って30年落ち込んでいる老齢大国じゃないですか。これから多分半数以上65歳以上になる結構残念な国なんですけど、その残念さって世界的にトップを走っている状態なんです。これから多分アメリカとかヨーロッパや中国などが、その悲しい状況に追い付いてくると思うので、日本でやってみて、知識を得て海外に行くというのが最終的には回収できる確率も高く、幸せにできる人の数も多い可能性が高いので日本にいます。

岩井:ありがとうございます。残り1分なので、最後のスライドにいきます。今日は45分間という短いセッションでしたが、視聴者のみなさんもご参加いただきありがとうございました。このようなプロマーケターの方のキャリアの考え方を、初めて私も見て、こんなに  Scientific に落とし込まれているということがわかり、自分ももっとこのような考え方で行動していこうと身に染みました。

Ken:ありがとうございました。良かったです。

岩井:Ken さんは Twitter などでもフリーランスやマーケターのキャリア、働き方なども発信されているので、フォローしてみてもいいのかなって思います。私たち Sollective は、トップフリーランスと企業を繋ぐサービスを展開しています。働き方や日本のフリーランスに寄り添って発信しているので、ご興味のある方、私達もフォローしてください。今日はお忙しい中ありがとうございました。

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Writer / Yuko Fujimoto Twitter:https://twitter.com/yuko_FJ

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