女性エンジニアがフリーランスになる道【インタビュー】 Article Image

女性エンジニアがフリーランスになる道【インタビュー】

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エンジニアという職業は男性が多く、さらにフリーランスとなると女性エンジニアの数は少ないのが現状です。しかし、数少ないなかでも女性・エンジニア・フリーランスという属性に独自の強みをかけ合わせ、ユニークな存在となって活躍している人がいます。

今回登場するのは、フロントエンドエンジニアとして複数の企業のウェブサイト制作を手がける野尻汐里さん。最近はスイーツブランド運営というエンジニアとはまったく違った仕事でも奮闘しています。

そんな野尻さんに、専門学校卒業後に会社員を経てフリーランスになった経緯や、それを機に自分のなかに芽生えた変化について聞きました。

「やりたいなら、できるよ」突然舞い降りた独立という選択肢

—— 会社員エンジニアとしてキャリアをスタートしたあと、フリーランスになったきっかけを教えてください。

もともと自分がフリーランスになれるとは思っていませんでした。

新卒で入った会社はすごく恵まれた環境で、専門学校を出たばかりの私に細やかに指導してくれました。「コーディングが好き」という自分の軸が育ったのもここでの経験のおかげです。

でも、仕事に慣れていくにつれ、ハードな職場で研鑽している専門学校時代の友達がうらやましい、という気持ちが膨らんできました。このままではいけない、環境を変えようと思ったんです。

—— このときは転職しようと思っていたんですよね。

はい。内定ももらっていたんですが、希望していたエンジニア職とは違う職種で決め切れずにいました。

そんなとき、いろいろな業界で活躍するフリーランスの人たちと交流する機会があったんです。皆さん軽やかに好きなことを仕事にして生きていて、私の転職の悩みも親身になって聞いてくれました。

すると、皆さんがこれまた軽やかに「やりたいことあるならフリーランスでやってみたら?大丈夫、できるよ!」って言ってくれたんです。将来の安定が保証されていなくたって、失敗したらやり直せばいいだけ。そんな風に応援してくれる人に出会ったのは人生で初めてでした。

私もこの人たちみたいにやりたい仕事をして生きてみたい。なかば勢いでしたが、このあとすぐに転職活動を止めて2か月後にフリーランスになりました。

—— 心強い味方を得て、野尻さんのフリーランス人生が動き出したんですね。フリーランスとして仕事はどのように獲得していきましたか?

幸いにも元いた会社でやっていた仕事を委託してもらえることになり、生活のベースは確保することができました。

そこで、あとの時間は自分の行きたいところに行こうと、会社員のときには行けなかった平日のクリエイターイベントに参加して名刺を配りまくったり、制作会社の社長さんの Instagram に DM して翌日会いに行ったりと、とにかく行動しました。

名刺交換した相手から「独立のお祝いに」と依頼されたお仕事も多く、ありがたかったと同時に仕事がもらえるスピード感にも驚きました。

母校の専門学校で在校生向けに講演

母校の専門学校で在校生向けに講演

人と話す×エンジニア―「好き」のかけ算で独自の存在に

—— 名刺を配りに飛び込んだ先が男性ばかりだったこともあったそうですが、不安はありませんでしたか?

男性ばかりだから不安ということはありませんでしたね。むしろ、私が独立した当時、ウェブサイト制作のなかでもデザインではなくコーディングができる20代前半の女性は少なかったので、覚えてもらいやすいというのは大きなメリットでした。

さらに、自らイベントに来て営業するエンジニアもあまりおらず、その点でも目に留めてもらいやすかったです。

—— リアルな場に出向いて営業するのは、フリーランスとしての独自性を出すための戦略だったのでしょうか?

いえ、単に色んなところへ行って人と会って話すことが好きだからやっていました。

ただ、たくさんの人にお会いしているうちに、「デザインまで自社でやるけれど、コーディング部分だけ依頼したい」というニーズがあるとわかりました。

そんなニーズに直接触れて仕事につなげることができたのは、コーディングのスキルとコミュニケーション力という「好き」から生まれた強みが重なったから。自分の「好き」や「やりたい」を追求して動けるフリーランスになったからこその仕事の仕方といえるのかもしれません。

—— エンジニア以外の領域に挑戦の幅を広げているのも「好き」のかけ算の延長でしょうか。

そうですね、「コーディングが好き」という私の原点に、取引先と話すというもう1つの強みも重ね続けていたら、ウェブサイト全体を手がけるディレクションという仕事へ自然と広がっていった感覚です。

スイーツブランドの運営でも、未経験の分野でゼロからブランドを立ち上げるという大仕事に賭ける熱量の源は「やりたい仕事をやって生きていく」という思いです。

いつかウェブサイト制作の取引先のオフィスにうちのスイーツを置いてもらえたらと思いますし、スイーツブランド運営で得た飲食業界の感覚をウェブサイト制作にも生かしていきたい。ブランディングの仕事とエンジニアの仕事はまったく内容が異なりますが、双方で得たものを循環させていけるとうれしいです。

スイーツブランドは店舗を持たず、東京や名古屋を中心にポップアップで出店

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「嫌われない」より「自分の意見を言う」を大切に

—— フリーランスになったことで、精神面での変化はありましたか?

自分の意見を怖がらずに声に出すようになりましたね。フリーランスになってからの方が自分を大切にできています。

学生時代や会社員時代は、こう言って嫌われたらどうしよう?と自分を抑えたり、周りにあわせて辛くなってばかりでした。

でも、自分の気持ちなんて自分が言わなきゃ誰にも伝わらない。フリーランスになろうと決心したとき、自分のやりたいことについて話したら応援してくれる人がいて、すごく心強く思いました。もちろん考えが合わない相手もいますが、それはそれで構わないし、自分を無理に変える必要はないと思えるようになりました。

—— 最後に、フリーランスに興味があるけれど、自信がなくて踏み出せずにいる女性エンジニアの皆さんにメッセージをお願いします。

まずは、「その気持ち、わかるよ!」って伝えたいです。かつて私がそうでしたから。何から始めたらいいのかもわからなくて、自分にできるかも不安ですよね。

そのうえで、とにかく自分から行動することで道は開けるということも伝えたいです。

私は行動することで、仕事を得られただけでなく、理解者に出会えて前に踏み出すことができました。今度は私が迷っている人の背中を押せる側になれたらすごく嬉しいです。

そして、女性・エンジニア・フリーランスっていう仲間がもっと増えたら、共感できることがあっていっそう楽しいだろうなと思っています。私、仲間が欲しいです!(笑)

独立するきっかけをくれた、自由に働く仲間たちと

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—— 本日はありがとうございました!

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