世界中で増え続けるミレニアル& Z世代フリーランス。彼らが独立したがる理由とは?
近年、欧米ではフリーランスという働き方を選ぶ人が増えています。とくに何度も不況を経験してきた1981年〜1995年頃生まれのミレニアル世代と、さらにその後に生まれた Z世代は、フリーランスという働き方を選ぶ傾向が顕著に現れているようです。
また、少子化の日本では想像しにくいことではありますが、世界的に見れば Z世代の労働人口が X世代(1965〜1980年頃に生まれた人たち)とベビーブーマー(第二次大戦後のベビーブーム時代に生まれた人たち)を上回ります。
そんな若者世代は、仕事に楽しさと柔軟性、働き方やスケジュールの調整のしやすさを求めています。優秀な人材と働きたければ、企業はフレキシブルな体制やその人材が望む環境を提供しなければ、トップタレントを採用できなくなるということになります。
今回は、ミレニアルとZ世代の働き方やフリーランスと企業の新しい協働の方法について、最新の英語記事をもとに紹介します。
次世代が、柔軟で選択の自由がある働きかたを求める理由
ミレニアル世代と Z世代はここ10年ほどの間に大きな不況をふたつも経験しています。ひとつは、日本ではリーマンショックと呼ばれる、2007年から2008年にかけて起きたグレート・リセッション。ふたつめは2020年の新型コロナウイルスの流行です。これらの大不況により多くの人が解雇された結果、会社への信頼や愛社精神は薄くなったと考えられます。日本でも、終身雇用という概念は崩れたと感じている人も多いのではないでしょうか。
その証拠に、アメリカのZ世代の46%がフリーランスであり、そのうちの73%は自らの意思で選択してフリーランスという道を選んだという事実もあります。さらに、デジタルネイディブである若者世代のリモートワークへの抵抗の少なさも、フリーランス化を後押ししているのでしょう。
また、フリーランスではなく、会社員ではあるけれど転職を繰り返す若者も増えています。Forbes の「フリーランスが次世代の従業員に与える影響」では以下のように語っています。
そんな中、ここ数年で「ギグワーク」という働き方を耳にする機会が増えました。ギグワークとは会社に所属せず、プロジェクトごとに仕事に参加したり、役割を次から次へと渡り歩いて仕事をする働き方のことです。Uber などのアプリによって、空いた時間を活用するのもギグワークのひとつです。
また、ギグワークは専門分野にも広がりを見せています。ノース・アメリカン・スペシャルティ病院(NASH)が行っている、休暇中の医師がバケーションを兼ねてメキシコへ行き患者の治療をするメディカルツーリズムや、科学者が副業収入を得る機会としてプロジェクト単位での仕事を提供する Kolabtree の事例などがあります。
同記事ではこのような若者の傾向をギグ・マインドセットと呼び「彼らはワークライフにおける選択、バランス、柔軟性の重要性を理解し、自分自身の人生は自分のものだと思えることが動機になる。そして『生きがいは手に入らない夢物語なんかじゃない』と考えている。」と分析しています。
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コロナ禍をきっかけに自分のキャリアを見つめ直す若者世代
コロナ禍においてキャリアを見つめ直す若者の姿も目立ちます。その原因のひとつは、バーンアウト、燃え尽き症候群です。NBCニュースの運営するメディア know your value の「Covid-19の余波で、自分のキャリアを再評価するZ世代の女性」は、この問題を以下のように紹介しています。
日本でも新型コロナウイルスによる自粛期間は、自分の人生をペースダウンすることや、暮らし方・働き方を再考する機会が多くの人に訪れた時期でもあったのは、記憶に新しいのではないでしょうか。
また、リモートワークの難しさを感じつつも、会社に戻るのは精神的によくないと感じるミレニアル世代の会社員も多いようです。「会社は身体的、精神的な従業員の健康についてなんて考えていません。ずっと机の前で椅子に座って時間を浪費するなんて馬鹿らしい。」と、イギリスの新聞 The telegraph のインタビューに答えた女性もいます。このような考えを裏付ける話として、シンガポールでも55歳以上の45%が会社で仕事をするスタイルに戻りたいと答えたのに対し、Z世代では26%だけが戻りたいと答えているといった調査結果もあります。
この問題にまつわる記事を調べていく中で見えてきたのが、企業のメンタルヘルスケアに対する姿勢です。WHO は、燃え尽き症候群を「職場での慢性的なストレスに起因すると解釈される症候群」と定めています。パンデミックを通して感じるようになった仕事やリモートワークのストレスを放っておくと、燃え尽き症候群を加速させる要因になると言えそうです。
特にテクノロジーが身近なミレニアル世代は常に仕事モードになってしまっており、オン/オフの切り替えが難しい生活を送るため、燃え尽き症候群になりやすいとも言われています。企業はこの先、こういったストレスを放置せずに、従業員のウェルビーイング追求することがますます求められてくるのかもしれません。
メンタルヘルスケアにまつわる話として前述の know your value が公開している記事には、日本でも大きな話題となった、テニスの大阪なおみ選手のニュースも取り上げられています。セレブリティや世論が、メンタルヘルスの問題について声をあげることで、働く人がメンタルケアを必要とすることが恥ずかしい問題ではないという認識を広めることにも繋がっているようです。
日本では身体が悲鳴を上げるまで無理して仕事を続けて倒れたり、精神的に行き詰まって仕事を辞めざるを得なくなる、そう言った事例は身の回りでもよく耳にします。ですが、自己犠牲的な生き方ではなく、健康に満たされて生きること(ウェルビーイング)を求める動きは、今後ますます注目されていくでしょう。
「フレキシブルな働き方」に適応する企業は何をやっているの?
こういった時代の流れにより、企業もこれまでのやり方を見直し、従業員に対してもっとフレキシブルな働き方を提供しようとしています。Gallup の最新調査「 伝統的な管理職の終焉」でも、「75%の従業員が管理職の変化について触れており『仕事が終わりさえすれば、いつどこで働いても良い』と、変化を受け入れているのを感じる」のだそう。
またそのような動きの中で、企業は自社の従業員とフリーランス両方が活躍できる場をつくり始めています。前述の Forbes の記事では「Google は現在、フルタイムの従業員よりもフリーランスのほうが若干多いと言われており、フリーランスとコラボレーションすることによって、Google 社員にも影響を与えています。」と紹介しています。
そして、そのような取り組みを行う企業は状況に応じて必要なスキルや人材を補填することによって、効率よく事業を推し進めることができると考えるようにもなりました。Microsoft 社でギグエコノミー戦略を担当するシニアディレクターの Paul Estes 氏は、同じく Forbes の記事でこのように語っています。
日本でも、プロジェクトごとにフリーランスが従業員に混ざって働く事例が増えてきているのを感じます。フリーランスという働き方は、まさに世界的なトレンドと言えそうです。
世界の流れを見ていくと、これからますますフリーランス フレンドリーな働き方が進んでいくことが予想できます。
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