フリーランスが契約書でチェックするべき5つのポイント。業務委託契約の種類も解説! Article Image

フリーランスが契約書でチェックするべき5つのポイント。業務委託契約の種類も解説!

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フリーランスとして働く場合、企業と業務委託契約を結んで仕事を行うことで報酬を得ることになります。

このときに、契約内容を把握せずに契約書締結をしたり、そもそも業務委託契約をちゃんと結ばず口約束だけで仕事をしたりしていると、大きな問題に巻き込まれる可能性もあります。

特に、フリーランスは個人が特定の組織などに属さずに独立して働いている状態のため、労働者を守るための法律「労働基準法」などの適用外です。つまり、自分の身は自分で守らなければなりません。

一見難しそうに見える契約書ですが、紐解いて見ていくと書かれているのは業務内容、契約期間、報酬など、働く上で欠かせないことばかりです。逆に言うと、これらの情報がまとめられている業務委託契約書は、これさえまとめておけば双方の信頼関係を築き、トラブルを防ぐことができるものでもあります。

そこで今回は、フリーランスの方が気にしなければならない業務委託契約に関する注意点について、5つのポイントをまとめました。

【記事の監修】 弁護士法人GVA法律事務所・小名木 俊太郎 弁護士法人GVA法律事務所共同代表弁護士/and factory株式会社 社外監査役。各種SO(税制適格SO、有償SO、信託SO等)、ファイナンス、IPOサポート等、ベンチャー法務全般をサポートしている。第二東京弁護士会所属。 Twitter:https://twitter.com/shun01171 note:https://note.com/gva_onagi

そもそも、業務委託契約ってなに?

業務委託契約とは、企業が自社業務の一部を外部の企業や個人へ依頼する契約のことで、フリーランスは基本的に企業と業務委託契約を締結して仕事をしています。

会社員として働く「雇用契約」との違いは大きく以下の2点です。

・雇用契約では企業側は労働者への指揮命令権を持つが、業務委託契約では持たない ・業務委託契約では、自由に他の仕事をすることが可能

業務委託契約で仕事を受けた場合、基本的に働く時間や場所、働き方を自由に決めることができます。逆に、決められた成果物を作成できないと、何かしらのペナルティを課せられる場合もあります。

また、業務委託契約にはいくつかの種類があります。自分がどの種類の契約を結ぶのか把握しておくとよいでしょう。

・委任契約 委任契約とは、委託者が法律行為を受託者に委託する契約で、弁護士などへの依頼がこれに該当します。フリーランスの多くの方は該当しないでしょう。

・準委任契約 準委任契約は、委託者が法律行為以外の仕事を受託者に委託する契約です。準委任契約で委託されているのは「事実行為」といって、一定の事務処理行為を行うことを委託されています。事務処理といってもその幅は広く、セミナー講師、コンサルティング、広告宣伝、医療行為など、さまざまな業務が該当します。

また、この「事実行為」は定められた作業内容をやり遂げることが求められ、その結果として成果物が生じるかどうかは関係ありません。たとえば、コンサルティングや広告宣伝などの結果、売上や利益が上がらなくても契約書に定められた業務を遂行していれば問題ない、ということになります。

・請負契約 請負契約は、受託者が業務を完成させ、その対価として委託者が報酬を支払う契約です。エンジニアやライター、デザイナー、製造業者などがこれに該当することが多いです。

委任契約と準委任契約で求められるのは任されたことを実際に行うことですが、請負契約では成果物の完成が求められます。

途中まで仕事を進めていたとしても、成果物が完成しなければ基本的には報酬は発生しません。

契約時にチェックするべき基本ポイント

では、契約書を実際に締結するときにどのようなことに注意すれば良いのでしょうか。今回は、フリーランスの皆さんが締結することの多い「準委任契約」「請負契約」において、契約書の書面上でチェックしておいたほうがいいことをお伝えしていきます。

1)業務内容&成果物が明確になっているか

業務内容や範囲をうやむやにしたまま仕事を進めた結果、クライアント企業と揉めてしまうというのはよくある話です。

仕事を請け負う身として、どこまで業務を行えば報酬がもらえるのか、クライアントとしっかり認識を合わせておくことで、納品後のトラブルや、追加料金を払わない後出しの依頼を回避することができます。

大切なのは「何を行うのか?」「どこまで行うのか?」の2点が契約書上でしっかりクリアになっているかです。たとえばライティングの依頼の場合、執筆をして原稿を納品すれば完了なのか、原稿に挿入する画像の検索、WEBへのアップ作業まで必要なのかによって業務量は大きく変わってきます。検収の回数も合わせて明確にしておきたいポイントです。

また、合わせて覚えておきたいのが請負契約における「契約不適合責任」です。契約不適合責任とは、成果物に対して、品質などが「契約の内容に適合していない」と判断された場合に、仕事を受けた側が責任を負うものです。

もし納品後に契約不適合とみなされた場合、依頼主は追完請求(追加で契約に適合した履行を求めること)や代金減額請求、契約の解除、さらには損害賠償請求などを行えます。

これを回避するためにも、業務内容はしっかり明確にしておくことが必要です。また、契約不適合を追及できる期間は、基本的に「契約不適合を知った時から1年以内」と定められています。

たとえばエンジニアがアプリを納品した後にバグが見つかった場合、バグが発見されてから1年以内に契約不適合責任を追及することが可能、ということになります。追及期間は双方の同意があれば変更もできるので、業務の内容に応じてしっかり交渉をするのがおすすめです。

2)報酬や経費が明確になっているか

業務内容があやふやなまま始まる案件では「報酬額は後で決めましょう」となってしまうことも少なくありません。

ですが、お金にまつわるやりとりは業務開始前に必ず明確にしておくべき事項です。業務を開始した後や納品後に依頼額を提示され、相場より低かった…ということになりかねません。

特に確認すべきポイントは「いつ」「なにをすれば」どれだけの業務委託料として報酬をもらえるかという部分です。

また、委託料に経費や交通費が含まれているかどうかも合わせてチェックしておくべきポイントです。はっきりさせないまま進めると、請け負ったフリーランス側の利益が大きく下がってしまう場合もありえます。

お互いの関係悪化や不利益を防ぐためにも、フリーランスと依頼主との間できちんと認識を共有しておくようにしましょう。

💡関連記事:フリーランスの初仕事!契約書が必要な理由と確認ポイントを一挙解説

3)支払いタイミングが明確になっているか

また、契約に対する報酬がいつ、何回に分け支払われるのかも必ず契約書上で確認しておきましょう。

それぞれの契約形態で支払いタイミングの考え方も変わってきます。

・準委任契約 委託した事務処理が実施されたことを前提に、月額での支払額か報酬の計算方法が明記されていることが多い。 ・請負契約 完成品を納品し検収が完了した段階で、一括して報酬を支払うことが一般的。

契約書に明記しておくことで「請求書を送ったのに振り込みがない」というトラブルにも対処しやすくなります。

4)契約期限が明確になっているか

業務委託契約書の有効期限に関しては、主に2パターンあります。

1 完成したものを納品することで終了する場合 2 一定期間において業務の提供を継続する場合

一般的には2の形で有効期限を定め、それ以降は契約の更新にまつわる条項が定められることが多いでしょう。

ベストな形は職種によって変わってくるため、自分の働き方や業務のしかたにあわせて確認してみてください。

5)全体を通して不利になる条項がないか

また最後に契約書全体を通して、こちら側が一方的に不利になる条項が無いかをチェックすることも大切です。

特にしっかり見ておきたいのは、意外とトラブルの多い「契約の途中解除」についてです。業務委託契約の解除は、契約内容によって違いがあります。

・準委任契約の場合 双方ともにいつでも契約を解除することが可能です。ただし、相手にとって不利なタイミングで契約を解除すると、損害の賠償を行わなければならないことがあります。 ・請負契約の場合 発注者側は仕事が完成するまでの期間なら、損害賠償をすればいつでも契約を解除可能です。しかし受注側から理由なく解除することは原則としてできません。

急に契約先から解約されることを防ぐためにも、中途解約する場合は事前通知が必要であること、そしてそれがいつまでに必要なのかが明記されていると安心です。

ほかにもトラブルが発生した場合の責任の所在などについて、フリーランス側に不利な条件が課せられていないかもしっかりチェックしておきましょう。

記載がない場合は、仕事の内容に応じて双方の納得する内容を話し合い、契約書に盛り込んでおくと、いざという時のトラブル回避にもなります。

難しい言葉が並ぶ契約書は「よく分からない」とつい敬遠しがちです。ですが、仕事を始める前にしっかりと理解し、不明瞭な点や不利な部分がないことを確認しておくことで、トラブルを避けることができますし、何よりクライアントと気持ち良く仕事をすることができます。

ぜひこの5つのポイントを参考に、自分を守りつつも良い仕事ができる契約書締結を目指してみてください。

💡関連記事:弁護士に聞く!フリーランスが直面しがちな契約の悩み Q&A

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※「契ラク」は、株式会社ソレクティブの商標または登録商標です。

Writer & Editor / Eri Yoshida Sollective : https://www.sollective.jp/freelancer/Eri Twitter : https://twitter.com/eri_riri Contributor / Erika Iwai Sollective : https://www.sollective.jp/freelancer/Erika Twitter : https://twitter.com/IwaiErika

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