女性がフリーランスの働き方を選ぶ理由と、そのジレンマは世界共通なのかもしれない
近年、フリーランス人口は若者を中心にして世界的に増えています。これは、日本も例外ではありません。
英国の最新の統計によると、多くの人々がフリーランスになり、従来の雇用形態よりも充実した生活を送っているようです。英国の自営業者の数は2001年以降増加していて、国家統計局の最新データでは、労働人口の15%以上が自営業者ということが分かっています。 IPSE(イギリスのフリーランス協会)は、こうしたフリーランスブームを牽引してきたのは、高度なスキルを持つ女性たちであると分析しています。
女性たちは、なぜフリーランスという働き方を選択するに至ったのか。その理由を探っていくと、子育てやキャリアに対する世界共通のジレンマが見えてきました。
しかし一方で、フリーランスという選択肢があることによって仕事を諦めずにすんだり、自分らしい生き方を掴み取ることができたりしている女性も数多くいます。今回は、そんな女性にとってのフリーランスの魅力や、女性の生き方にどのような影響を与えているのかを紹介していきます。
なぜ多くの女性がフリーランスになるのか?
いまや女性が働くことは当たり前の時代。フリーランスという働き方を選ぶ女性が、確実に増えてきています。IPSE によるデータでは、2008年以降、子どもを持つ女性フリーランスは約80%も増加しているそうです。
女性の話題に焦点を当てたアメリカのメディア Refinery29 の「仕事が上手くいかない:フリーランスになる女性が増えている本当の理由」では、母親フリーランスのひとりとして、出産を機に独立したクレア・ギャンブルについて紹介しています。
柔軟なスタイルで働けることは、フリーランスの最大の魅力です。前述の記事で、 IPSE のリサーチ部門副責任者であるクロエ・ジェップスは「フリーランスは従来の雇用形態よりも柔軟な働き方ができます。正確には、柔軟性というより自律性が得られるということです」という言葉とともに、女性フリーランスの91%が自由に働けることをモチベーションにしていると語ります。
女性にとって、仕事の時間を自分でコントロールできることは、とても重要です。ニューヨーク発のビジネスメディア FORTUNE の「ギグ・エコノミーは、女性の仕事の未来を明るくする」には、以下のように書かれています。
世界中で男女平等が推進されているとはいえ、こうした記事を見ると家事や育児と仕事の両立は働く女性にとって世界共通の大きな課題であることがわかります。日本でもキャリア形成と育児の狭間で葛藤している女性はたくさんいるのではないでしょうか。家事・育児・仕事のマルチタスクをこなす必要がある場合、時間配分を柔軟にコントロールできるフリーランスという働き方を選ぶことは、自然な流れなのかもしれません。
女性がフリーランスであることの葛藤
時間の使い方を自由にコントロールできる自律性の高いフリーランスは、女性にとって魅力的な働き方のひとつです。しかし同時に、フリーランスならではの大変さもあります。前述の Refinery29 「仕事が上手くいかない:フリーランスになる女性が増えている本当の理由」は、イギリスでの女性の出産時の保障について以下のように語ります。
出産手当などのフリーランスへの保障は、世界各国でまだまだ手厚いとは言い難い状況です。それでも多くの女性は、子どもと一緒に過ごす時間から得るものの方が、手厚い福利厚生や高額な給料をはるかに上回っていると感じているということも、記事では紹介されていました。
保障のほかにも、悩ましいことは数多くあります。会社員を辞めて働く時間を減らすことで自分のキャリアにとってマイナスな影響があると心配する人も少なくありません。特に実力主義の欧米ではその傾向は顕著で、アメリカの WEB メディアである The Atlantic の 「パートタイムで働く女性たち」では、女性の悩みを以下のように紹介しています。
誇りを持ってキャリアを築いてきた女性にとって、働く時間を減らしキャリアダウンすることは難しい選択です。仕事に費やす時間を柔軟にコントロールできるフリーランスは、働く母親がキャリアをあきらめずにいられる数少ない選択肢と言えるのかもしれません。
より柔軟に、変わっていく企業文化
欧米などの先進国でもフリーランスへのサポートはまだまだ足りず、出産や育児などのライフイベントとともに自分なりのキャリアを歩んでいきたいと考える女性にとっては厳しい状況です。とはいえ、多くの女性が活躍するにつれて社会や企業も変わってきているのも、また事実です。
冒頭でご紹介した Refinery29 の記事では、女性がより充実した社会人生活を過ごせるようにするのは、企業側の責任であるとを述べています。
この論文が指摘するとおり、欧米では働きにくい企業文化に縛られるのを嫌う人たちを中心に、独立していく優秀な若い世代は後を絶たないと言います。特に人手不足が深刻化する中、優秀な人材を確保したいのであれば、企業が変わっていかなければいけないところまで来ています。
変えていくべき企業文化のヒントとしてご紹介したいのが、前述の FORTUNE の「ギグ・エコノミーは、女性の仕事の未来を明るくする」にあるコメントです。著名なジェンダー経済学者クラウディア・ゴールディンは、「相互依存度が高いチームでの仕事や、対面で働く必要がある仕事など、労働時間の柔軟性を制限することが女性の仕事の選択肢を狭め、男女間の賃金格差を広げる一因になっている」と指摘しています。ですが同時に、この記事では新型コロナによる社会の変化は女性にとって明るい未来を示している可能性があるとも言っています。
Sollective は、フリーランスの働き方は女性に対してより多くの選択肢を提供するものだと考えています。家事や子育ての比重がまだまだ女性に重くのしかり、バランスを取らなければならない現実を見ると、ひとつでも多くの選択肢を増やすことこそ大切です。
自身のパフォーマンスを発揮しながら、柔軟な働き方を叶え、自らのキャリアを追求するための道のひとつとしても有益なフリーランス。そんな選択肢があることは、女性がいきいきと輝ける自由な生き方をする手助けになるのではないでしょうか。
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